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最高処刑責任者(上下)/ジョゼフ・フィンダー
ジョゼフ・フィンダー
新潮社
¥ 700
(2008-10-28)
Amazonランキング: 148580位

ジョゼフ フィンダー
新潮社
¥ 700
(2008-10-28)
Amazonランキング: 148535位

JUGEMテーマ:読書

★★★★(4/5)

あらすじ

ジェイソンは日本家電メーカーの辣腕営業マン。
誰からも好かれ、過去には売上トップの成績を上げていたが、最近の業績はイマイチで、家庭でも妻との関係はギクシャクしていた。
上司によれば、人を蹴落としてでも這い上がる“闘争本能”が不足とか。
しかし、みずからが起こした自動車事故が転機の始まりとなり、彼は出世の階段を一気に昇りつめることに。(上…紹介文より)


前置き

本編とはちょっと関係ないんですが、作家の名前について気になったことを。 
他の作品も読んでみようと思って 「ジョゼフ・ファインダー」 で検索をかけてみたら1件もヒットせず…… じゃあ 「ジョフ・ファインダー」 なら? 1件ヒット。
う〜ん…… まだありそうな気がする。 で、今度は 「ジョフ・ファインダー」 にしてみると、前回とは別の作品が1件ヒット。 …… このへんで納得すればよかったんですが、何だか段々意地になってきて(笑) 「ジョゼフ・フンダー」 でもう一度検索。
すると、新たに6件ほどの作品ヒットしました。
…… 外国人作家の名前って難しぃ〜 と、しみじみ思ってしまいました   


〜感想〜

敏腕営業マンだけど、どこか人が良くて憎めない人物のジェイソン。そんな彼が、ある日車を運転しながら妻と携帯で話している途中事故を起こしてしまうのだけど、車の修理工場をしているカートと知り合ったことで思いがけない事態に巻き込まれていきます。

車の修理を知り合いに頼むというカートの言葉に甘え、修理工場まで彼の車に同乗したカーとは、最初は気まずい思いをするのだけど、なんといっても彼は敏腕営業マン(笑) 自分のペースに乗せて、あっという間に打ち解けるのはお手のもの。 ……のはずだったんだけど、カートが相手の時はそうもいかなくて

ところが、ラジオから流れる野球の中継が二人を意気投合させることに
すっかり、気を許したジェイソンは自分が入っている会社のソフトボールチームとライバル会社との試合にカートを誘います。実際、カートは大したピッチャーで連敗続きだったジェイソンの会社のメンバーたちは大喜び  そんなふうに思いがけなく友人同士になったジェイソンとカート。

そしてジェイソンは自分の会社が新しいセキュリティ人員を募集していることを知り、即座にカートに声をかけます。実はカートは不名誉除隊というネックがあったのだけど、その理由を聞かされていたジェイソンはカートは悪くないと納得ずみ。 そこで、ジェイソンはカートの保証人のような役割を果たし、カートは無事採用されることに。

そんなジェイソンに感謝するカートだったのだけど、思わせぶりな台詞を口にします。
「この恩は忘れない」

その時は聞き流したジェイソンだったのだけど、会社の人員整理の噂がたち、ジェイソン自身の身も安泰とはいえない状況になりつつある時、幸運にもライバル社員がヘマをやります。 さらに、ジェイソン自身が手がけていた契約がカートが教えてくれた情報のおかげで見事に成立 その後も、幸運な偶然が重なって、とうとうジェイソンは副社長にまで昇進

私生活でも、ずっとほしかった子供を授かり妻との仲も順調で、今やジェイソンは怖いものなし、という状態だったのだけど、ふと、自分をごまかし続けていたことに気づくときがやってきます。
そう、カートが裏で工作してくれたおかげで自分が昇進することができたという事実に。

そこで、ジェイソンはカートにもう自分のことは構わないでくれ、と思い切って言うのだけど、カートにしてみれば、そんなジェイソンの言葉は裏切りと同じ。
一転、カートはジェイソンの最悪の敵になってしまいます

それからはジェイソンにとっては悪夢の連続。
仕事で大きなミスをしたり、命を落としそうになったり……でも、やられっぱなしでいないのがジェイソンのいいところ。友人の手を借りて反撃にうつります。
果たしてジェイソンはカートに勝つことができるでしょうか?


