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ジョン リンゴー
早川書房 ¥ 777 (2010-11)
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227915位
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★★★☆(3.5/5)
あらすじ
予想より遥かに早く、ポスリーンの前哨部隊が襲来した!超巨大戦闘艦の集団は、地球防衛のため
必死に攻撃をくり返す戦闘艇の攻撃など歯牙にもかけず、世界各地へと次々に着陸してゆく。
そしてアメリカには、首都ワシントンにほど近いバージニア州フレデリックスバーグを包囲するように、分離した戦闘艦の一群が着地、数百万人のポスリーンが侵攻を開始した!かくて、地上部隊対ポスリーン軍団の想像を絶する死闘が!―。(紹介文より)
〜感想〜
『地球戦線(1)<ポスリーン・ウォー2>』 に続く2作目です。
前作で、上司の粋な計らいで妻のシャロンと一緒に休暇をとれることになったマイクは、二人が出会った思い出の町フロリダ・キーズへ娘のカーリーと向かったのだけど、ついてみると以前の栄えた面影はすっかりなくなっていて、まるでゴーストタウンのようなありさまに
ポスリーン人との戦闘に備えて、地球人全体が様々な準備を進めているのだけど、なんといっても物資が足りない それは軍だけではなくて民間人たちも同じ。
マイクは、親しくなったフロリダ・キーズの住民たちの力になろうと、自分のちょっとした特権を使って手助けすることに。
ポスリーン人たちの侵攻の前に、家族とともに安らぎの一時を過ごせたマイクだったのだけど、ポスリーン人の侵攻は予想以上に早く、戦闘艦が次々にバージニア州フレデリックスバーグに着陸し始めて……。
地上軍の部隊やフレデリックスバーグの住民たちの、それぞれの戦いが繰り広げられていきます。
とにかく、ポスリーン人にとっては生き物すべてが自分たちの ”食物(たべもの)”
地球人のことも食べ物としてか認識していません
なので、たとえ戦いで死なないで捕虜にされたとしても、行き着く先は彼らに食べられてしまうだけ。
そんな目にあうよりも、自ら死を選び一片たりとも与えてなるものか、と自爆する道を選びます。
一般家庭の住居に、自爆装置が設置されていてポスリーン人が迫ってきた時に、その装置を作動させる住民の姿が切なかったです
とにかく数が圧倒的なので、武器も兵士も足りない状況でできることは限られてしまいます。そんな絶望的な状況の中でもなんとか人々を助けようとする兵士たちの姿や、死ぬ以外に道がないことを受け入れて、少しでもポスリーン人たちを道連れにしようとする人々の姿が悲しくて切ないです
でも、同時にそんな人々の姿は同時に勇気も与えてくれました。
ポスリーン人たちも、そろそろ自分たちが相手にしているのは ”ただの食物ではない” ことに気づき始めたようで……。
戦いは始まったばかりですが、一筋縄ではいかない地球人たちにポスリーン人たちはかなり苦戦することになりそうです。
ジョン リンゴー
早川書房 ¥ 777 (2010-10)
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231526位
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★★★☆(3.5/5)
あらすじ
惑星ディエス4での死闘から生還したオニール大尉は、第555機動歩兵連隊1大隊B中隊に中隊長として着任。
これまでの敵との交戦体験をふまえ、隊員たちを徹底的に鍛えて、トップクラスの攻撃部隊に育てあげていた。
一方、惑星バーウォン5から帰還したモソビッチ上級曹長ら特殊部隊員は、ポスリーン襲来後の自衛方法を市民たちに教えていた。
着々と準備を進める地球。
だが敵は予想より遥かに早く、すぐそこまで…!?(紹介文より)
〜感想〜
『大戦前夜<ポスリーン・ウォー1>』 (上下) に続く2作目です。
前作のディエス4でのポスリーン人たちとの戦闘で、とんでもない活躍(笑)をしたマイケル・オニールは、大尉に昇進して機動歩兵部隊の隊員たちの訓練をしています。
とはいっても、実際にポスリーン人たちと戦ったオニールとは違って、彼らの恐ろしさを実感できていない上官のせいで、思うように訓練ができなくて歯がゆい思いをしています。 そんなときに、新しい上官が赴任してくるのだけど、ありがたいことに今度の上官はポスリーン人と戦ったことはないものの、マイクの意見を聞き入れてくれる道理のわかった人物。 ようやくマイクは希望通りの訓練を進めることができるのだけど、やはり必要な機器やスーツは不足がち。
こればっかりは、どうしようもないので、とりあえずはできることを一つ一つやっていくことに。
一方、妻のシャロンも以前海軍に所属していたことから、マイクと同じように招兵されて宇宙艦隊に配属されています。
ところが、こちらでも艦隊とは名ばかりであちこちにガタがきている艦を飛ばすのに一苦労
それもこれも戦いの現場を知らない無能な指揮官たちのせいで、これではいかん、とやっと気づいた大統領の鶴の一声で経験豊富な軍人に総入れ替えするようが命令が下ります。
そうして、マイクの元上官だったホーナー大将や、テイラー大将が指揮をとることに
とにかくポスリーン人たちの侵攻に備えて、地球人は様々な準備を進めているのだけど、食料不足や物資不足等々、問題は山積み。 そんな状況の中でどこまで、戦闘に備えて準備ができるのか?
