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梨沙
イースト・プレス
¥ 1,365
(2009-07-16)
Amazonランキング:
4673位
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★★★★(4/5)
あらすじ華鬼が鬼ヶ里に戻った。
それを喜ぶ神無は、華鬼が自分にとってかけがえのない存在であることに気づき始める。
一方華鬼は、芽吹き始めた神無への気持ちに違和感を覚えながらも彼女と過ごす時間に安らぎを見出していた。
穏やかな時間を手に入れたかに見えた二人だったが、それを待ちわびたかのように前鬼頭の息子響が不気味に笑む。
さらに、選定委員と名乗る男たちが神無の前に姿を現して…?鬼と少女の学園伝奇、最終巻。
神無の最大の危機に華鬼は―。(紹介文より)
〜感想〜
『華鬼(3)』 で、またもや四季子に殺されそうになったり
、響&桃子の策略で鬼達に襲われそうになったり、と大変な目にあった神無でしたがその騒ぎも一段落して、鬼ヶ里に戻ってきた華鬼と穏やかな日々を過ごしていました。
今ではすっかり華鬼に対する自分の想いを自覚した神無にとって、華鬼と過ごす時間はとても心
安らぐものだったのだけど、そんな穏やかな時間は響によって壊されてしまいます。
彼は華鬼を挑発するかのようにとんでもない行動にでます。
それは神無に求愛し彼の刻印を刻むこと
もちろん、神無がそんなことを受け入れるはずはなく、響は神無が具合を悪くして保健室で一人でいるときを狙い、自分の刻印を彼女に刻み込みます。
目覚めた神無は響の刻印を見て衝撃を受けるのだけど、あまりの衝撃に心配する三翼にも打ち明けられず……寮に戻ってからカミソリで刻印のある場所の皮膚をそぎ落とそうとします。
間一髪、三翼の一人の光晴によって止められたものの、神無の受けた衝撃はおさまりません。 それでも、華鬼のもとへ戻り彼の側にいるうちに少しずつ気持ちが落ち着きはじめます。
一方、響の刻印に気づいた華鬼は激しい怒りと独占欲にかられます。
もちろん、神無に責任はなく響が勝手にしたことだとわかっているので、彼女に怒りを向けることはないのだけど、おかげで華鬼は神無に対する自分の想いをとうとう自覚することになります。(やっとです
)
とりあえず、響がしたことに対する衝撃は少しずつ薄れ神無の気持ちは落ち着いたのだけど、気になるのは友達の桃子のこと。
響と付き合っているようなのだけど、神無には響の本性がわかっています。 それだけに、桃子のことが心配でたまりません。
そこで神無は桃子を傷つけないよう響に直談判にでます。(…時々大胆なんですよね
)
ところが、そこで神無は ”友達” の桃子の裏切りを知る事に
その場で、響に拉致されてしまいます。
そうして目覚めた神無を待っていたのは響をはじめとする複数の鬼達
その場にも居合わせていた桃子は今にも襲われそうになった神無の身体を見て驚愕します。 神無の全身に残る無数の傷痕に驚いた桃子は、その時初めて神無が庇護翼の守りもなく過酷な状況の中で成長したことを響から聞かされます。
「何の苦労もなく華鬼と三翼に愛されて大切に守られている」 と勝手に思い込み、それまで神無がどんな目にあっていたのか、を知ろうともしなかった自分にやっと気づく桃子だったのだけど、時すでに遅く、もはやとりかえしがつきません。
後悔と自責の念に襲われる桃子を嘲笑う響。
……最初から、こうやって桃子を傷つけようと企んでいた響の嬉しそうな姿に呆れるばかりでした
……ドSってこういう人のことを言うんでしょうか?
かと思えば桃子を他の鬼たちから守ったりもするんですから……屈折しすぎ。
自分の間違いを悟った桃子は何とか神無を助けようとします。 そうして思い出したのが国一の存在。 桃子は閉じ込められている国一を解放して神無を助けてくれるよう頼みます。
そうして、国一は神無を守るために彼女のもとへ駆けつけます。
一方、神無が拉致されたことに気づいた華鬼と三翼は必死に彼女の居場所を探していました。 そうして、やっと探し当てた華鬼が見たのは……。
本気でぶち切れた華鬼の暴れっぷりが凄かったです。
彼が間に合うかどうか気が気じゃなかったんですが、幸いにも間に合って神無が無事だったので本当にホッとしました
今までの鬱憤を晴らすかのように ”鬼頭” としての力全開で神無を傷つけた響と鬼達を容赦なくやっつけた華鬼が素敵でした
そうしてやっと響との決着もついて、神無と華鬼は本当の意味で結ばれることになります。 その後は神無に対する華鬼の態度は、今までの態度はなんだったの
と、言いたくなるくらいのメロメロぶり(笑) もう、好きにして、と苦笑しながらも幸せそうな二人の様子にほのぼのした気持ちになりました
色々なことがあったけれど、終りよければすべてよし、ですね
ところで、華鬼にこてんぱんにやられた響はというと……怪我で入院しながらも相変わらず反省の色はなし
そんな響の傍らには桃子の姿が。
え?なんで? と思っちゃったんですが、華鬼と響が戦っているときに桃子も戻ってきて、神無が襲われそうになったときに彼女をかばって桃子が怪我をするという事態が起きました。
それを見た響が華鬼との戦いを途中でやめて、桃子を傷つけた鬼をぶちのめす、という行動に
……なんだかんだ言いつつも自分で思っている以上に桃子が気に入ってたようです
桃子も、自分のしたことから目を背けることはせず、彼女なりに償っていこうと決意しています。 響と桃子が、これから先どんなふうに変わっていくのか楽しみですが、二人のその後の話が読めないのは残念です。
そのうち、 「外伝」 とかで、書いてほしいものです