ジェイソンは敏腕営業マンというだけあって、相手を丸め込むのがかなり上手いのだけど、元特殊部隊だったカートにどうやって太刀打ちできるのかな? と、ハラハラしましたが、なかなかどうして堂々としたものでした。 体力ではどうしても劣ってしまうのだけど、それを補うだけの頭脳がジェイソンにはあったようです。 のほほん、とした好青年という印象だったけど、実は結構奥の深い人物でありました



| サスペンス | 11:45 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
勇気の木/ダイアン・チェンバレン
ダイアン・チェンバレン
文芸春秋
¥ 890
(2004-01)
Amazonランキング: 601560位
JUGEMテーマ:読書


★★★★(4/5)

あらすじ

不治の病をかかえて行方不明となった八歳の娘をたった一人で捜索する母親。
一方、殺人罪で収監中の娘を救出しようと自ら姿をくらまして脱獄計画を実行する母親。
血をわけた子供のために必死の形相で困難に立ち向かう二人の母親が、意外な一点で激しく交錯する。(紹介文より)


〜感想〜

話は二人の母親を軸に展開していきます。

殺人罪で収監された娘を脱獄させようとする母親ゾーイと、不治の病を持つ娘を必死に捜索する母親ジャーニン。
普通ならば決して交錯するはずのない運命だった二人が何故出会うことになったのか?

重度の腎臓病を抱えているジャーニンの娘ソフィは、ありとあらゆる治療を受けたにも関わらず病状が改善することはありませんでした。絶望したジャーニンは友人のルーカスから教えられた民間のハーバリナ治療を受けることにします。

最初は半信半疑だったジャーニンだったのだけど、見違えるほどの効果が現れてソフィはほとんど寝たきりだった状態から、通常の生活ができるまでに回復します。そうして、ソフィはジャーニンにサマーキャンプに参加させてほしいとお願いするのだけど、病気が治癒したわけではないことからジャーニンは不安にかられます。
とはいえ、ソフィの一生懸命の願いを無下に断ることも出来ず、不安を隠しながらジャーニンはソフィをキャンプへと送り出す。

……それが悪夢の始まり冷や汗

ソフィが帰ってくるはずの時間になっても彼女の姿は現れず、ジャーニンは自分の不安が現実になってしまったことを悟ります。
別れた元夫のジョーもキャンプには反対だったことからジャーニンを責めるのだけど、何よりも大切なのはソフィのこと。
二人は協力してソフィを探し出そうとするのだけど、手がかりは全くつかめず時間だけがすぎていってしまう。

ソフィの病状はよくなってはいたものの、透析を続けなければたちまち以前のように悪化してしまい、最悪の場合には命を失う羽目にもなりかねないことから、ジャーニンは必死にソフィを探し出そうとするのだけど……。

一方、殺人罪で収監されている娘マーティナを脱獄させようと計画中の母親のゾーイもまた、困った事態に陥っていました。
それは隠れ家に現れた一人の少女の存在。
そう、その少女こそソフィでした。

車の事故にあったソフィは奇跡的に無傷で助かり、事故現場から知らず知らずのうちに離れて森の中に迷い込んでいたのです。
そこにいたのがもう一人の母親のゾーイなのだけど、ゾーイにしてみれば今まさに刑務所から娘のマーティナが脱獄しようとしている時に、ソフィの存在は邪魔でしかありません。
そこでゾーイはソフィを追い払おうとするのだけど……。

状況の違いはあるものの、「娘を救いたい」 気持ちはジャーニンもゾーイも同じで、それぞれが娘を助けようと必死に努力する姿には胸が熱くなります。

ソフィには一刻も早く治療をしなければならない、というタイムリミットがあるので、読んでいて緊張感がありました。
ジャーニンは周囲の人たちが諦めはじめても一人で捜索を続けるのだけど、その間にもソフィはどんどん弱っていって……。
さらには、ゾーイの脱獄してきた娘マーティナが、実は本当に人を殺していたことがわかり、ソフィの身は二重の危険にさらされることになってしまいます。