なかなか難しいものがあります。
とはいっても、とにかく戦いを避けることはできないので、それぞれができることをやるしかないのだけど、気になるのは<連邦>の代表者でもあるダーヘル人の思惑。
地球人に武器や宇宙船といった、戦いに必要なものを提供してはくれるものの、どうも何か腹に一物もってそうな感じで……
彼らの計画が明らかにされるのはまだ先のことになりそうですが、ポスリーン人たちとの戦いの足を引っ張ることだけはやめてほしいものです
次は 『地球戦線(2)<ポスリーン・ウォー2>』 です。
ジョン リンゴー
早川書房 ¥ 777 (2010-07-30)
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223769位
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ジョン リンゴー
早川書房 ¥ 777 (2010-07-30)
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216745位
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★★★★(4/5)
あらすじ
21世紀初頭、突如出現した異星の航宙船は地球に驚くべき知らせをもたらした。
残虐非道な異星種族ポスリーン人の超巨大軍団が、銀河のこの星域に侵攻し、5年後には地球に来襲するというのだ!平和種族で構成された“連邦”の防衛軍は、この強大な敵に対しなすすべがない。
彼らは、地球に技術や情報を提供するかわりに、加盟惑星の援護を要請してきたのだ。
果たして、怖るべき星間大戦の渦中に巻きこまれた人類の運命は―。(紹介文より)
〜感想〜
ある日突然、ファーストコンタクト
しかも、向こうから接触してきたのだから、驚きは並じゃありません。
ところが、彼らが地球人に接触してきたのは友好的な意図とは言えないもので…… 強いて言うなら、”気は進まないけれどやむを得ず”というのが一番近いかも
接触してきたのは<連邦>を実質的に束ねているティーン人で、彼らはポスリーン人という凶悪で攻撃的な種族が地球に向かっているという驚くべき事実を伝えてきます。
そうして、地球はやむを得ず連邦の知識と進んだ科学力の提供を受けることと引き換えに、<連邦>に協力してポスリーン人戦うことになります。
いずれにしても、ポスリーン人が地球に攻めてくるのは時間の問題。
人類は一丸となって将来起こるポスリーン人との戦いに備えることになるのだけど……。
本作の中心となるのは、軍を退役してITの会社で働いていたマイケル・オニールという人物なのだけど、体格は小柄でぱっとみ、冴えない感じです
でも、小柄な体格でありながらもかなりの怪力で ”マイティ・マイト” なんてあだ名がついてたりします。さらにコンピューターに関するエキスパートで、その知識を必要とされて元の上官に呼び出されて、ポスリーン人と戦うための武器の構造や扱い方を学び、戦略をたてる手伝いをすることになります。
とはいえ、武器にしても、経験豊富な兵士にしてもぜんぜん足りず、思うように準備が進みません。頭でっかちな上司のせいで、兵士の訓練もなかなかできず
