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荻原 規子
角川書店(角川グループパブリッシング)
¥ 1,680
(2010-05-29)
Amazonランキング:
12166位
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★★★☆(3.5/5)
あらすじ
学園祭の企画準備で、夏休みに鈴原泉水子たち生徒会執行部は、宗田真響の地元・長野県戸隠で合宿をすることになる。
初めての経験に胸弾ませる泉水子だったが、合宿では真響の生徒会への思惑がさまざまな悶着を引き起こす。
そこへ、真響の弟真夏の愛馬が危篤だという報せが…。
それは、大きな災厄を引き起こす前触れだった。(紹介文より)
〜感想〜『RDG レッドデータガール2<はじめてのお化粧>』 に続く3作目です
前作で、深行もとうとう観念して(笑)、泉水子と関わって行くことを受け入れましたが、急に態度がかわるはずもなく、相変わらず冷めた態度のまま。
とはいえ、泉水子を無視することもなくなって、そのことだけでも泉水子はホッとしているのだけど、寮の同室の宗田真響が、泉水子と深行がつきあっていると思っていることがわかってビックリ
思いっきり否定(笑)する泉水子だったのだけど、二人の本当の関係を知らない第三者がそんなかん違いをするのは無理もないこと。 その場は真響は納得したようだったのだけど、実は本当には納得していなかったことがあとでわかります。
でも、何故真響は深行や泉水子のことを気にするのか?
今では、泉水子とはほとんど親友となっている真響が気にするのはおかしいことではないのだけど、でも、泉水子には真響のこだわりようにはそれだけが理由ではないように思えて……。
折りしも季節は夏休みを迎える時期。
今では、(泉水子なりに 笑)積極的になった泉水子は、生徒会の活動の他にもクラブ活動をすることを決めます。そのクラブにはやはり真響がいるのだけど、泉水子が真響を慕う様子は周囲からは不自然に見えるらしく、今度は深行が二人の関係を不思議がります(笑)
そんなふうに、どこかちぐはぐな二人だったのだけど、学園祭の準備で真響の故郷戸隠で合宿する時には、やはり深行も同行することに(笑)
複雑な気持ちを抱きながらも嬉しくなる泉水子だったのだけど、戸隠に着いた彼女は真響の隠された目的を知らされることになります。
そもそも、泉水子と深行が入学した学校は、神霊が見えたり、式神を使える術者がいたり、と、特殊な能力を持つ生徒たちが集められているいわくのある学校。
どうやら ”ある目的” のために集められているようなのだけど、泉水子にしてみればあまり関心はありません。
ただ、姫神をおろすことの出来る自分のことは隠さなければ、と自覚しているので、目立つ行動をするつもりもありません。
ところが、そんな泉水子と深行は真響や力のある人間が見ると、 ”ただ者ではない” ことがわかってしまうようで……。
そういった理由で真響は泉水子と深行を自分の味方にしようと、三つ子の一人真夏とクラブの仲間たちに襲い掛からせるという、思い切った手段にでるのだけど、泉水子と深行は戸惑うばかり。
とうとう真響も諦めて、今ひとつ納得がいかないながらも泉水子も深行も自分たちで言うように、何の力もないことを受け入れます。
驚いたのは泉水子。
まさか真響がそんなことを思っていたとは夢にも考えていませんでした。
ただ、友人としての真響を慕っていただけなのだけど、その姿が周囲の人々から見れば真響に ”取り込まれた” ように見えることもわかってきて……。
とはいえ、真響に対する友情が消えることもなく、逆に泉水子は真響の役に立ちたい、と前向きに思い始めます。
いい子だな〜、としみじみ思いましたが……騙されやすいんじゃないかと心配にもなりました
こんな泉水子だから、深行のようなひねくれた(笑)パートナーが必要なんだな、と実感。
学校内では密かに、真響ともう一人力のある男子生徒との権力争いがくり広げられているようで、この先泉水子が巻き込まれるのは想像に難くありません。 深行の苦労する姿が目に見えるようで、ちょっと可笑しかったです
とはいえ、その争いはまだ先のことですが。
戸隠での合宿で、思いがけず真響の計画を知った泉水子でしたが、その後真響の三つ子の弟の真夏の様子がおかしくなります。
三つ子は真響 、 真夏、 真澄、の3人なんですが、真澄は幼い頃に亡くなっています。 ところが真澄の死を受け入れられなかった真響と真夏の二人が真夏の霊?魂? を呼び戻します。
そうして、真澄は神霊のような状態で二人のそばにいたのだけど、その真澄の存在が危うくなってきて……。
真夏と真澄にとって、一番大切なのは真響。
彼女を悲しませないために、真夏はある決断をして姿を消してしまいます。
もちろん、真響がそんなことを受けれいれるはずもなく、必死になって二人を探します。 そんな真響の姿をこれまた泉水子が黙って見ていられるはずもなく、何とか真響の力になろうと ”姫神” を呼び出すことを決意するのだけど……。
今までとは違って、今回泉水子は自分の意思で姫神を呼び出そうとします。
そんな泉水子の姿にあたふたする深行の姿が笑えました
大人しくて内気な泉水子だけど、時々思い切った行動で驚かしてくれるのが面白いです
少しずつ、少しずつ変わっていく泉水子の姿を見ていると何だか、優しい気持ちになるというか……親のような気持ち?(笑)なのかもしれません。
泉水子の思い切った行動のおかげで、無事に真夏と真澄は真響のもとへ戻ることができました。 ただ、そのことで真響は泉水子の正体に気づき始めたような気配で……。 自分の味方として利用するのではなく、友人として泉水子を守ることを選んでほしいと思うけれど……それがわかるのは、次の4作目になるんじゃないかな、と思います。
今までの出版ペースを見ると、次に出版されるのは多分1年後ですね。 ……先は長いです