母親としてのゾーイは自分の娘への愛情と、ソフィを守らなければ、という気持ちの間で苦悩することになるのだけど……。

決して諦めず見捨てない。
そんな二人の母親の愛情に感動しました〜ポロリ
| サスペンス | 15:17 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
眠れぬイヴのために/ジェフリー・ディーヴァー
ジェフリー ディーヴァー
早川書房
---
(1996-05)
Amazonランキング: 27554位
JUGEMテーマ:読書


★★★★(4/5)

あらすじ

記録的な嵐の近づく夕方、精神病院からひとりの男が脱走した。
彼の名前はマイケル・ルーベック。
数カ月前、さる女性の証言によって、殺人事件の犯人と判決を下された男だ。脱走の目的は、その女への復讐を果たすためにちがいない。吹きすさぶ嵐の中、彼女をルーベックから守るため、三人の男が立ち上がった。

ひとりは、懸賞金目当ての元警官。
ひとりは、ルーベックの主治医。
そして、もうひとりは、彼女の夫。

それぞれの思惑を胸に、追跡を開始した三人だったが、ルーベックはことごとく彼らの裏をかきながら、少しずつ、女が住む家との距離を縮めつつあった。だれがルーベックを止めることはできるのか ― やがて、嵐がピークに達したそのとき、ルーベック脱走の本当の目的が明らかにされ始めた…。(紹介文より)



〜感想〜

復讐のために脱走した殺人犯。
殺人犯に狙われた目撃者の女性。

これだけで、ハラハラする要素は十分あると思うのだけど、さらに、女性の夫の不可思議な行動、妹との確執、賞金目当ての警官、殺人犯の主治医まで関わってきて、逃亡する殺人犯ルーベックと”追う者”と”追われる者”との息詰まるような駆け引きが描かれています。

この逃亡した殺人犯のルーベックが、なかなか一筋縄ではいかない人物。
精神分裂病であることから、長くは逃げ続けることはできないだろう、という周囲の思惑を覆して、追っ手に罠をはったり、逆に罠の裏をかいたり、と、すっかりルーベックに翻弄される始末。

そんなルーベックを阻止しようと狙われている女性イヴの夫が、自らルーベックを追い始めるのだけど、実はこの夫には隠された目的があって……。
さらには賞金狙いの元警官、ルーベックの精神科医も加わってくるのだけど、そんな3人の追跡もことごとくかわしていきます。
そのやり方は敵ながら(?たらーっ)天晴れです。

そしてついにルーベックがイヴの元にたどり着いたとき、驚くべき彼の本当の目的が明かされます。えーっ、びっくりそれが目的だったの!?
と、意表をつかれました。

狙われているイヴについても、ルーベックが彼女の元にたどり着くまでに色々と思わせぶりな態度や行動をとるので、最後までハラハラさせられました。
私には意外な結末だったけど、面白かったですわーい

| サスペンス | 22:05 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
獣たちの庭園/ジェフリー・ディーヴァー
ジェフリー・ディーヴァー
文藝春秋
¥ 950
(2005-09-02)
Amazonランキング: 128063位
JUGEMテーマ:読書


★★★☆(3.5/5)

あらすじ

1936年、オリンピック開催に沸くベルリン。
アメリカ選手団に混じって、ナチス高官暗殺の使命を帯びた一人の殺し屋がニューヨークから潜入するが、現地工作員と落ち合う際に誤った人を殺し、警察に追われる身となる。 暗殺を果たし、無事に国外逃亡できるだろうか……。(紹介文より)


〜感想〜

暗殺を命じられた殺し屋のポール・シューマンは善人は殺さず、殺しても良心のいたまない相手の場合のみ仕事を請けるようにしている一匹狼。
ところが、ある日海軍により身柄を拘束され前科をなくし自由の身になることを条件にドイツの高官の暗殺を命じられる。