ポスリーン人との戦闘に備えて開発されたコンバットスーツのスペシャリストとして、兵士を訓練する命じられたマイクは、派遣先の上官にですぎた真似をするな、と行動を封じられてしまいます。
……こういう上官のもとで戦わないといけないというのは、かなりキツいですよね
はがゆい思いをするマイクだったのだけど、幸いにも他の士官の手助けでこっそり(笑)と兵士たちを訓練することができるようになります。
この訓練ができたおかげで、多少なりとも兵士たちに生き延びる可能性ができるのだけど、戦闘に対する準備も心構えも十分とは言えないまま、ポスリーン人たちとの戦いに臨むことになります。
そうして、繰り広げられる地獄絵図
ポスリーン人たちの凶暴さと恐ろしさは想像以上のもので、さらにはその圧倒的な数にあっという間に壊滅状態に追い込まれてしまいます。
生き延びた少数の兵士たちを集めながらマイクはポスリーン人たちを殲滅する作戦を立て、仲間たちも助けるために行動にでるのだけど……。
とにかく、このマイクの戦闘能力と不屈の闘志がすごい
コンバットスーツの機能を熟知していることもあって、その働きぶりはめざましいものがあります。 ポスリーン人との戦いに備えて、それぞれができることをする姿も感動的だったのだけど、それ以上にマイクの凄まじいまでの活躍に、圧倒される作品でした。
まだ、本シリーズは始まったばかりなので、これから先の戦いがどう進んでいくのかは、予想がつきません。
いずれにしても、マイクが活躍することだけは確かな気がします。
というか、そうじゃなきゃ嫌です(笑)
次にマイクがどんな働きを見せてくれるのか……楽しみです
ジョン・スコルジー
早川書房 ¥ 987 (2010-09-25)
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31663位
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★★★★(4/5)
あらすじ
波瀾にみちた幼年時代を送った少女ゾーイは、コロニー防衛軍を退役したジョンとゴースト部隊出身のジェーンの養女となり、植民惑星ハックルベリーで幸せな日々を送っていた。
やがて両親とともに新たな植民惑星をめざすが、宇宙船は目的の星に到着しなかった。
しかも、ゾーイたちは思いもよらない陰謀にまきこまれていく…(紹介文より)
〜感想〜
『最後の聖戦<老人と宇宙3>』 に続く4作目です。
人類を裏切り、異星人と手をくんでコロニー防衛軍を滅ぼそうとした科学者の父を持つ娘ゾーイは、その父親の陰謀を阻止したゴースト部隊出身のジェーンと、コロニー防衛軍の軍人だったジョン夫婦の養女となりました。
そもそもゾーイの父親がそんな行動に出たのはゾーイが防衛軍に見捨てられ殺されたと思ったからだったのだけど、その父親は防衛軍と戦争をする報酬としてエイリアンのオービン種族に ”意識” を与えるという偉業を成し遂げました。 そのことによって、ゾーイはその種族のエイリアンから ”女神” として崇められ愛される存在になります。そうして、ゾーイの側にはつねに2人のオービン族が護衛としてつき、一緒に暮らすことに。
そんなふうに特異な立場におかれることになったゾーイが、どんなふうに成長してきたのか? 『最後の聖戦<老人と宇宙3>』 で、くり広げられた戦いの中で果たした役割はどういうものだったのか?
