スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | -|- pookmark
刀語 第十二話<炎刀・銃>(完)/西尾 維新
JUGEMテーマ:読書

★★★★ (4/5)

あらすじ

虚刀流・鑢七花と奇策士・とがめによる伝説の完成形変体刀蒐集の旅は、否定姫の腹心・左右田右衛門左衛門の所有する最後の一本―炎刀『銃』を前に、最期にして最悪の試練を迎えていた―。
容赦なく、迷いのない“弾丸”に貫かれたとがめを、七花は果たして救うことができるのか―!?
西尾維新と竹が描く、時代活劇絵巻。
とある歴史の物語―これにて終幕。
刀語、第十二話の対戦相手は、否定姫腹心にして元忍者、左右田右衛門左衛門(紹介文より)

〜感想〜

『刀語 第十一話<毒刀・鍍>』 に続く12作目、『刀語 第十二話<炎刀・銃>』 最終巻です。

前作で、”否定姫” の右腕、左右田右衛門左衛門によって、完成形変体刀最後の1本 ”炎刀・銃” で撃たれたとがめでしたが、撃たれた場所は的確に急所にあたり致命傷を負ってしまいます。

ついさっきまで和やかに話していたとがめが気づけば血まみれで地面に横たわっている……七花は現実を受け入れることができずしばらく呆然として動けなくなってしまいます。
そんな七花に何の感情も見せず、淡々と言葉をかける左右田右衛門左衛門。
とりみだしたまま、左右田右衛門左衛門に向っていく七花だったのだけど、あっさり退けられてしまいます。 そして、「奇策士に別れを告げるだけの時間は残っている」 と言い、その場から立ち去っていきます。

左右田右衛門左衛門に復讐したいという気持ちを抱きながらも、七花はとがめの側へ行くのだけど近くに行くと傷の深さがはっきりとわかり、本当にとがめは助からないということを思い知らされて……。 子供のように泣き崩れる七花だったのだけど、死に掛けている張本人のとがめは逆に不思議な落ち着きを見せます。

そうして、とがめは七花に衝撃の事実を打ち明けます。

はじめからとがめの父親を処刑した七花の父親の六枝(むつえ)を許すつもりはなかったと
すべてが終わったら二人で旅を続けるというのも、七花に対して抱いている暖かい感情もすべては復讐という目的を遂げるための ”策” にすぎず、最後には七花を殺すつもりだったのだと

とがめが自分を置いて死んでしまうということにただでさえ、ショックを受けているのにそのとがめからさらに追い討ちを掛けられた七花はすっかり打ちひしがれてしまいます
そもそも七花にとって、とがめは絶対の存在で彼女の命令ならばそれがどんな内容でも従うつもりです。 たとえ、それが 「死ね」 という命令だとしても……。

それだけに、どうしても七花は ”何故 ” という気持ちが押さえ切れません。 
子供のように泣きながら問いかける七花に、とがめはそもそもの旅の始めからの想いを淡々と語り始めます。でも、そんなふうに七花を突き放すように話し、”策” だ ”道具” だと口にしながらも、七花に対して抱いた感情も、語りかけた言葉も ”本物”だったのだと打ち明けてくれます
ただ、どうしても復讐を諦めることができなかっただけで……。

……もう、なんでそんなふうにしかできないんだろう、と悲しいやら切ないやら
しかも七花が子供のように泣き叫ぶものだから、なおさら痛ましくて……。

実は、なんとかとがめが助かるんじゃないか、と多少の期待はあったのだけど、そんな甘い期待が叶えられる余地は全然なくて……。
七花ととがめの別れの場面は涙なしでは読めませんでした

一方、左右田右衛門左衛門にとがめを排除させた ”否定姫” は、12本の完成形変体刀を手に入れ、彼女自身の目的を叶えるために尾張幕府の中枢へと近づき行動を起こします。 ”否定姫”の最終的な目的は先祖の伝説の刀鍛冶士四季崎から続く願い、”歴史を変える” こと。
実際、ほとんど成功していて ”否定姫” が仕上げをする、というところまできていたのだけど、そこへ七花が単身乗り込んできて……。

果たして七花の目的は
左右田右衛門左衛門への復讐か、それともとがめの遺志を受け継いで叶えようとしているのか……。

すべての枷を解かれた七花のとんでもない ”強さ” に惚れ惚れ
12本の刀を手に入れるためのそれぞれの戦いで得た経験を生かして、最後に七花の前に立ちはだかる12人の敵を、次々に倒していく様子は圧巻でした。

長くて短かった七花ととがめの旅。
二人に関わってきた”真庭忍軍” ”否定姫” ”左右田右衛門左衛門” ”完成形変体刀の持ち主たち”  等々、様々な出会いを重ねて、七花ととがめが得たものとは

切ないながらも、少しの救いと希望のある結末でした


| ふぁんたじぃー | 13:52 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
刀語 第十一話<毒刀・鍍(めっき)>/西尾 維新
JUGEMテーマ:読書



★★★★ (4/5)

あらすじ

伝説の刀蒐集完了まで残りあと二本!!毒刀『』を手にした真庭鳳凰は触れるもの全てを斬殺する殺意の化身と化し、真庭忍軍の本拠地“新・真庭の里”に向かう。
虚刀流・鑢七花と奇策士・とがめも、鳳凰と刀を追い、伊賀の山中へ!血塗れた里にひとり佇む鳳凰から告げられる、“乱世”を貫く壮大な秘密とは―!?
悲劇の“終局”まで待ったなし!刀語、第十一話の対戦相手は、真庭忍軍十二頭領がひとり、真庭鳳凰!。(紹介文より)