彼なりの思惑もあって、ポールはその依頼を受けることにするのだけど、彼が思っていたよりもその暗殺は難しいものでした。
オリンピックの選手団に記者として同行し、無事ベルリンに着いたものの初っ端からアクシデントに見舞われ、一人の男を殺した容疑者として警察に追われる羽目になってしまう。

この追っ手の警察がなかなかの切れ者で、ポールは追っ手をかわしながら暗殺のための手立てを整えなければならなくなってしまうのだけど、追い討ちをかけるように協力者の裏切りが発覚し……。
暗殺の依頼自体が自分に対する罠だったことを知ったポールは、相手の裏をかいて反撃を開始。そうしてポールはナチス高官の恐るべき計画の存在を突き止める。

このポールは殺し屋で危険な存在なのだけど、根は善良な男。
そのために、ナチス高官の計画を知って彼は激怒します。
そして、ポールは自分の信念に従ってある行動を起こすのだけど、それは気高くも危険で厳しい人生の始まりで……。

最後には彼の無事を祈らずにはいられませんでした。


| サスペンス | 20:01 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
数学的にありえない(上下)/アダム・ファウアー

アダム ファウアー
文藝春秋
¥ 2,200
(2006-08)
Amazonランキング: 50501位

アダム ファウアー
文藝春秋
¥ 2,200
(2006-08)
Amazonランキング: 49937位
JUGEMテーマ:読書

★★★★(4/5)


あらすじ

(上) ……

破滅寸前の天才数学者ケイン。
彼を悩ませる謎の神経失調には大きな秘密があった。 それは、世界を根底から揺るがす 「能力」 の萌芽だったのだ。 それを狙い、政府の秘密機関 ≪科学技術研究所≫ が動き出し、その権力を駆使してケインを追い始めた……。(紹介文より)

(下) ……

数学者ケインとCIA工作員ヴァナー。
圧倒的窮地に陥った2人が共闘を開始した。 一方ケインを追うフォーサイス博士も戦闘のプロを動員、火力とマンパワーを増強して補足作戦を激化させる。
強大な敵に追いつめられたケインの 「能力」 はついに発現することになるのだが…… 。(紹介文より)



〜感想〜


主人公のケインは天才的な数学者で大学の講師として充実した人生を歩んでいたのだけど、ある日突然、癲癇の発作に見舞われます。
そのことが、彼の運命を大きく変えることになってしまう。

ただの癲癇の発作ではなく、周囲のものが大きく長く伸びて見え、自分以外のもの動きが止まって見えたりもします。 さらには、ケインには理解のできない映像が見えたり、ということも。
その発作は講義中でも起きることから、ケインは仕事を続けられず仕事を辞めるのだけど、生甲斐ともいうべき仕事を失ってすっかり気落ちし、気がつけばギャンブルに溺れ落ちぶれた生活する羽目に。その間にも発作は変わらずに起きていて、少しでもよくなることを望みながらケインは病院に治療に通っているのだけど、ほとんど効果はなし。

そしてある日、ギャンブルをしている途中で酷い発作に襲われます。
意識を失ったケインが目覚めた時には、ベッドの上で側には双子の兄ジャスパーが。
ケインとジャスパーは一卵性双生児なのだけど、ジャスパーもまた精神を病んで病院に入院していたという経歴の持ち主。

ケインの知らない間に退院していたジャスパーはケインが倒れたという知らせを受けて駆けつけてきたのだけど、ケインにしてみれば兄が病気になってからはお見舞いにも行かなかった自分を気まずく思うばかりで……。

「自分も兄のようになるのではないか?」 

そんな恐怖に駆られたりもします。
でも、これはケインの思い違い。 
実はケインはジャスパー以上に常軌を逸していることがわかってきます。

そして、そのケインのことを彼自身よりも詳しく知っているCIA工作員や、ある研究所のドクターたちが彼の身柄を拘束しようと暗躍し始めて……。


話は ケイン、CIA工作員ヴァナー、ケインを狙っている研究所のドクター、と3者の視点から交互に進んでいきます。 その3者のそれぞれの話がやがて一本にまとまり、そこからはケインの 「能力」 が一気に花開くことになるのだけど、そこからがまたハラハラの連続。
その緊張感がたまらなく面白かったです 