そういったことが本作では描かれています。
ゾーイの視点から語られていることで、今までのストーリーに深みが増したように思います。
それに、なんといってもゾーイの感受性豊かな語りには思わず感情移入させられます。 特にエンゾとの悲恋には号泣
前作ではゾーイが危機を乗り切るための手段を唐突に持ち帰ったように思えましたが、本作を読む事で ”こういうことだったのか” と納得することができました。
そして、その大役を果たすようになるまでに彼女なりの苦しみと悲しみを乗り越えてきたことも。
ゾーイの強さと優しさと勇気に感動させられる作品でした
ジョン・スコルジー
早川書房 ¥ 924 (2009-06-25)
Amazonランキング:
33122位
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★★★☆(3.5/5)
あらすじ
コロニー防衛軍を退役したジョン・ペリーは、植民惑星のハックルベリーで、ゴースト部隊出身の妻ジェーンと養女ゾーイとともに平穏な日々を送っていた。
だが、ある日、思いもよらない要請を受ける。
かつての上司リビッキー将軍から新たな植民惑星ロアノークを率いる行政官になってくれと頼まれたのだ。
やがて、ジョンは新たな戦いに巻きこまれていくが…(紹介文より)
〜感想〜
『遠すぎた星<老人と宇宙2>』 に続く3作目です。
本作では1作目の主人公ジョン・ペリーが再び活躍します
任期を終えたジョン・ペリーとゴースト部隊のジェーンは、ふつうの人間の肉体に意識を移し変え、ブーティンの一人娘ゾーイを養女に迎えて3人家族として平穏な引退生活をしていたのだけど、ある日、軍隊時代の元上司が訪ねてきたことで、トラブルに巻き込まれることに
新たな植民惑星へ向かう一団のリーダーになってほしい、という依頼を考えたすえ引き受けたジョン・ペリーは、コロニー防衛軍の陰謀に巻き込まれ、”コンクラーベ” という組織と心ならずも事を構えることになってしまいます。 対応を誤れば、住民もろとも星ごと消滅させられる事態にもなりかねないところまで追い込まれてしまったジョンは、ジェーンと協力して立ち向かっていくのだけど……。
今までコロニー防衛軍は、頼りになる味方という感じだったんですが、実はそうではないことが少しずつわかってきます。 自分たちの力だけで危機を脱しなければならなくなったジョンたちの、健闘ぶりに感心させられました。
そんな二人をかげながら助けたのは、裏切り者の科学者ブーティンによって ”意識” を与えられた異星人のオービン族。
オービン族にとってブーティンは恩人であると同時に崇拝の対象ともいえるのだけど、すでに亡くなっていることから、そういった彼らの気持ちはそのまま娘のゾーイに向けられています。
そして、ゾーイの願いはジョンとジェーンを助けること。
そんなゾーイのおかげでジョンたちはかなり助かることになります。
今回は、政治的な駆け引きなんかも絡んできて、じれったい思いをさせられましたが、個人的に気に入っているジョンが活躍していたので、よしとしておきます
最後にジョンがとった思い切った行動に 「やったね」とスカッとした気持ちになりました 本作でジョンとジェーンの活躍はとりあえず終わりのようですが、次作ではゾーイの視点からみた物語が語られるようです。 ゾーイから見た、今回の騒動がどんなふうに語られているのか、楽しみです
次は 『ゾーイの物語<老人と宇宙4>』 です。
ジョン・スコルジー
早川書房 ¥ 903 (2008-06-25)
Amazonランキング:
40473位
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★★★★(4/5)
あらすじ
コロニー防衛軍のなかでも勇猛果敢で知られるゴースト部隊の隊員は、防衛軍に志願したものの、軍務につくまえに死んだ地球人のクローンで構成されている。
だが、新たに部隊員となったジェレド・ディラックは、天才科学者ブーティンの遺伝子から作られたクローンだった。
恐るべきエイリアン種族と手をくんだ裏切り者ブーティンの情報を得るべく誕生させられたディラックの熾烈な戦いと数奇な運命は……(紹介文より)
〜感想〜
『老人と宇宙』 に続く2作目です♪