〜感想〜

『刀語 第十話<誠刀・栓>』 に続く11作目です。

前作の最後のほうで ”誠刀・栓” を手に入れた七花ととがめの前に、突然重傷を負った真庭忍軍の生き残りの真庭人鳥(ぺんぎん)が姿を現し「鳳凰さまを助けて」 と言ってそのまま倒れてしまいます。とがめはとりあえず旅館に運び手当てをして事情を聞きだすことに。

どうやら、”毒刀・鍍” は鳳凰が先に手に入れたものの、その独特の特徴から刀に実際に触れることができず布に包んで持っていたのだけど、そこへ左右田右衛門左衛門が現われて鳳凰との戦いが始まってしまい、鳳凰が不利と見た人鳥(ぺんぎん)がとっさに毒刀を手渡してしまうのだけど、それが逆に命取り

”毒刀・鍍” の毒に侵されてたちまち鳳凰は正気をなくし、左右田右衛門左衛門を倒したもの仲間の人鳥にまで襲い掛かってきます。そうして、重傷を負った人鳥はそのまま討ち捨てられ、鳳凰は真庭忍軍の本拠地へ姿を消して……。

そこへ通りがかったのが七花ととがめだった、ということになるのだけど、そんないきさつを聞きながら、いったいどこまでが真実なのか 本当に鳳凰を助けてほしいのか、それとも罠なのか 
とがめと七花は十中八九は罠だと思いながらも、とにかく ”毒刀・鍍” を手に入れなければならないことに変わりはありません。
とりあえずは、人鳥の情報を元に真庭鳳凰が戻ったという真庭忍軍の本拠地へと向います。
そうして、着いた先で待っていたのは……

”毒” に侵されてすっかり人格の代わってしまった鳳凰。
”毒刀・鍍” の ”毒” の正体は、12本の完成形変体刀を作り上げた ”四季崎” の記憶そのもの 完全に四季崎の人格に乗っ取られてしまい、鳳凰を助けることは不可能な状態に。

そうして、七花ととがめは四季崎からそもそも何故こんな刀を作ったのか?
何が目的だったのか?
そして、七花自身の本当の姿とは?

といった、もろもろの謎について語っていきます。
そうして、すべてを語った後に ”虚刀流” を受け継ぎ ”完了形変体刀” としての七花との戦いを繰り広げ……。

流石はクライマックス直前というだけあって、圧倒される展開になっています。
色々謎だったことが明らかにされたことで、かなりスッキリしました。
旅の終わりが目前に迫ったことで、そのあとどうするのか、をはぐらかし続けていたとがめが七花とともに、旅を続けよう、と口にもし始めて……。

ああ、よかった
とホッとしてたのだけど、でも、最後の最後でそんな甘い期待はしっかり裏切られてしまいました

四季崎を倒し”毒刀・鍍”を手に入れて、旅の終わりに二人で別の旅を続けよう、なんて話をして和んでいたとがめと七花の前に、”否定姫”の命を受けた左右田右衛門左衛門が現われて、無造作にとがめに ”炎刀・銃” を向けて銃弾を打ち込みます。
血を流して地に横たわるとがめの姿に、七花は身動きすることもできずただただ呆然とするばかり……

……今までの話の流れから、すっかりハッピーエンドになると思い込んで油断していただけに、この展開は結構ショックでした
果たして、このままとがめは命を落としてしまうのか、それとも助かるのか
次の最終話 『刀語 第十二話<炎刀・銃>』 に続きます。


| ふぁんたじぃー | 20:24 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
刀語 第十話<誠刀・栓(せん)>/西尾 維新
西尾 維新
講談社
¥ 1,155
(2007-10-02)
Amazonランキング: 86024位

JUGEMテーマ:読書


★★★★ (4/5)

あらすじ

虚刀流・鑢七花と奇策士・とがめが蒐集する変体刀は、いよいよ十本目。
対象は誠刀『銓』、所在は陸奥の百刑場。
そこは、先の大乱を導いたとがめの父・飛騨鷹比等が、七花の父・鑢六枝に斬殺されたという呪われた土地だった。
いまは何もない原っぱ―百刑場に突如出現した“仙人”は、とがめの心をかき乱し、七花に“意識”の戦いを強いる!刀語、第十話の対戦相手は、変幻自在の彼我木輪廻。(紹介文より)


〜感想〜

『刀語 第九話<王刀・鋸>』 に続く10作目です。

今回は今までとはちょっと違った展開で、七花ではなくとがめが刀を手に入れるために ”誠刀・栓” の持ち主、彼我木と渡り合うことになります。
といっても、戦うわけではなくて彼我木はすでに ”誠刀・栓” を手放していて、こともあろうに土中に埋めたといいます。
ただ、その場所は曖昧で……
刀がほしければ、掘り出せばいいということらしいのだけど、でも、掘るのは七花ではなくとがめがしなければならない、と言い出します。
心配する七花をよそに、とがめは 「やってやる」 とかなりの意気込みでひたすら ”誠刀・栓” を見つけるために掘り続けるのだけど……。