いったい、ケインの 「能力」 って
なんせケイン自身もわからないものだから、読んでるほうはもっとわからない(笑)んだけど、そのおかげでケインに共感しやすかったような気がします。
なので、彼と一緒に 「能力」 の秘密を追っていくのがワクワクして楽しかったです

ケインが数学者ということもあって、 確率論 のアレコレが説明される場面が結構多かったのだけど、それがわかりやすい文章で書いているので 「うわ、苦手」  と最初は思った私でも理解することができました。

最後のほうでは、 「私って結構かしこい?」 なんて、勘ちがいしちゃうほど(笑)


結局ケインの 「能力」 が何だったのかは書かないでおきますが、彼が自分の能力に目覚めてからは、ケインが敵から逃れるためにくり広げる見事なやり口には感嘆しっぱなしでした〜



| サスペンス | 18:31 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
ボーン・コレクター<リンカーン・ライムシリーズ1>/ジェフリー・ディーヴァー
ジェフリー ディーヴァー
文藝春秋
¥ 1,950
(1999-09)
JUGEMテーマ:読書


★★★★☆(4.5/5)

あらすじ

ケネディ国際空港からタクシーに乗った出張帰りの男女が忽然と消えた。やがて生き埋めにされた男が発見されたが、地面に突き出た薬指の肉はすっかり削ぎ落とされ、女物の指輪が光っていた……女はどこに!? NY市警は科学捜査専門家リンカーン・ライムに協力を要請する。彼は四肢麻痺でベッドから一歩も動けないのだったが……(紹介文より)

かわいい前置きかわいい

映画の 【ボーン・コレクター】を見て、デンゼル・ワシントン演じるリンカーン・ライムが印象的でした。ただ、面白いとは思ったのだけどちょっと物足りない思いをしたのを覚えています。 そんなわけで、あまり期待せずに読み始めたのだけど……

面白すぎる〜っっ!!

最初のページから最後のページまで、一気に読みました。
こんなに面白かったなんてワッ! 今まで、知らなくて損した気分に。
でも、同時にこの後も2作目〜 が読めるんだと思ったら嬉しくてたまらなかったですイヒヒ 

〜感想〜

かつて”世界最高の犯罪学者” と呼ばれた、元ニューヨーク市警の科学捜査本部長のリンカーン・ライムが主人公の本作。”科学捜査”を題材にした作品は多々あると思いますが、その中でもライムの存在は群を抜いていると思います。

過去に事故に遭い、第四頚椎を骨折したライムは首から下は完全な麻痺状態。
かろうじて動かせるのは左手の薬指と、首から上だけ。
そんなライムは自分の状態に絶望し、自殺をするための準備をしようとしています。
手を貸してくれる人物を見つけ出し、あとは話し合って実行するだけ……という時に、かつてのパートーナーで友人でもあったニューヨーク市警のロン・セリットー刑事が訪ねてくる。

そしてライムに助けを求めます。
誘拐された女性を探し出すために証拠を見てほしいと。
そんなことはまっぴらのライムは駄々をこねる(笑)のだけど、ついに興味を引かれ協力することに。自分の計画を一時棚上げして……。

最初から強烈な印象を与えるライムですが、正直人好きのするタイプとはお世辞にも言えませんたらーっ でも、それを凌駕するほどの明晰な頭脳と観察能力の鋭さにあっという間に引きつけられてしまいました。

そして、犠牲者の第一発見者となったアメリア・サックス巡査。
彼女はライムに対しても辛辣な態度を崩さず、そんな彼女に新鮮さを感じ心を惹かれます。ライムはサックスを現場に向かわせ、自分の代わりに鑑識にかからせます。
また、その言い方がなんとも”嫌なヤツ”という感じなのだけど(笑)、時々思いやりのあるところもみせたりするので、一体、どういう人なの? と、ちょっと戸惑うことも。