本作の主人公は、敵である異星人と手を組んで地球人類を裏切ろうとした天才科学者のクローンとして生み出されたジェレドと呼ばれる人物なのだけど、ジェレド本人はそのことは知りません。 逃亡した裏切り者の科学者ブーティンが、なにを企んでいたのか? それを突き止めるために、残されていた彼の意識データをクローンに移し変え、クローンのジェレドが記憶を思い出すことが狙いだったのだけど、なかなかそう上手くはいきません。
とりあえず、ゴースト部隊の新人隊員として訓練をさせて様子を見ることにするのだけど……。
彼の面倒を見ることになるのが、前作にも登場したジェーンです
ジェレドがいつオリジナルのブーティンの記憶を取り戻し、裏切り者に変わるかしれない状況にいらつきながらも、親身に面倒を見るジェーンの姿が微笑ましくもおかしかったです
訓練を終えてゴースト部隊の隊員として行動することになったジェレドは、少しずつブーティンの記憶がよみがえってきて、自分の存在がなんなのか、に気づいていくのだけど、でも、それはジェレドにとっては決してよい変化ではありませんでした ブーティンの計画が、どんなものなのかを知ったジェレドは彼を阻止するためにある決心をするのだけど……。
彼がとった行動のおかげでブーティンの計画を止めることはできたものの、ジェレド自身は……
切ない結末でしたが、ジェレドの勇気と強さに感動させられました
次は 『最後の星戦<老人と宇宙3>』 です。
ジョン スコルジー
早川書房 ¥ 924 (2007-02)
Amazonランキング:
51375位
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★★★★(4/5)
あらすじ
ジョン・ペリーは75歳の誕生日にいまは亡き妻の墓参りをしてから軍隊に入った。
しかも、地球には二度と戻れないという条件で、75歳以上の男女の入隊しか認めないコロニー防衛軍に。
銀河の各惑星に植民をはじめた人類を守るためにコロニー防衛軍は、姿形も考え方も全く異質なエイリアンたちと熾烈な戦争を続けている。(紹介文より)
〜感想〜
コロニーを建設し、地球人類以外の異星人と戦争を繰り広げている近未来。
コロニー防衛軍は宇宙に出ることによって得た知識や技術を地球に伝えることはせず、コロニーだけが利用できるものとして独占しています。
機械そのものを隠すようなことはしないものの、どういった仕組みになっているのか?どうやって作るのか? といった知識は与えず、自分たちで突き止めなさい、というような態度で……
さらには、コロニー防衛軍は地球人類がほかの星へ植民する人々にも制限をかけています。 ごく一部の人々をのぞいて、宇宙に出る手段は75歳以上の老人になった時に、コロニー防衛軍に入隊することだけ。
でも、老人になってから軍隊に入ってもあまり意味ないんじゃ
と思ったのだけど、進んだテクノロジーで若返らせることができるらしく……。
軍隊に入って10年は軍人として働かなければならないものの、任期が終われば第二の人生が送れるという魅力があります。
そんなわけで、ほとんどの老人は75歳になったらコロニー防衛軍に入隊する道を選びます。
本作の主人公ジョン・ペリーも例外ではなく、75歳の誕生日に入隊するのだけど……。
待ち受けていたのは、想像以上に過酷な状況でした
若返り処置はジョンが思っていたようなのとはちょっと違っていて、実際は戦闘用に開発、改良された新たなボディにジョンそのものの意識(魂?)を移し変えるというもの
最初は戸惑うジョンだったのだけど、同じように入隊した老人仲間(笑)と、少しずつ慣れていきます。
再び若返っても単純に喜んでばかりもいられません。
コロニー防衛軍が戦っている相手は予測のつかない多種にわたる異星人たち。 時には、どんな攻撃が有効なのか? すらわからず、戦いながら弱点を見つけださなければならないことも。
とにかく、人間としての常識が通じない相手なので、まずは今までの人生で染み着いた常識や偏見をなくし、臨機応変に行動しなければなりません。それができなければ、遅かれ早かれ待っているのは死……
ジョンの生き残るための戦いが始まります。
本作は、ジョンの成長物語といえるかと思います。
もともとは75歳という人生経験豊かな年齢ではありますが、”戦士”としてはまったくの素人。
職業はコピーライターだったジョンが、畑違いの”戦士”としてどこまで活躍できるのか?
