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風野真知雄
双葉社
¥ 600
(2009-11-12)
Amazonランキング:
90256位
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★★★☆(3.5/5)
あらすじ
今日も珍妙な事件探索に江戸の町を奔走する徳川竜之助。
ある日出会った浪人と意気投合。
この男、某藩の若さまで堅苦しい武家の決まりに嫌気がさし、影武者を藩邸に残し庶民の生活を味わいたく浪人に身をやつしたのだという。
ところが、影武者が何者かに殺害される。
そんな折、「人斬り半次郎」の異名をとる薩摩示現流の遣い手中村半次郎が、風鳴の剣を打ち破らんと動き出す…(紹介文より)
〜感想〜前作
『幽霊剣士<若さま同心 徳川 竜之介8>』 に続く9作目です
今回、竜之介は松平家の跡取りでありながら、自分とよく似た姿の浪人と立場を変えて、庶民の暮らしをしている酔狂な人物と知り合います。
どこかとぼけた雰囲気を持ち、一緒にいる人を和ませるところが気に入って、竜之介はその若さま錦之助と飲み友達になるのだけど、ある日、錦之助の代わりに屋敷で暮らしていた浪人が殺されてしまいます。
どうやら、後継ぎを巡る派閥争いが原因らしいのだけど……。
錦之助のおっとりした様子を見て 「変わってる」
と感想を持つ竜之介が、自分も周囲から同じように言われていることを思い出して、”こういうことか” と一人納得する姿がちょっと可笑しかったです
今回は、”珍事件” は無しかな、と思ったんですが、いつものように期待を裏切らず(?) 、牢の中に現れる美人幽霊の謎や、突然将棋の腕が上がった小僧の謎等々、いくつかの珍事件がちゃんと用意されてました
そして、前作で再度現れた 柳生 全九郎 との決着も今回着くことになっていたのだけど……。
全九郎は死に掛けたことで一部の記憶を失っていました。
今では、すっかり好青年に変わっていた全九郎は、何故か自分が手にかけた3人の少年のことを、竜之介が殺したと思いこみ、そんな彼の非道を許せない! と竜之介に対して正義の怒りを感じるように。
そうして、今回その怒りが爆発して竜之介に戦いを挑みます。
全九郎のかん違いを知った竜之介は、本当のことを思い出させようとするのだけど……。
全九郎との戦いの中で、彼に対して見せる竜之介の優しさに感動させられました。
でも、それにしても全九郎と竜之介の対決がまさかこんな結末を迎えるとは……ちょっと驚きの決着でした
このあと、竜之介がどうなるのか? 心配です