サックスにしても、ライムに対する印象はあまりよくないようで、彼にたいしては腹の立てっぱなしたらーっ ライムに反発を感じながらも、捜査に関わることになったサックスだったのだけど、捜査が進むうちにライムとは不思議な絆を感じるようになっていく。
ライムもサックスに嫌味な口をききながらも、実は彼女に惹かれていて身だしなみを整えたり(笑)、ちょっと可愛い一面を見せてくれます。

そして、肝心の捜査といえば犯人は犯行現場に必ず次の犯行場所の手がかりを残していくことから、犠牲者が出る前に助け出そうと努力が続けられます。その甲斐があってとうとう被害者の救出に成功。ところが、そこへFBI捜査官のデルレイが横槍を入れてきて、ライムたちの手から事件そのものが取り上げられてしまう。

そしてライムは、棚上げしていた自殺の計画を進めようと……。

四肢が麻痺してしまい、動くこともできず、感じることもできない、そんな状態はとても苦しくて辛いことだと思います。それは、他の人間が想像する以上のものでしょう。
自殺を選んだライムの判断を責めることは誰にもできない、そう思います。
ただ、それでも身勝手ながら 生きていてほしい そう思うことも事実なわけで……。

ライムが最終的にどの道を選ぶのか?
事件の行方が気になるのはもちろんなのだけど、それ以上にライムがどうするのか?
そっちの方が気になって仕方ありませんでした〜ひやひや

でもとにかくライムと仲間たちがくり広げる科学捜査のやり方にはワクワクさせられました。一つ一つ証拠が増えていくたびに犯人のこともわかっていって、その証拠をもとに、犯人の狙いや、行動を分析して追いつめていく様子の見事なこと猫2 

ライムを始め、彼に協力するセリットーやサックス、ライムの介護士のトムなど、登場人物たちが生き生きと描かれていて、あっという間に彼らの世界へ引き込まれていきます。最後まで一気にひっぱっていくストーリーの見事さとキャラクターの魅力にすっかり虜にされました(笑) 早く二作目を読みたいですわーい

次は  『コフィン・ダンサー』  へ。
| サスペンス | 19:02 | comments(2) | trackbacks(0)|- pookmark
善良な男/ディーン・クーンツ
JUGEMテーマ:読書


★★★☆(3.5/5)

あらすじ

「ここに半分ある。残りは女がいなくなってからだ」
なじみのバーで、レンガ職人のティムは見知らぬ男から奇妙な言葉とともに封筒を渡された。封筒には札束と、名前と住所を記した女性の写真が入っていた。ティムは人違いで殺人を依頼されたことに気づくが、男は去っていった。ティムは標的の女性を探し出して警告するが、早くも二人に不気味な殺し屋の魔の手が迫っていた……。(裏表紙より)


かわいい前置きかわいい

前作 『ハズバンド』 では、愛のために死ねるか? 人を殺せるか? と愛のためにどこまでできるのか? という究極の愛の形を追求していましたが、本作品は一人の善良な男がどこまで正義を貫けるのか? といったことが描かれています。人間場馴れした殺し屋冷や汗とティムの対決に固唾をのみました〜ショック

〜感想〜

人違いで殺人を依頼されてしまったティム。
とっさにそのことを利用して、今度は依頼人になりすまし現れた殺し屋本人に、依頼は取り消す、と伝えます。なんていう度胸ひやひや と、驚きながらも頭いい〜と感心イヒヒ そうやって、時間をかせいだティムは標的の女性のもとへと警告するために向かいます。なぜなら、殺し屋が乗り込んだ車は警察のもので、ことがそう単純なものではないということに気づいていたから。

殺し屋が立ち去った後で、すぐに標的の女性のもとへ向かったティムはまずは、近所の共通の知人を訪ね、彼にティムの人物証明をしてくれるように頼みます。
せっかく、警告に行ってもすぐ信用してもらえるとは限らないですものね。でも、こういったことにまで気がつくティムっていったい……おや?