彼の成長ぶりをわくわくしながら読むことができました
ゴースト部隊と呼ばれる精鋭の女兵士ジェーンとのロマンスもあって、最後のほうで彼女を救うために奮闘するジョンの姿は、本当にカッコよかったです
次は 『遠すぎた星<老人と宇宙2>』 です。主人公は別の人物になりますが、本作でジョンの恋人になったジェーンも登場しています
★★★☆(3.5/5)
あらすじ
絶世の美女ヘレネをめぐって始まったトロイア戦争を戦っていたギリシア神話の英雄たちは、圧倒的な力をふるう神々に対してついに叛旗をひるがえした…これまで、地球化された火星のオリュンポス山の神殿に住む神々は、トロイア側あるいはギリシア側につき、英雄たちとともに戦争をしていた。
その戦いは、まさにホメーロスの書いた『イーリアス』そのままの展開だった。
だが、神々にナノテクで復活させられ、戦争の経過を観察させられていた学師ホッケンベリーの行動が、トロイア戦争を英雄たちの神々への挑戦に変えてしまったのだ。
木星の衛星系に住む半生物機械モラヴェックたちは、地球化された火星近傍での量子活動異常の真相を探るべく、調査隊を送りこんだ。
やがて、調査隊の一員だったエウロパ属のマーンムートとイオのオルフの活躍で、大挙して火星に到着したモラヴェックの援軍が、英雄たちと手を組み、ともに神々との戦いに挑んでいく。
圧倒的な力を持つ神々と戦争をはじめたギリシア神話の英雄たちとモラヴェックの運命は…。(紹介文より)
〜感想〜
『イリアム』 で、歴史学者のホッケンベリーはトロイア戦争の英雄たちをオリュンポスの神々に刃向かうように意図的に彼らを操り、今では英雄たちと神々の戦いは熾烈を極めた状況になっています。 半生物機械モラヴェックたちの協力により、圧倒的な神々の力にも対抗できるようになり、英雄たちが神々を殺す ことも可能になっていて、人間、神々の犠牲は増えていくばかりで……。
すべては自分が招いたこと。
あまりにも悲惨な状況にそんな罪悪感に苛まれるホッケンベリーだったのだけど、今ではどうすることもできません。
そんな時、半生物機械マーンムートに意外なことを知らされます。
莫大なエネルギーが使われていることがわかり、その発生源の謎を突き止めるため今の地球へ調査に行くと。 そして、その調査にはホッケンベリーも同行してほしいと。
どうやら神々に力を与えた存在が関わっているらしく、より強大な力を持つその存在の謎を解く鍵が地球にあるらしいのだけど……。
一方、地球ではかつて人間の下僕として仕えていたはずの生物が人間を襲うようになり、生存者の数は減っていくばかりに
生き残るために再び旅に出たハーマンは思いがけない人物と出会い、自分では望まない使命を果たさなければならなくなります。
前作では、解き明かされなかった ”謎” の答えが語られているのだけど、今ひとつスッキリしないというか……はられたはずの伏線がそのままになっていたり、あのことはどうなったんだろう? と疑問に思うこともあったり、と、なんだかモヤモヤしたものが残ってしまいました。
ストーリー展開も、ホッケンベリー、モラヴェック、ハーマン、ディーマン、トロイアの英雄たち、オリュンポスの神々、と場面があちこちに変わり、話についていくのに苦労してしまいました。 面白くなってきた、と思い始めると別の場面に移ってしまうので気を取り直すのに時間がかかってしまって……
とはいっても、これは単に私が一人の人物に焦点をあわせないと感情移入できない、というだけのことなので、作品自体が面白くないというわけではないです
最初の語り手がホッケンベリーだったので、どうしても彼を中心に読んでしまったんですが今回は、あまり活躍してない感じで
しかも、彼の正体が気になって気になって仕方なかったのだけど、最後のほうで明かされた彼の正体が……よくわからなかった(笑)
多分、 ”彼” なんだろうな、とは思いつつも、何だか拍子抜けでした。
あれだけ思わせぶりに描かれていたので、実はホッケンベリーこそがすべての元凶の神だった、なんていうのもありかな、と思ってたのに(笑)
最終的には、上手くおさまってはいるのだけど、所々 ん〜 というのもあって面白くなくはないけれどイマイチ(笑)という、微妙な感想になりました
個人的な好みからすれば、どちらかというと前作のほうが好きです。
ダン・シモンズ
早川書房 ¥ 1,155 (2010-04-05)
Amazonランキング:
20612位
