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スティーヴン キング
扶桑社
¥ 651
(1988-05)
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★★★☆(3.5/5)
あらすじ
「霧の中に何かいるぞ! 何かがジョン・リーを攫っていった!何かが−」
七月十九日の夜、メイン州西部全域はかつてない激しい雷雨に見舞われた。しかし、嵐の後に襲ってきた ”霧” こそが真の恐怖だった。濃密な ”霧” は街を覆いつくし、住民をスーパーマーケットに閉じ込めてしまう。極限状況から脱出を試みる人々の動揺と冒険を描く中編「霧」。シカゴのギャングたちの結婚式で演奏したジャズバンドの災難「ウェディング・ギグ」など、の短編集 (裏表紙より)
前置き
映画
【ミスト】 を先に観て、あまりの救いのなさに思わず 「だいっきらい」
と感想に書いてしまったのだけど、皮肉なことに、その救いのなさが作品を傑作にしていました。感情的には嫌いなのだけど、そんな映画の原作がどうなっているのか? 気になって仕方なく、でも、同じように救いようがなかったら嫌だな、と思っていたときに、
『La.La.La』 のせつらさんに、勧められて読む気になりました
で、読んでよかった
ちょっと救われた気持ちになりました〜
〜感想〜
『握手しない男』
寒波の夜、一人の老人ジョージが思い出話を始めます。
昔、人を殺した男が自分で自分を処刑したのだ、という衝撃的な台詞から始まるのだけど、その話というのは突拍子もないもので……。
ポーカー仲間がたりず、一人遊びをしていた若い頃のジョージは一人の男性に声をかけられます。人数がたりないなら自分を入れてくれと。そうして挨拶をかわし握手をしようとすると、とたんに声をかけてきた男性はおびえたかのように握手を避けます。彼の説明に納得し、彼に触れないように気をつけていたのだけれど、ポーカーに夢中になり負けてしまった仲間のうちの一人が彼の手に触れてしまう。
その途端に男性は叫び声をあげ店を飛び出していく。
大げさな行動に呆気にとられる仲間たち。
いち早く気を取り直したジョージは彼を追いかけなだめようとするのだけど、彼の動揺はなかなかおさまらず、しまいには野良犬を呼び寄せ握手をするという奇妙な振る舞いにでる。何がなにやらわからないジョージだったのだけど、とりあえず彼が勝った分のチップを渡そうと説得する。ところが、チップを持って戻るとその男性の姿はどこにもなく、彼が握手をした野良犬が死んで横たわっていて……。
そして、ジョージは翌日彼に触れた仲間も死んでしまったことを知らされる。彼のことが気になったジョージは居場所を探し出そうとするのだけど……。
気の毒で悲しい話でした
『ウェディング・ギグ』
笑えばいいのか、悲しめばいいのか……もの悲しい話でした[:がく〜:]
『カインの末裔』
……怖い
『死神』
……
『ほら、虎がいる』
……子供の無邪気さって、場合によっては残酷なものですね
『霧』
ある日、霧の中から怪物が
スーパーマーケットに閉じ込められて、外には正体不明の生き物がうようよしていて、いつ襲ってくるかもわからない。そんな恐怖に耐え切れず、すがるものが神様というのは納得できるけど、そのために子供を生贄にしようとするのはやりすぎ
人間っていうのは追いつめられるとどこまで身勝手になれるのか……なりふり構わなくなっていく様子が恐ろしい
子供の父親と数人の人たちは、そんな場所から抜け出して怪物のいる外へと出て行きます。車に乗って行ける所まで行こうとする彼らの運命はどうなるのか? 映画とは違って、その結末は曖昧になっています。でも、ほんの少しの希望も感じられました。
この結末のほうが私は好きです
次は
『神々のワードプロセッサ<スケルトン・クルー2>』 です。