今回、”誠刀・栓” の持ち主がいる場所、陸奥の百刑場は実はとがめの父親が領主をしていた土地で、尾張幕府に反逆したことで処刑された地でもあります
とがめにとっては辛い過去を思い出させる場所なだけに、いつものキレをなくしたとがめの姿を見て七花はかなり心配するのだけど、でも、そんな七花の父親の六枝がとがめの父親を処刑した張本人 複雑な気持ちになる七花だったのだけど、そんな七花とただひたすら土を掘り続けるとがめの姿を見ながら、彼我木は謎掛けのようなことを言うばかり。

この彼我木はただの人間ではなくて ”仙人”でもあるので、人には見えないものや気づかないことがわかるようで……七花にはさっぱり理解できないのだけど、とがめに彼我木の話を伝えると 「そういうことか」 と彼女には思い当たることがあるらしく、今まで続けていた作業をやめてしまいます。 そして、途中で掘り当てていたもののガラクタだとよけていた物体を手にします。
実は、それこそが ”誠刀・栓” でした。
”刀” にはとても見えない形ではあるけれど、四季崎の今まで集めた9本の完成形変体刀はどれもそうなので、今更というところでしょうか

そうして、とがめは彼我木の目論見を見破り彼に語りかけるのだけど、そうすることで同時に自分でも忘れていた過去のことを思い出すことになります。
刀集めの旅も終わりに近づいてきたせいか、とがめ、七花、否定姫、左右田右衛門左衛門、鳳凰といった生き残った主要人物それぞれの謎だった過去や想いなどが、明らかにされてきています。

今回はとがめだったわけですが、これで一つの区切りがついたような感じです。 とがめが七花のことを恨んでいないこともわかり、七花との旅の終わりがひょっとしたらハッピーエンドかも と思えるような雰囲気になってきました
できればこのまま進んでいってもらいたいものですが……。

次の 『刀語 第十一話<毒刀・鍍>』 に続きます

| ふぁんたじぃー | 22:01 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
刀語 第九話<王刀・鋸(のこぎり)/西尾 維新
西尾 維新
講談社
¥ 1,155
(2007-09-04)
Amazonランキング: 114857位

JUGEMテーマ:読書
 
★★★☆ (3.5/5)

あらすじ

出羽は天童将棋村―。
無刀の剣士・鑢七花と奇策士・とがめは、王刀『鋸』を振るい、心王一鞘流をたった一人で守る汽口慚愧の道場を訪ねる。
とがめがめぐらした奇策に、全身全霊で攻め入る汽口!一方で、否定姫配下の元忍者・左右田右衛門左衛門による真庭忍軍への残忍な粛清は静かに続く―!刀語、第九話の対戦相手は、心王一鞘流当主、汽口慚愧。(紹介文より)


〜感想〜

『刀語 第八話<微刀・釵>』 に続く9作目です。

今回の相手は汽口という、今まで戦ってきた刀の持ち主たちとは違って、”真っ正直で誠実” な、まぶしい(笑)人物。
”王刀” というだけあって、持ち主も ”王” の名に相応しい人物になる、ということなのかもしれません。

そんな、とっても真っ当な気性の持ち主の汽口は、七花と戦うにも ”丸腰”の相手に刀で向うことはできない、と言い出します。
なので、七花に刀を持たせて戦おうとするのだけど、七花は刀を持って戦うと弱くなる、という体質(? )なので、刀を持っての戦いで七花が勝てるはずはありません。

もちろん勝ったのは汽口。
七花にしてみれば、無刀のほうが強いだけに何とか汽口に説明しようとするのだけど、とにかく真っ当な気性の汽口はわかってくれません。
そうして、意外なことを言い出します。
多少なりとも戦えるように、自分が七花に剣を教える、と
……どこまでも正々堂々の汽口にさすがの七花ととがめも調子が狂ってしまうのだけど、とりあえず七花は汽口に剣を習うことに(笑)

一方、とがめのライバル ”否定姫” も右腕の左右田右衛門左衛門に、何かと裏で画策している”まにわに”(真庭忍軍)を束ねる首領”鳳凰”を排除するよう命じます。
七花が剣を習っている間に(笑)、まにわにの鳳凰と左右田右衛門左衛門との戦いが繰り広げられるのだけど、どうやらこの二人は過去からの因縁があるようで……。
謎めいた元忍び、左右田右衛門左衛門の過去が明らかにされてます。
なかなかシブくてカッコいい左右田右衛門左衛門なんですが、敵に回すとなんとも手ごわい相手だというのがひしひしと伝わってきて、七花が彼と戦ったら苦戦しそうな感じです。
そんな時が来るまでに、七花にはもっと強くなってほしいものですが。。。

とりあえず、今の相手 ”王刀・鋸” の持ち主、汽口との戦いが先です。
なんだかんだで、剣の稽古を終えた七花は再び汽口との対戦をすることになるのだけど、多少はましになったとはいえ、やはり勝てるはずもありません。
そこで、 ”奇策士” とがめの作戦がものをいうことになります。
いつも思うんですけど、よくもまあ、そんな策を考え付くものだと感心させられます。まさに ”奇策” という感じで。
七花を信頼して心を開くようになってから、まさにバカップル(笑)という感じのとがめですけど、やはりいざというときは頼りになります

そして、やはり今回もとがめの策が見事に成功。
七花は汽口に勝ち ”王刀・鋸” を手にすることができました。
これで、残りの刀は ”誠刀・栓” ”毒刀・鍍” ”炎刀・銃”のあと3本
どの刀の持ち主も手ごわい敵なことは確かで、七花自身に関する謎も出てきたりしているので、色んな意味でこれからの展開からは目が離せません