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ダン・シモンズ
早川書房 ¥ 1,155 (2010-04-05)
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22734位
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★★★★(4/5)
あらすじ
はるか数千年もの未来、地球化された火星のオリュンポス山のふもとに住む学者ホッケンベリーは、イリアムの平原でギリシア神話の神々や英雄たちがホメーロスの『イーリアス』さながらに戦うトロイア戦争を観察していた。
神々にナノテクで復活させられたホッケンベリーは、この戦争の記録をとらされていたのだ。
だが、彼は思いもよらぬ使命をある女神からさずかる。
地球でわずかに生き残っている人類は、仕事も学問もせず、衣食住のあらゆることを自動機械の下僕たちに任せ、享楽的な生活を送っている。
この世界の仕組みに疑問をもった男ハーマンやその友人アーダとディーマンは、世界の謎をつきとめるべく旅に出た。
木星の衛星エウロパに住む半生物機械モラヴェックのマーンムートは、イオのオルフらとともに、火星探検隊の一員として、火星へと向かった。
地球化された火星で起こっている異常な量子擾乱の原因を調査しようというのだが…。(紹介文より)
〜感想〜
…… 「イーリアス」 ってなに
と、初っ端からつまずきました(笑)
ギリシアの英雄 アキレウス 、オデュッセウス、アガメムノン、トロイアのヘクトル、パリス、ヘレネ、カッサンドラ。
オリュンポスの神々、ゼウス、ヘラ、アテネ、etc。
聞き覚えのある名前のオンパレードではあるのだけれど、「イリアス」 という叙事詩を軸にして物語が語られているので、最初は読んでいても今ひとつぴんとこなくて困りました。
題名は聞いたことはあるものの、どんな内容なのか、までは知らなかったので
物語は過去に存在した学者のホッケンベリーの語りから始まります。
彼は神々によって、生き返らせられた人間で彼らのために戦争の記録をとる、という役目をしているのだけど、彼にとってはその戦争は過去に起きた出来事。
戦いがどう展開し、どちらが勝つのか、誰が死んで誰が生き残るのか、といったことがすべてわかっています。
最初は歴史でしか知らない出来事を、実際に自分の目で見ることができることにワクワクしていたものの、9年の間記録し続けるうちにすっかり嫌気が。
とはいえ、神々に逆らえばあっという間に体内に植えつけられているナノテクが暴走し、無惨な死を迎えるだけ。 さすがに死ぬのは望まないことから、神々の怒りを買わないよう命じられるがまま役割を果たし続けています。
一方、その頃の地球ではわずかに生き残っている人間たちは過去の文明や科学を忘れ、”ポスト・ヒューマン” と呼ばれる存在に与えられた便利な機械を何の疑問も持たずに使用し、下僕としてつかえる得体のしれないヴォイニックスという生物に世話をやかれ、怠惰な生活を送っています。
そんな人々の中で、ハーマンという一人の男性が今の世界のあり方に疑問を感じ、詳しいことを調べようとします。 そしてハーマンに共感したアーダとハンナ、アーダに関心を持つディーマン、といった数人が安全な居住区を離れ、過去の世界から存在しているという 「さまよえるユダヤ人」 と呼ばれる人物を探す旅にでます。
そしてまた別の場所、木星の衛星エウロパでは半生物機械モラヴェックが、人間の存在を感じられなくなったのは何故なのか? 人間に何が起きたのか? を解き明かすために、まず、 ”火星” に調査に向かうことになります。
”神々の存在する火星で戦いの記録をとる学者のホッケンベリー”
”地球で過去の世界で何が起きたのかを調べるハーマンたち”
”人間に何が起きたのかを調べるために火星に向かう半生物機械モラヴェック”
この3つの視点で、話が進んでいくことになるのだけど……最初は話についていくのにちょっと苦労しました なんといっても、いったい何がどうなってるのかがさっぱりわからないので、読んでいてじれったいというか、登場人物たちの話にしても、 ”ポスト・ヒューマン” ってなに
半機械生物モラヴェックって何者
なんで、オリュンポスの神々が当たり前のように存在してるの
と頭の中はクエスチョンマークでいっぱいでした(笑)
