|
スティーヴン キング,スティーヴン キング,矢野 浩三郎
扶桑社
¥ 660
(1988-05)
|
★★★☆(3.5/5)
あらすじ
朝もやのなか、どこからかやってくる不思議な牛乳配達が届けるのは、青酸カリやベラドンナ、あるいは毒グモ入りの牛乳だ ― 幻想的なショート・ストーリーの表題作。
抜け道探しに熱中するトッド夫人が入り込んだ、木々が怪しくざわめき、見たこともない小動物がうごめく異世界を描く「トッド夫人の近道」。
死んでいく老婦人ステラの前にあらわれ、彼女をやさしく死後の世界へと誘う美しい幻影「入り江」など、モダンホラーの王者キングが独自の幻想世界を妖しく描いた傑作短編集『スケルトン・クルー』完結編。(紹介文より)
〜感想〜
『神々のワード・プロセッサ スケルトン・クルー2』 に続く完結編です。
『ミルクマン』1(早朝配達)
早朝、ミルクを配達するスパイクという男。
各家の前に置いてあるメモを読んで、注文の品を置いていく。
ミルク、クリーム、オレンジジュース。
そして、二件目。 ”チョコレート”
と一言だけのぶっきらぼうなメモが置いてあり、そのメモを読んだスパイクは ”配達済み”と書きなぐり、トラックへ戻って彼が持ってきたのは……。
空のチョコレート牛乳の入れ物。
そしてその中には毒蜘蛛(タランチュラ)が入っていた
のどかな朝の風景が一瞬にして、得体のしれない恐怖に変わりました
その後の配達先でも、ちゃんと注文どおりに品物を置いていくかと思えば、毒入りのを置いていったり……一体、どんな基準なんだろう?
と、ちょっと見当がつきませんでした。
強いて言うなら、無作法なメモのせい?
こういうのは、明確な理由がなくてもいいと思うのだけど、ついつい考えてしまいました
『ミルクマン』2(ランドリー・ゲーム)
スパイク再び(笑)
前作(早朝配達)で友人だと言っていたロッキーという男が出てきます。
でも、友人なんていうのはスパイクの皮肉めいた言い方だったらしく、実際には二人は敵同士のようで……。
いったい、スパイクって何者なの
最後まで、得体のしれない人物でした〜。
『トッド夫人の近道』
車の運転が大好きなトッド夫人。
目的地に少しでも早く着くために、近道を探し出し時間を縮めることに生甲斐を感じています。最初は通常の道路を走っていたトッド夫人なのだけど、もっと早く着く近道を探すうちに、異世界にまで入り込むようになる。
そして、その道を走れば走るほど彼女は少しずつ若返るようになり……。
トッド夫人の情熱にただただ、感心するばかりでした
『浮き台』
夜中に浮き台まで泳ぎに行くことになった4人の若者。
遊び半分でちょっとしたスリルを味わいたかっただけなのだけど、それがとんでもない事態に。
……不気味さがひしひしと伝わってきました
『ノーナ』
ノーナという美しい女性と出会ったことで、次々と人を殺し始める青年。
その行動のすべては、ノーナへの愛を証明するため。
そして、とうとう最後に青年は……。
ノーナは実在していたのか、青年の頭の中でだけ存在していたのか?
曖昧な感じだったのだけど、そのせいで青年に対して少し憐れみを感じました。
『ビーチワールド』
……砂漠(砂浜)は怖いですね
『オーエンくんへ』
なんだか、よくわからなかったです
『生きのびるやつ』
これは、怖すぎ
読んでるだけで、痛かったです
『おばあちゃん』
こんな怖いおばあちゃんはほしくないです
『入り江』
怖いような気持ちもあるのだけど、不思議と心休まる話でもありました
『原作者のノート』
キングが作品を書いていたときに、何を考えていたのか、どう思っていたのかが書かれています。すべての作品についてではないですが、ちょっとした裏話みたいな感じで面白いです。
ちなみに ”トッド夫人” は奥様そのものだそうです