次の 『刀語 第十話<誠刀・栓>』 に続きます。

| ふぁんたじぃー | 13:15 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
刀語 第八話<微刀・釵(かんざし)/西尾 維新
JUGEMテーマ:読書

★★★☆ (3.5/5)

あらすじ

姉・七実との死闘を経て、名実共に日本最強となった七花と、伝説の変体刀を七本まで蒐集した奇策士・とがめは江戸の奥地に広がる人外魔境の異界・不要湖へと足を踏み入れる。
“敵”か、“味方”か!?
―とがめたちを揺さぶる監察所総監督・否定姫と、配下の元忍者・左右田右衛門左衛門!そして、残すところ四人!真庭忍軍の次の一手とは―!?
刀語は後半戦に突入!目まぐるしく動く因縁の物語!刀語、第八話の対戦相手は、不要湖を守護する日和号。(紹介文より)

〜感想〜

『刀語 第七話<悪刀・鐚(びた)』 に続く8作目です。

前作で姉の七実と死闘を繰り広げ、”悪刀・鐚”を手に入れた七花ととがめは、尾張幕府での政敵 ”否定姫”の右腕の左右田右衛門左衛門から再び、次の刀 ”微刀”の持ち主がいるという ”不要湖”の場所を教えてもらいます。

ライバルのはずなのに、何故情報を教えてくれるのか?
何か企みがあるようなのだけど、そのことに気づきながらもとりあえずとがめはその情報を利用することにします。
そうして、七花と ”不要湖”に向うとがめだったのだけど、そこにいたのは ”日和号” という名のからくり人形。 近づく人間すべてを殺すというぶっそうな人形で、七花も近づいた途端攻撃されるのだけど、攻撃を受けて七花は日和号こそが ”微刀・釵” だと気づきます。
いったい、こんな形態の刀をどうやって手に入れたらいいのか?
さっぱり見当がつかない七花だったのだけど、まあそれはいつものこと(笑)

こんな時こそ、”奇策士” とがめの出番ということで、とがめがまたもや見事な”策”を披露してくれます。 自分には理解できない”策”ではあったけれど、とがめを無条件で信頼している七花は彼女の策を忠実に実現していきます。
すると…… とがめの策が功を奏して日和号の動きが止まり、”微刀・釵” を手に入れることに成功。 さすがはとがめ!とひたすら感心する七花が微笑ましかったです

今回、戦う相手の ”日和号” は感情も意思も持たずに、ただ戦うだけのからくり人形で、七花は戦いながらそんな日和号の姿にかつての ”刀” としての自分を重ねます。
今の自分との違いを実感した七花は、以前の自分と最初の頃に戦った相手に申し訳ない気持ちになって……。

そんな七花の気持ちを読んで、本当に ”人間らしく” なったんだな〜、としみじみ実感。 成長した子供を見るような気持ちに(笑)

七花もとがめも、最初の頃に比べると気持ちにかなり変化が起きています。
すべては自分の目的をかなえるための ”道具” と誰も信じず、心を開くこともなく、どんな人間でも利用して、裏切ることも当たり前、そんなふうに思っていたとがめは、初めて七花という”他人”を信じるようになりました。

感情を交えることなく、たとえ相手が自分の肉親であっても必要ならば殺すことができる、ただの ”刀” だった七花も今では戦う相手のことを考えて悩んだりするようにもなりました。

ただ、お互いの存在が与えた影響が必ずしも良いというわけでありません。
とがめの目的は自分の父親を殺し故郷を滅ぼした尾張幕府への復讐だけれど、七花の父親は尾張幕府の命を受けてとがめの父親を殺した仇でもあります。
果たしてとがめはこの旅の終わりに七花をどうするつもりなのか

今ではすっかり、感情の育った七花にとって気になるのは、旅の終わりがどうなるのかということなのだけど、聞いてもとがめははぐらかすばかり。 
12本の完成形変体刀はすでに8本まで手に入れたものの、七花ととがめの旅の終わりが果たしてどんな結末を迎えるのかなんだか不吉な予感がします。。。

次の 『刀語 第九話<王刀・鋸>』 に続きます。



| ふぁんたじぃー | 21:52 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
刀語 第七話<悪刀・鐚(びた)/西尾 維新
JUGEMテーマ:読書

★★★★ (4/5)

あらすじ

奇策士とがめと旅を続ける無刀の剣士・鑢七花を襲う、最大・最恐・最悪の試練―。
刀大仏が鎮座する聖地・清涼院護剣寺で、この世で唯一血を分けた姉との、血で血を洗う死闘!悪刀『鐚』を携え、七花の前に立ちはだかる姉に、七花はその剣を振り下ろせるのか―!?(紹介文より)

〜感想〜

『刀語 第六話<双刀・鎚>』 に続く7作目です。

少しずつ、人としての感情が育って(? 笑)きた七花は、前回初めてとがめの指示に従いませんでした。 他に方法がない、とやむを得ず双刀・鎚の持ち主、凍空こなゆきを 「殺せ」 と命じたとがめに 「承知」 と答えながらも、虚刀流の奥義の1つを使ってこなゆきの身体を乗っ取った真庭忍軍の狂犬(けふけん)だけを倒し、こなゆきを助けるという離れ業をやってのけました。

