|
ダイアナ・パーマー
ハーレクイン
¥ 1,160
(2008-06)
|
★★★★(4/5)あらすじ「男を信じるなんてばかなことは、もう二度としない」唯一の身寄りである祖母が心臓発作を起こし、グレイスは隣人のガロン・グリヤに助けを求めた。ガロンはベテランのFBI捜査官で、つい最近この小さな町ジェイコブズビルに引っ越してきたばかりだ。無口で大柄な男性を前にして、グレイスは今までに経験したことのない気持ちを抱き始める。(裏表紙より)前置き
このダイアナ・パーマーも大人気のロマンス小説家です。
ダイアナ・バルマー、ダイアナ・ブレインという名でも何作か出してます。
特徴は純情なヒロインと鬼畜野郎(笑)のヒーローという組み合わせで、ヒーローのあまりの鬼畜ぶりに、心底腹が立つこともしばしば
しかも、勝手な思い込みでヒロインに辛くあたって、後で自分の勘ちがいだったことに気づくという迂闊さです
でも、そんなどうしようもないヒーローでも、「惚れた弱み」で、ヒロインは彼を許してしまう。 私だったら、許さん(笑)と、思いつつも、勘違いに気づいた後、一生懸命ヒロインの機嫌をとろうとするヒーローの姿に、ついにやけてしまいます
そんなふうに誤解がとけるまでは、ヒロインが辛い思いをしちゃいますが、誤解が解けた後はかなり甘い恋人に豹変するので、苦労のしがいはあるのかもしれません
作品のほとんどは、ジェイコブズビルという架空の町が舞台になっており、登場人物は誰かかれか繋がりがあります。ひとつひとつの作品は独立していますが、そういった繋がりを辿って読んでいくのも楽しいですよ
〜感想〜ヒロインのグレイスには謎がつきまとっています。
ジェイコブズビルの住人は彼女の秘密を知っていて、グレイスに対しては優しく思いやり深く接して暖かく見守っているのだけど、ヒーローのガロンは新参者でグレイスの事情を知らず、自分が知っている女性を基準にしてグレイスを判断してしまう。
女性に対しては冷めた見方をするガロンはグレイスが男性に対して脅える様子も不自然にしか見えず、他人に頼りにされるのもまっぴら、だと思っていることから、グレイスに対しては冷たくそっけなく振舞うのだけど……。
ある日、グレイスの祖母が心臓の発作を起こしたことで二人の関係に変化が訪れます。係わり合いになりたくない、と牽制するガロンだったのだけどふと、自分の妻と息子を亡くした時のことを思い浮かべ、グレイスに力をかそうと思いなおします。
そうして、思いがけずグレイスと一緒に過ごすことになったガロンは、グレイスの純粋さと優しさに触れ急激に彼女に惹かれていくようになる。
一方、グレイスもまた最初こそ感じが悪かったガロンだったのだけど、実は思いやりのある優しい男性だということに気づき、同じようにガロンに惹かれていく。グレイスが男性を恐れるのには理由があるのだけど、ガロンに対しては自然に振舞えるほど心を開いていきます。
そんな二人の様子を見たジェイコブズビルの住民は、グレイスの事情を知っていることからことさらに喜び二人に注目するように。ところが、ガロンはそのおせっかいな態度が気に入らず、グレイスに惹かれながらも彼女を拒絶してしまう。
グレイスが、ガロンに心を開き彼を愛したことがどれほどの奇跡だったのかを、知らないまま……。
ガロンの人でなしーっ
と、かなり腹立たしい思いをさせられます。
ガロン自身にも心の傷があって、人を愛することに臆病になっているのはわかるのですが、それにしても、そこまで言うか!? っていうくらい、キツイ言葉をグレイスに投げつけます。
もう、本当にしばらくはガロンにはムカムカしっぱなしでした〜。
グレイスも一度はガロンを愛したのだけれど、彼のあまりの恐ろしい態度にすっかり臆病になってしまいます。そんな二人を見ていたジェイコブズビルの住人たちの怒りの烈しいこと!
一旦は町の住人たちに受け入れられたガロンは、一転、総スカンを食らわせられます。
思わず「ざまーみろ」と言いたくなってしまった心の狭いわたし(笑)
そんな住人たちの態度に後悔しながらも、自分の非を認めないガロン。ところが、自分が受け持っている少女連続殺人事件の手がかりを追っていくうちに、衝撃の事実を知る事になります。それは、グレイスの過去に関わるもので……。
グレイスの謎の一つを知ったガロンは心を入れ替えて、彼女の信頼を取り戻そうと行動を起こします。でも、一度ひどく傷つけられた相手にすぐ気を許すことができるはずもなく、少しずつ、もとの関係を取り戻していくものの、最初の頃のような無条件の信頼の眼差しと愛情をグレイスから寄せられることはなく、ガロンは惨めな思いを味わいます。
このへんになると、ちょっと可哀相と思わないでもなくなってきます(笑)
グレイスのほうはといえば、ガロンを愛しながらも彼の心の傷を知っていることで、素直に愛情を示すことができなくなっています。さらには、ガロンに内緒にしている自分の秘密のこともあって……。
と、こんなふうに一筋なわではいかない二人の恋ですが、誤解しあってすれ違う二人の姿にじれったい思いをさせられながらも、最後の数ページでそんな思いもどっかへ飛んでいきました(笑)
勇気があって優しくて思いやりがあって愛情深いグレイス。
彼女が幸せになれてとても嬉しかったです
ちなみにヒーローのガロンにはキャッシュ・グリヤという弟がいます。
彼の恋の詳しい話は
『若すぎた妻』-PS37 → 『愛に裏切られても』-PS42
を読むとわかりますよ〜
ガロンと同じく……、ひょっとしたらガロン以上の頑固者(笑)ですけど、魅力的なヒーローです