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★★★★(4/5)
あらすじ
時は乱世。
天下統一を目指す秀吉の軍勢が唯一、落とせない城があった。
武州・忍城。
周囲を湖で囲まれ、「浮城」と呼ばれていた。
城主・成田長親は、領民から 「のぼう様」 と呼ばれ、泰然としている男。
智も仁も勇もないが、しかし、誰も及ばぬ「人気」があった―。(紹介文より)
〜感想〜
天下統一を目指す秀吉の命を受けて石田三成が、「浮上」 と呼ばれる城を攻めることになるのだけど、実はすでに秀吉との間で密約が交わされていて、形だけの抵抗を示した後に降伏する、という筋書きができていました。
ところが配下の者たちは、そんな成り行きが気に入らず、どうせ戦いがなく降伏することが決まっているのに……と、投げやりな態度に。
それでも、この密約が北条方にばれればただではすみません。
不承不承、戦いの準備を続けるのだけど……。
そうするうちに、とうとう石田三成の軍勢がやってきます。
ところが、やってきた使者は最初から居丈高な態度で城の者たちを見下します。 そうして、姫君を秀吉に差し出せ、と頭ごなしに命令するのだけど、そんな態度に城を預かっていた ”のぼうさま” こと成田長親はかちん!ときたらしく(笑)、 「やっぱり戦おう」 とあっさり言い出して……
慌てたのは城の者たちもなのだけど、彼ら以上に慌てたのは秀吉の使者。
まさか、そんな態度にでるとは思ってもおらず……。
周囲の人々は長親を思いとどまらせようとするのだけど、頑として聞き入れません。 そうこうするうちに、もともとあっさり降伏することに不満だった家臣たちも長親に同調しはじめます。
そして、城主と秀吉との密約はどこへやら(笑)
”のぼうさま” の一言で、戦うことになります
そもそも長親は、領民たちから ”でくのぼう” の ”のぼう” をとって ”のぼうさま” と呼ばれている、ちょっと頼りない人物。
人がよくて領民達に好かれているものの、田植えを手伝ってもかえってめちゃくちゃにするだけで、見かねた百姓から面とむかって 「やめてくれ」 といわれてしょげ返るという、なんとも可愛い面も(笑)
そんなふうにしょげかえる ”のぼうさま” を見て、悪いことをした、とすまながる百姓たちがまた微笑ましくて……。
そんな ”のぼうさま” が 「戦う」 なんていい出したものだから、配下の者たちは今ひとつ不安を拭えません。
それでも、戦の準備をはじめ付近の村々から領民達に城に篭るよう命令しに行きます。 ところが百姓達は断固反対、といった態度でいう事をききません。
そうして一人の百姓が 「いったい誰が戦うなんていったんだ?」 と聞いてきて、長親だと答えると……一瞬の間のあとに何故か百姓達は大爆笑
”のぼうさま” が言ったんならしかたないなあ
と、あっという間に雰囲気が変わって百姓達は進んで命令に従うように。
どうやら、あまりにも”のぼうさま”が頼りないので、自分たちが助けてやらなきゃあ、といった感じのようです
そんな百姓達の豹変振りに戸惑いながらも、のぼうさまの幼馴染の丹波は不思議と納得するものがあります。 周囲の人々はのぼうさまを見たままの頼りない人物と思っているのだけど、丹波だけは実は 「将の器」 なのでは? と密かに考えています。
今回の戦いで、丹波の考えが当たっているのかどうか? がわかることになるのだけど、のぼうさまは、なかなか見極めにくい手強い相手(笑)で……。
見かけどおりのでくのぼうかと思えば、他の人には見えないものをみて、思いがけない作戦を打ち出て丹波を感心させます。
ところが感心させられた先から、またとぼけた素振りを見せたりして……。
う〜ん、いったいどっちなんだろう? と、読んでいるこちらのほうものぼうさまには翻弄されてしまいました
戦いの後半で、石田三成の水攻めに悩まされる事になったときも、思い切った方法で戦局を打開するのだけど、その方法と言うのが自らを標的にして殺させようとすること
そうすることで、皆の復讐の念を駆り立てようとした、と、丹波は推測するのだけど、実はのぼうさまの狙いは別にありました。
それは、城の外に残った百姓達の気持ちを動かすこと。
実際、のぼうさまが撃たれた姿を見た百姓達は、それまでのぼうさまを恨んでいた者までもが怒りに駆られ、城を囲んでいる堤を外側から破壊するという行動にでることになります。
でも、この作戦って自分がそこまで百姓達に愛されている自信がないとできないんじゃないかな?……なんて、思ったのだけどそれはそれで計算高いようで嫌だな、と思ったり。
我ながら勝手とは思いますが頼りないのぼうさまのほうがいいな、と(笑 )
とにかくのぼうさまを筆頭に、忍城の武士達は三成の軍をかなり手こずらせることになります。 丹波をはじめとする配下の者たちがこれまた個性的でしかも強い 彼らが活躍する戦いの場面にはワクワクさせられました
最後まで面白く読むことができました♪
作者の 和田 竜 さんの作品を読んだのは 『小太郎の左腕』 が最初でしたが、本作も違った魅力があって良かったです
あと1冊 『忍びの国』 という作品があるようなので、こちらも近いうちに読みたいと思っています♪
こんばんは〜(^^)
コメントありがとうございます♪
読みやすい作品でしたね〜。
はらやんさんのおっしゃるとおり、映画向きだと
思います(^^)
のぼう様……キャスティング同じく意外でしたけど、本当に天然なのか、それとも実は切れ者なのか? 微妙に判断に困るキャラクターだったので、案外あってるかも? なんて気もしました〜(^^;)
よくある時代小説というよりは、もっと軽く読めるタッチの作品でしたよね。
これならば時代劇が苦手な人でもいけるのではないかな。
映画向きの素材かもしれません。
のぼうさまの映画のキャスティングはけっこう意外でした。
原作を読むともっとぼーっとした感じの人かなぁと思っていたので。