遭難したとがめと七花を助けてくれた命の恩人だったこなゆきを助けることができたのは良かったものの、自分の指示に従わなかった七花に複雑な気持ちを抱くとがめだったのだけど、良くも悪くも ”人” としての感情を育てていく七花の変化が、刀を手に入れるための戦いに与える影響をどこまでコントロールできるのか? 興味津々です

さて、今回七花が戦うのは実の姉の七実になるのだけど、七実は ”目で見ただけですべての技を取得”してしまう天才。 七実が強くなりすぎることを恐れて、父親の六枝(むつえ)は虚刀流を七実ではなく七花に継がせたという経緯もあることから、七花が七実に勝つのはほとんど皆無と言っても過言ではありません。そんな七実との戦いに勝つにはいったいどうすればいいのか?
早速、”奇策士” とがめの腕の見せ所です

七花がとがめと旅立ってからも、外の世界にでれば長くは生きていけないほどの虚弱体質ということもあって不承島に残っていた七実だったのだけど、真庭忍軍(略して ”まにわに” by七花命名 笑) ”虫組” の襲撃を受けてから、何か思うところがあったのか、無人島を出て独自に四季崎の完成形変体刀を探しに旅に出ていました。 そうして、七実は七花ととがめよりも先に蝦夷の地 、”凍空一族”の村を襲撃し(実は雪崩で壊滅したのではなく、七実の襲撃によって全滅 
こなゆきはたまたま村にいなかったおかげで生き残りました)、”双刀・鎚” を手に入れようとしたのだけど、「自分にはあわない」 という理由で結局”鎚”はそのまま放置

すぐにその場を後にして次の目的地へと向かい、”悪刀・鐚” を守っていた一族をこれまたあっさり全滅させて、今度は自分にぴったりだと”悪刀・鐚” を手に入れます。
その後、七実は刀大仏が鎮座する聖地で七花ととがめを待ち受けることに。

一方、旅を続ける七花ととがめは何者かが自分たちよりも先に ”悪刀・鐚” を手に入れたことを知らされます。しかも、その正体不明の何者かはとんでもなく強いらしく……。
そんな七花ととがめの前に、尾張幕府でのとがめの政敵 ”否定姫”に付き従う左右田右衛門左衛門が現れて、驚くべき情報を明かします。

それは、毒刀・鐚を手に入れたのは七花の姉の七実だということ。
驚く七花ととがめだったのだけど、右衛門左右衛門の案内で七実の待つ地へと向います。 そうして再会した七花と七実だったのだけど……。

七実は最初から七花と戦う気満々で 
とがめと旅をする間に ”刀” から 少しずつ ”人間” に変化した七花の姿を見て、七実は 「悪いほうに変化した」 と感じてとがめを責めるのだけど、「持ち主の私が刀をどう扱おうと勝手だ」 と平然としたもの。

昔から七実に頭の上がらない七花はたじたじとなるのだけど、それでもとがめと旅に出てひとクセもふたクセもある敵たちとの戦いで経た経験のおかげで、七実との戦いにもそれなりの自信を持って臨むことになります。

ところが、いざ戦ってみるとまるで歯が立たなくて……。
七花の最終奥義 ”七花八裂” もあっさり破られてしまいます
流石に激しく落ち込む七花だったのだけど、その理由の大半はとがめの”刀”としての自分の不甲斐無さにたいして。
そんな七花に、とがめはいつまでも落ち込んでないで次の再戦でどうやれば七実に勝つことができるのか、”奇策” があると言って……。
七花が勝つための策を考えるのは自分の役目だと、なんとも頼もしいことを言ってくれます。

とがめに愛想をつかされていないことがわかった七花はたちまち元気を取り戻します。(……単純ですね そうして、”奇策士” とがめの本領発揮
七実を倒すのは絶対に不可能と思えたのに、とがめは見事に七実の強さを封じ込める策を成功させて、七花は勝つことができます。

でも、それは七花が七実を殺すことでもありました
今では ”ただの刀” ではなくなった七花が悲しむことは当然で……もっとも、虚弱体質でずっと辛い思いをしていた七実は、最初から七花に殺されたかったようで、最期は満足して息を引き取ることになります。

今回は、七花ととがめのお互いに対する信頼と絆をよりいっそう深めることになりましたが、七花にとってはなんとも切ない結末の話でした

今回の経験でまた少し成長した七花と、”奇策士” としての本領を発揮し始めたとがめの次の戦いがどんな感じになるのか……ちょっと怖い気もしますが、ドキドキしながら次の 『刀語 第八話<微刀・釵(かんざし)』 へ。


| ふぁんたじぃー | 18:37 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
刀語 第六話<双刀・鎚(かなづち)>/西尾 維新
JUGEMテーマ:読書

★★★★(4/5)

あらすじ

絶対凍土の地、蝦夷の踊山を彷徨う無刀の剣士・鑢七花と美貌の奇策士・とがめの前に姿を現したのは、天真爛漫な少女、凍空こなゆき―!吹きすさぶ豪雪と疾風のなか、七花が絶体絶命の危機に!!追い詰められた真庭忍軍の切り札と、とがめを狙う謎の第三勢力の蠢動やいかに!?(紹介文より)

〜感想〜

『刀語 第五話<賊刀・鎧>』 に続く6作目です。
前作で、初めて七花は相手を殺さずに倒すという経験をしましたが、そうしたことによって七花自身の心に少しずつ変化が起きはじめます。

