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読書★★★★(4/5)あらすじ
生田数之進は、不審のある藩を調べる幕府御算用者。
今回は無類の狂言好き、若狭守村芳が治める吉田藩に潜入することに。
前藩主の亡霊騒動、姿を見せない奥方の謎。
その裏には本家と分家の争いが!?仕掛けられた「連環の計」とは、そして、鶯の鳴き声が招くのは、藩の改易か繁栄か。
数之進の千両智恵が大活躍。(紹介文より)
〜感想〜『天地に愧じず−御算用日記(2)−』 に続く3作目です

今回の潜入先は吉田藩。
この藩の藩主は無類の狂言好きで、家臣たちにもちょっと呆れられ気味。
しかも、奥方との間にも何やら曰くがありそうで……。
どうやら、本家と分家の間には目に見えない策略が張り巡らされている模様

今では、「千両知恵」 の持ち主と知られるようになった数之進ですが、本来のお役目意外にも町民たちからも相談事を受けるようになってきています。
今回は、無二の親友の一角が持ちかけてきたもので、廃れてしまった飯屋を以前のように繁盛させるにはどうしたらいいか? という相談事なのだけど、思いがけずその相談事が姉の三紗にとってよい結果を生むことになります。
江戸にいる二人の姉は実はそれほど仲がよくありません

今では綺麗な前掛けを作って売るようになっている富美は、なにかと三紗に対して鼻につく態度をとっています。(……もともとなんですけどね

) とにかく、そんな態度が気に入らない三紗の不満は募るばかり。 そんな時の数之進からの話に、三紗はかなりのやる気になります。
これで、しばらくは二人の姉も大人しくなるかとホッと一安心。
そして、いよいよ本来のお役目にとりかかることになるのだけど、いきなりの幽霊話

に怖気ずく数之進(笑) 幽霊が現れる前には鶯の鳴き声がして、その鳴き声を聞いたものは死んでしまうというのだけど、数之進は早速鶯の鳴き声を聞いてしまいます……間がいいのか悪いのか

最初から、先が思いやられる始まりですが 「たとえ亡霊に取り付かれようとも、逃げることは許されない」(本文より) と決意を新たに頑張ります(笑)
調べるうちに藩主の人柄を好ましく思うようになる数之進なのだけど、どうも雲行きが怪しい。
このままだと本当に改易の方向へと進んでしまうと、何とか吉田藩を救う手立てを考え出そうとする数之進なのだけど、吉田藩の本家の陰謀が邪魔をします。
一角はそんな数之進の助けになろうと、顔見知りの娘が奥方へ仕えていることを知り彼女から情報を探り出そうとします。 …… とにかく数之進のためなら、なんでもしちゃう一角

頼もしいけど、そこまでするか? と、一瞬引き気味に。
とはいえ、そんな一角のおかげで必要な情報を知ることができた数之進。 なんだかんだいいつつも、やはりいいコンビではあります

今回、驚いたことに両目付の鳥海左門が富美に自分の小太刀を預けます。
前作あたりから、富美に心を寄せているようだったのですが、いち早くそのことに気づいた三紗が姉一人を幸せにしてなるものか! とばかりに鳥海にはお妾がいる、と真っ赤な嘘を富美に耳打ち。 本心は鳥海を憎からず思っていた富美だったのだけど、このことを聞いてすっかりおかんむり状態。 何が何やらわからない鳥海が富美自身に問いつめて、自分の身の証を立てるためにしたのが大事な小太刀を預けることでした。
鳥海の思いがけない行動に驚く富美。
果たしてこの二人の恋の行方は……?
簡単にはいきそうにないですね

数之進の御算用者としての活躍も面白いですが、こういうちょっとした出来事も楽しみの一つです

次は
『流星のごとく−御算用日記(4)−』 です。