そもそも、巻き込まれただけのレンガ職人が殺し屋を出し抜いてまで標的を助け出そうとすぐに思うのは何故? なんで自分が殺し屋と渡り合えると思うのか? と当然の疑問が頭に浮かぶのですが、それらの疑問の答えは話が進むうちに少しずつ明かされていきます。

何はともあれ、標的の女性に会えることになったティムでしたが、その女性はリンダ・パケットといい、一風変わった雰囲気を持ち初対面からティムを戸惑わせる。面食らいながらも、事情を説明するティムに対しても冷静に受け答えをし、ティムが嘘をいっているのではないとすんなり信用する。命を狙われる心当たりがないかと訪ねるティムだったのだけど、リンダ自身もさっぱり検討がつかない。
とりあえず、身を守るために家を出ることを提案するティム。
そこへバーのオーナーで友人でもあるルーニーから電話が入る。殺し屋がティムのことを聞きに戻ってきたと知らされ、すぐに別の場所へと移動を開始する。

とにかく、ティムが謎ですおや?
殺し屋に狙われるリンダにも何か隠された過去があるようなのですが、ティム自身が謎めいた人物のために、彼女の過去がそれほど気にならなくなってしまいましたたらーっ でも、その代わりに(?)と言ってはなんですが、ティム自身がリンダの謎に惹きつけられています(笑)

どうやら、ティムのレンガ職人というのは最近の職業らしく、過去には違うことをしていたようで、殺し屋に追われているうちにそんなティムの過去が少しずつ見えてきます。大体こういう過去かな、と想像はつくのですが、なんといってもクーンツの作品なので、実は超能力者だったとか、っていうのもアリかな、と深読みしたりもして(笑)なかなかティムの正体がわかりませんでした。へたにクーンツの作品を読んでいない方が、素直にストーリーを追っていけたかもしれないですたらーっ

そんなふうに勝手にやきもきしながら(笑)読み進むうちに、殺し屋のことも少しずつわかってきます。彼は秘密組織に雇われている殺し屋で、何度も彼らからの依頼を受けているのだけど、今回ティムの妨害が入る事で今までにない興奮とやりがいを感じ始めます。この殺し屋は独特な性格で、自分はより優れた存在で他の人間とは異なるルートで生まれてきたと信じたがっています。そのため、他の人間に対して感情らしきものを抱くこともなく、彼が好きなのは暴力や悪意、絶望、怒りといったもので、それらと対照的な善意、希望、優しさといったものには我慢ができません。

そんな相手に狙われたリンダとティムはたまったものじゃないひやひや
組織のバックアップを受けて、常に二人の先を行き待ち伏せをしている殺し屋をふりきるのには、かなり苦労させられてます。ティムがいつまでリンダと自分を守り続ける事ができるのか。わずかの差で殺し屋を出し抜き続けるティムですが、いつかは彼もミスをおかすかもしれない。そこで、ティムはリンダが狙われるそもそもの原因を突き止めようとするのだけど……。

殺し屋のほうが先手を打ち、こともあろうにティムの母親の家を突き止め彼女を人質にとってしまう。母親と引きかえにリンダを渡すようにティムに要求する殺し屋。
大切な母親を救うためにリンダを引き渡すか、それともリンダを救うために母親を見殺しにするか。……正しいことはいったいどちらなのか?
苦悩した末にティムがとった行動は……。

ティムという人物から想像できるように母親もまた心正しく思いやりのある女性です。そんな人物なので、殺し屋と対峙したときも毅然とした態度で臨むのですが、彼の目的がティムだと知ったとき、その態度にも綻びが生じます。さらには、自分がティムを苦しめる手段として利用されることに愕然として、正しいことをしてほしいと願いながらも、どちらを選んでもティムが苦しむことを知って苦悩する姿に、彼女の愛情がひしひしと伝わってきて、ティムが羨ましいような気持ちにもなりましたてれちゃう

最後に、リンダが狙われた原因が明かされるのだけど、相手のあまりにも勝手な理屈に唖然ひやひや 腹が立って仕方がなかったけれど、ちゃんとティムが手を打ってくれたのでスッキリラッキー 殺し屋にしろ黒幕だった組織の面々にしろ、ティムを見くびったのが運のつきでした。

やっぱり 「正義は勝つ」チョキ のです わーい


| サスペンス | 19:25 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark


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