あくまでも自分の持ち主である奇策士とがめの ”刀” として感情の入る余地のない戦いをしてきた七花が、とがめの指示に従いながらも自分でも考えて判断するようになってきて……。
本作は、そんな七花の変化が最初に表面化する話になっています。

今回の刀は ”双刀・鎚(かなづち)”。
”双” の言葉から2刀なのかな、と想像していたら、全然違っていて実際の形は棍棒のに似ていて……。しかも、その重さは異常なくらいでとがめはもちろん、七花でも持ち上げることができません

”鎚” の持ち主は、極寒の地に住んでいる ”凍空一族” という人々だったのだけど、とがめと七花が遭難しながら(笑)も、たどり着いたときには村は雪崩によって壊滅し、生き残ったのは二人を助けてくれた ”凍空こなゆき”という少女だけ、という予想外の事態が待ち受けていました。 しかも、こなゆきは遭難していたとがめと七花を助けてくれた命の恩人でもあります

まずは、交渉から、ということでとがめがこなゆきに ”鎚” のことを訪ねると、ある村人がそんなようなのを持っていたということを思い出して、よかった探してきてあげる、と、あっさり承知してくれます。
こんなに簡単でいいのか……、と思うとがめと七花だったのだけど、”鎚”を持って帰ってきたこなゆきは、「自分と戦って勝ったら渡す」 と言い出して……

今回、七花が戦う相手のこなゆきは今までと違って、ど素人なだけに逆に七花は苦戦することになります。 思いがけない動きをするこなゆきに七花はどう戦っていいのか戸惑ってしまい、なんと初めての怪我と敗北を味わうことに
しかも、こなゆきから 「ごめん、こんなに弱いと思わなかった」(笑)とまでは言われてしまいます

いったい、どうやってこなゆきに勝って”鎚”を手に入れるか考える七花だったのだけど、とがめは戦わなくてもいい、と言い出します。どうやらこなゆきが勝負を持ちかけたのは、ただ、突然一人ぼっちになって寂しくて七花ととがめに少しでも長く一緒にいてほしかったから、だったようで……。

実際、こなゆきも七花に怪我をさせてしまったことで罪悪感に襲われ、素直に謝って”鎚”を渡そうと考えるのだけど、その時、七花ととがめの因縁の相手 ”真庭忍軍” の忍の1人、狂犬(けふけん)が仲間を倒された復讐を果そうと姿を現し、怪しげな術でこなゆきの体を乗っ取ってしまいます

そんなこなゆき(中身は忍の狂犬)を前に、とがめは苦い思いをかみ締めることになります。驚異的な身体能力を持っているとはいえ、こなゆきは肉親や近しい人を亡くして寂しがっている少女で、しかも七花ととがめの命を救ってくれた恩人でもあるわけで……。

「こなゆきを殺せるか?」 と問うとがめに 「ああ」 とあっさり応える七花。

七花にも苦い思いを抱きながらもそれ以外に方法はないと、とがめは結局七花にこなゆきを「殺せ」と命じるのだけど、ところが七花は意外な行動に。
虚刀流の奥義の1つを使って、狂犬だけを倒しこなゆきを元に戻すという離れ業をやってのけます。
どうやら自分なりに、こなゆきを助けられないかを考えたようで……。
ずいぶんと人間らしくなったな、と感慨深いものがありました

とがめも、そんな七花の行動に驚きながらも感心するのだけど、でも、また別の懸念が湧いてくることに。 それは、結果的に七花がとがめの命令に従わなかったということ。

段々、人間らしくなってくる七花の変化がこれから先の旅にいい結果をもたらすのかどうか 予想がつかなくなってきてます。
なので、この先はとがめの奇策士としての腕の見せ所ってことになりそうです

なにはともあれ、四季崎の作った完成形変体刀の6本目GET(もう、使わない? 笑)です
次は七花の姉、”天才”七実との対決が待つ 『刀語 第七話<悪刀・鐚(びた)>』 に続きます。



| ふぁんたじぃー | 20:43 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
刀語 第五話<賊刀・鎧>/西尾 維新
JUGEMテーマ:読書

★★★★(4/5)

あらすじ

薩摩の港町を一手に仕切り、賊刀『鎧』を所有する鎧海賊団船長・校倉必。“日本最強”を襲名した無刀の剣士・鑢七花と、変体刀を蒐集する美貌の奇策士・とがめは、“あるもの”を賭けての勝負を校倉から挑まれる――!“愛”に戸惑い、苦悩し鈍る七花の剣先――!?刀語、第五話の対戦相手は、絶対の防御力を誇る鎧海賊団船長、校倉必!(紹介文より)

〜感想〜

『刀語 第四話<薄刀・針>』 に続く5作目です。

前作では七花の姉の七実が真庭忍軍との戦いで活躍している間に、”最強の剣士” 錆から ”薄刀・針” をちゃっかり手に入れていた(笑)七花ととがめでしたが、錆を倒したことによって七花は ”最強の剣士” の名も受け継ぐことになりました。
もっとも、姉の七実の強さを知っている七花にしてみれば、そんな名称もあまり意味はないようです
ただ、その名前につられて七花に挑戦してくる者も現われて……もちろん七花が負けるわけはないんですが、あまりにもあっさり相手を殺してしまう七花を見て、とがめは危惧を覚えることになります。