正直、途中で止めようかな、とも思ったんですが、3つのそれぞれの物語が進むにつれて、ホッケンベリーが神々に逆らおうと決意した場面にドキドキしたり、過去の地球で何が起きたのかという謎の真相にビックリしたり、モラヴェックたちの思いがけない冒険にハラハラしたり、と、気がつけばいつの間にかすっかりストーリーに引き込まれて夢中になって読んでました
3つの物語が繋がった時は、かなりワクワクさせられました
とりあえず、一段落はついてますが神々との戦いは始まったばかりだし、謎もまだまだ残っています。
本作は二部作ということなので、すべての謎の答えは次で明らかにされるかと思います。
次は 『オリュンポス』 です
★★★☆(3.5/5)
あらすじ
ユーリ・ミハイロヴィッチ・テリソフ―海賊ファルコンがみずからの後継者として育てあげた青年。
戦闘輸送艦“マケドニア”の艦長に捕えられた彼は、いまアースハブの中心、地球の極北にある軍刑務所に収容されていた。
だが、「海賊組織の壊滅に協力すれば自由にする」 との当局の申し出を受け、酷寒の地獄から脱出した彼を待っていたのは、さらなる過酷な運命だった。(紹介文より)
〜感想〜
『艦長の子』 で、ライアンを誘拐してアザーコン艦長と取り引きをしようとした海賊ファルコンの後継者のユーリは、追いつめられてライアンを殺そうとしたことで捕まり、今では刑務所に服役中だったのだけど、ある日、自由と引きかえに海賊組織の撲滅に協力するよう要請されます。
でも、そんな上手い話に簡単にひっかかるユーリではなく、軽くあしらって断ろうとするのだけど、相手がそんなユーリの態度を見て刑務所で同室の相手フィンチを痛めつけるとほのめかしてきて……
ユーリにとってフィンチは……自分でもどう思っているのかわからない存在。 身体の関係はあるものの、それもお互いの目的にかなったから、というだけのこと……だったはずなのだけど、何故かユーリはフィンチのことを気にかけるようになってしまいます。
とはいえ、そんな自分の気持ちを他人に利用されることが面白いはずもなく、反発するユーリだったのだけどどうしてもフィンチのことを見捨てられず、しぶしぶながら海賊組織に戻り破壊工作の片棒を担ぐことを承知します。
そうして、ユーリはフィンチも一緒に連れてかつての自分の海賊船へと戻るのだけど……。
海賊ファルコンの後継者。
ジョスは1年耐えて逃げ出すことができましたが、もし逃げ出さなければどうなっていたのか? ユーリの体験したことを通してわかってきます。 それは、やはり想像したとおり痛ましく……自分の感情を殺さなければ気が狂ってしまうような体験でした。
ただ、ユーリにとって救いだったのはエスティアンという人物がいたこと。
彼は、ユーリを ”ゲイシャ” として訓練する役割を担っていたのだけど、ユーリは彼に愛情を抱くようになり、エスティアンもまたユーリを愛するように。
辛い思いをしながらも、彼の存在によってファルコンのほかの訓練にも耐えて成長して、後継者として活動するようになっていたのだけど、ある日、ファルコンが ”シンパ” に殺されたという知らせを受けることに その知らせを聞いてはじめは信じられなかったユーリも、しまいには本当のことだと納得します。 そして、エスティアンもまた死んだのだと。
その後、ユーリはアザーコン艦長の息子のライアンを殺そうとして捕まり刑務所に服役。
それが今ではかつての自分がいた海賊の組織を撲滅する手伝いをすることになるんですから、不思議なものですね
成り行きとはいえ、フィンチも一緒に連れ出して共に行動するようになったユーリは、彼といることで少しずつ人間らしい感情を取り戻していく事になります。 でも、その様子がまた痛ましくて……読んでいて辛かったです
自ら望んだものではなかったけれど、ファルコンの後継者として人を傷つけ殺してきたユーリが、果たして許されるのか? やりなおすことができるのか? 最後まで読むのは感情的には結構きつかったですが、希望を持たせてくれる結末にホッとしました。
ジョス、ライアン、ユーリ、の3人の少年のそれぞれの物語もこれで終りですが、今まで程過酷ではない(多分)とはいえ、彼らの戦いはこれからも続いていきます。
それでも、幾多の苦しみを乗り越えて、それぞれが辿り着いた場所、答えはこらから先も生きていくうえでの支えになっていくんじゃないかな、と思います
ところで、ちょっと気になったのは ”ゲイシャ” とか日本にまつわる言葉等が出てくるんですが……どうも意味が間違って理解されてるな〜、と思えることがちらほら 微妙〜に笑えなかったです