七花自身、自分をとがめの ”刀” として認識しているので、相手を倒すことに何の感情を持つことがありません。 なので、 『刀語 第三話<千刀・鍛>』 の時も、持ち主の女の敦賀もためらうことなくあっさり殺してしまっています。
それがたとえ子供だったとしても、七花は同じようにしたことでしょう。
そんな七花のことをとがめは危ぶみ、今回はある実験をすることにします。

今回の刀 ”賊刀・鎧” の持ち主は海賊でもある校倉という男で、何故か住民たちには人気がある人物。 そんな人物を倒せばたとえ刀を手に入れたとしても、無事に脱出することはできません。 そこで、とがめは七花に今度の相手は 「殺さずに倒せ」 と言うのだけど、ところがその言葉を七花は誤解してしまいます。

というのも、校倉が自分から七花ととがめの元を訪れて ”決闘しよう” と申し出て、校倉が勝ったら、とがめが欲しい、と言い出したからで……
そうして、自分が七花に代わって刀集めをしながらとがめを守るということらしいのだけど、もちろん七花がそれを聞いて面白いはずはありません。

ずっと、無人島で姉と父親との3人だけで暮らしていた七花は、感情的にはまだまだ幼いところがあるものの、とがめに惚れていることは確か。
なのに、とがめは校倉の申し出をすぐには断らず考えてしまって……。

七花は自覚のないまま、つい、とがめに意地悪をしたりもするのだけど、逆にそうしたほうがとがめの目的のためになるのかもしれな、とも思ったり。
このへんがけな気というか、可愛いいんですよね

って、それはさておき、とがめの 「殺さないで倒せ」 という言葉を、自分が負けてもかまわない、というふうに受け取ってしまいます。 とがめは校倉が自分に代わってもいいと考えてる、と思い込んで、七花はいつものようにやる気を出すことができなくなってしまって

実際は、とがめはあくまでも ”刀” としてしか動けない七花のことを気に掛けて、そういうことを言ったのだけど、感情的に幼い七花にそこまで察するのは無理がありました
そうして、いつものキレをなくした七花は校倉に負けそうになるのだけど、その時、とがめが七花に渇を入れます。

すると、たちまち元気を取り戻した(現金ですね )七花は今までの不調はどこへやら
校倉を見事に倒します。もちろん、殺さずに
そうして、”賊刀・鎧” を手に入れた七花ととがめは、校倉の約束どおり無事にその地を後にするのだけど……。

校倉がちょっとした意趣返しをして、実際の目的地ではなく遥か遠い地、蝦夷へと向う船に七花ととがめを乗せたことは二人は知らないまま(笑)
果たして蝦夷で二人を待ち受けているものは

次の 『刀語 第六話<双刀・鎚(かなづち)>』 に続きます


| ふぁんたじぃー | 21:52 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
刀語 第四話<薄刀・針>/西尾 維新
西尾 維新
講談社
¥ 1,155
(2007-04-03)
Amazonランキング: 78536位

JUGEMテーマ:読書

★★★☆(3.5/5)

あらすじ

「そいつを倒せば、俺が日本最強になれるってことだろう?」
“日本最強”の堕剣士・錆白兵から叩きつけられた挑戦状!無刀の剣士・鑢七花と奇策士・とがめは、薄刀『針』を所有する錆から、その刀と、日本最強の称号を奪い取ることはできるのか――?伝説の刀鍛冶・四季崎記紀が完成させた“刀”は12本――残るは9本!刀語、第4話の対戦相手は、日本最強の称号をほしいままにする錆白兵!(紹介文より)

〜感想〜

『刀語 第三話<千刀・鍛(つるぎ)>』 に続く4作目です。

順調に伝説の刀工師、四季崎の完成形変体刀12本のうち3本までに手に入れた七花ととがめでしたが、このまま次の4本目……というふうにはいかず、七花の姉の七実が大活躍する話になっています

病弱な七実がいったいどんな活躍を
と思われるかもしれないですが、実は七実はとんでもない人物で……。

とがめを裏切った真庭忍軍にはそれぞれ”組”があって、首領がいるのだけどそのうちの一つ ”虫組” の忍びがとがめと七花から”刀”を奪うために、七実を人質にしようと思いつきます。
そうして、虫組の3人は七花たちが暮らしていた無人島、不承島へと乗り込むのだけど、でも、これが彼らの運のつきでした。

確かに七実は病弱ではあるのだけど、でも実はとんでもなく ”強い” 人間で、その強さを恐れた父親の判断で ”虚刀流” を継ぐのは七花だと決めたほど
そんな事情を知らない真庭忍軍”虫組”の3人は、最初から七実を侮ってしまいます。
そうして、七実を浚おうとまずは最初の1人蝶蝶が襲い掛かるのだけど、一瞬のうちに返り討ちにあい……気づけば木にくくりつけられていた、という次第。

それでもまだ、七実を甘く見た蝶蝶は隙を見て反撃しようとするのだけど、そんな彼の抵抗もむなしく七実は圧倒的な強さで蝶蝶を倒します。 
……はかなげな外見と病弱な体を抱えながら、この強さってどうなの
あまりにも強すぎて、逆に虫組の忍びたちが気の毒になるほどでした

いったい、七実って何者
という疑問には彼女の回想シーンで解決するんですが、それにしても強すぎる……。
今回は七実の強さにただただ感嘆させられました
ただ、真庭忍軍と戦ったことで好奇心を刺激されたらしく、どうやら七実は七実で刀集めに関わっていきそうな感じです。
ひょっとしたら、七花と対決するなんてこともあるのかも

そうそう、肝心の主役二人、七花ととがめは何をしていたのかというと…… とがめを裏切った ”最強の剣士”、錆白兵との戦いを繰り広げていたようです(笑)

ようです、っていうのは、最後のほう数ページで七花ととがめが交わす内容で、わかったからなのだけど、かなりの苦戦だったことは確かです
おまけに、錆は最期に ”虚刀流” について謎めいた言葉も残していたみたいなので、そのへんの謎についてもちょっと気になるところです。

なにはともあれ、そうしていつの間にか?(笑)4本目の刀 ”薄刀・針” を手に入れた七花ととがめは、次の刀 ”賊刀・鎧” を求めて旅を続けます。

次はどんな戦いになるのやら
『刀語 第五話<賊刀・鎧>』 に続きます

| ふぁんたじぃー | 22:17 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
刀語 第三話<千刀・鍛(つるぎ)/西尾 維新
西尾 維新
講談社
¥ 1,155
(2007-03-01)
Amazonランキング: 179922位

JUGEMテーマ:読書

★★★☆(3.5/4)

あらすじ

無刀の剣士・鑢七花と野心を秘めた奇策士・とがめは、出雲の国は三途神社へ辿り着く!伝説の刀鍛冶・四季崎記紀が完成させた”刀”は12本―残るは10本!”千本で一本”なる千刀・つるぎの秘密とは!?刀語、第三話の大戦相手は、三途神社を束ねる、敦賀迷彩!(紹介文より)


〜感想〜

前作、 『刀語 第二話<斬刀・鈍>』 に続く3作目です。

今回のとがめと七花の目当ては ”千刀・つるぎ”
持ち主は出雲にある三途神社の長、敦賀という人物

1本目は「決して折れも曲がりもしない頑丈さ」
2本目は「一刀両断にできないものは世界に存在しないという切れ味」

そして今回の3本目は、「圧倒的な数量」 
……千本で1本という千刀はまったく同じつくりをした千本の刀、だというものなんですから驚きです

そして、”千刀” を守っているのは ”黒巫女” と呼ばれる千人(!)の巫女たち。いくら七花でも千人と戦うというのはさすがに辛いものがありますが、実際の持ち主はあくまでも敦賀なので、彼女と交渉すればいい、ととがめはあっさり言うのだけど……。

実際に会った敦賀は結構あっさりとがめと七花のことを受け入れるのだけど、彼女にも彼女なりの事情があるようで簡単に ”千刀” を渡してはくれません。
やはり、敦賀と戦うことになる七花だったのだけど、とがめは彼女の事情や気持ちを知ったことで複雑な気持ちを抱くことになります。

ただ、七花は相変わらずとがめの ”道具” として何の疑問も思いを抱くこともなく、敦賀との戦いに臨み、あっさり彼女を倒して ”千刀” を手に入れて……七花もとがめも無事で、目的を果たすことができたことはよかったのだけど、どうも七花のこだわりのなさすぎるところが心配というか、気になります

私情にとらわれず、どんな相手だろうとためらうことなく戦うことができる。
それは戦いをする上では、長所といえるのだろうとは思うけれど……。
これから先の戦いを切り抜けるために、今のままの七花で勝ち続けることができるのか ちょっと心配です。

とはいえ、とにかく3本目の ”千刀” を手に入れたとがめと七花。
次の刀は ”薄刀・針 ” 『刀語 第四話<薄刀・針>』 に続きます。
 

| ふぁんたじぃー | 20:17 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark


↑このページの先頭へ
RECOMMEND
消えちゃったドラゴン 魔法の森2 (創元ブックランド)(パトリシア・C・リーデ) / はみだしちゃった魔女 (魔法の森3) (創元ブックランド)(パトリシア・C・リーデ) / 困っちゃった王子さま (創元ブックランド)(パトリシア・C・リーデ) / ドラゴン・キーパー 最後の宮廷龍(キャロル・ウイルキンソン) / ドラゴンキーパー―紫の幼龍(キャロル ウィルキンソン) / ドラゴンキーパー―月下の翡翠龍(キャロル ウィルキンソン) / ぼくを忘れたスパイ〈上〉 (新潮文庫)(キース トムスン) / ぼくを忘れたスパイ〈下〉 (新潮文庫)(キース トムスン) / 謙信の軍配者(富樫 倫太郎) / びんぼう神様さま(高草 洋子) / シルバータン―ストーンハート〈3〉 (THE STONE HEART TRILOGY 3)(チャーリー フレッチャー) / アイアンハンド―ストーンハート〈2〉 (THE STONE HEART TRILOGY 2)(チャーリー フレッチャー) / ストーンハート (THE STONE HEART TRILOGY 1)(チャーリー・フレッチャー) / 風神秘抄(荻原 規子) / 薄紅天女(荻原 規子) / 白鳥異伝(荻原 規子) / 空色勾玉(荻原 規子) / シャドウ・ファイル/狩る (ハヤカワ文庫NV)(ケイ フーパー) / シャドウ・ファイル/潜む (ハヤカワ文庫NV)(ケイ フーパー) / シャドウ・ファイル 覗く (ハヤカワ文庫NV)(ケイ フーパー) / ファントム〈上〉(スーザン ケイ, Susan kay, 北条 元子) / ファントム〈下〉 (扶桑社ミステリー)(スーザン ケイ) /