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ノーラ・ロバーツ
扶桑社
¥ 980
(2007-01)
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★★★☆(3.5/5)
あらすじ
長い冬に向かうアラスカ。先住民族が「白き偉大なるもの」という意味でつけた北米大陸最高峰のデナリ(マッキンリー)の麓にある人口六百人の田舎町ルナシーに、ネイトは警察署長として赴任してきた。大自然に抱かれた田舎町はボルティモア市警察時代に同僚を殉職させ、心に傷を負ったネイトを癒してくれる場所と思われた。だが、登山者が氷河で遭難し、救助の過程で胸にピッケルを刺された男の死体が発見される。十七年前に失踪したと思われていたパット・ギャロウェイは殺されていたのだ!そして、十七年の沈黙を破り、殺人者は動き始めた……。(裏表紙より)
前置き
作家のノーラ・ロバーツはロマンス小説の女王とも呼ばれています。
とはいえ、ロマンス小説の女王は私的にはたくさんいて(笑)、リンダ・ハワード、ダイアナ・パーマー、アイリス・ジョハンセン・ジェイン・アン・クレンツ等々。挙げればキリがないんですが、その中でもロバーツの作品は群を抜いて多数訳されているのではないでしょうか。
そして彼女の作品は甘いだけのストーリーではなく、傷ついたヒロイン、あるいはヒーローが、それでも人に対する優しさをなくさず、その傷や痛みを克服して幸せになる、という、人が生きるために必要な大切なものを描いているように思います。
なので、主人公の気持ちに共感しやすく、彼女(彼)らが愛する人を見つけ幸せを摑んだときには、一緒になって幸せな気分に浸ることができます。
そんなわけで、ロマンス小説を読んでみようかな、と思ったときにはオススメの作家さんの一人です
ヴァンパイアや、妖精、タイムトラベラーなど、様々なジャンルの作品があるので、どれから読んでいくのかを選ぶ楽しさもあると思います
〜感想〜
相棒を自分のせいで死なせてしまったと自らを責めさいなむネイト。
彼のせいではないという周囲のなぐさめの言葉も彼には届かず、自分だけに見える真っ黒な暗い穴に心が日に日に沈んでいくことを自覚したネイトは、心機一転、それまで勤務していたボルティモアの警察署を辞め、新天地のルナシーへ警察署長として赴任することを決心する。
ルナシーへ到着したネイトは、アラスカの壮大な大自然に圧倒されながらも、美しい光景に少しずつ気持ちちが上向いていくことに気づく。そうして、警察署長としての務めを手探り状態で、こなしていくうちにルナシーの住民たちにも受けいれられ始める。ところが、ふとした瞬間に、心は暗い穴へと戻っていってしまう。そのうち、そのまま暗い穴から出てくることができなくなるのではないか、と、諦めを感じ始めるネイトなんだけど、そんな時、一人の女性と出会う。
ネイトが寝泊りしているロッジの女主人シャーリーンの娘のメガンに、ネイトは不思議と気持ち引きつけられていく。メガンもまた、悲しい目をしているネイトに興味を引かれ、彼を笑わせてあげたいと思う。そして、二人は恋人同士に。
縛り付けられることを嫌うメガンと、傷つき感情が麻痺してしまっているネイト。
そんな二人が、お互いにかけがえのない存在になっていく様子に、読んでいるこっちが照れくさくなっちゃったりもするんだけど
、それ以上にホッとして嬉しくなります
でも、そのままハッピーエンド、というわけにはいきません(笑)
ある日、遭難者の捜索に向かうことになったメガンとネイトは、無事に高校生達を発見したものの、アイスピックで殺されて氷付けになっている死体をも発見することになる。驚くべき事に、”アイスマン”と呼ばれ、一躍ニュースになったその死体の男は、なんとメガンの父親だったのだ。母親と自分を捨てて出て行ったと思っていた父親が、実は殺されていたことを知り、真相を知りたいと思いつめるメガン。
ネイトは、管轄外を理由に捜査に加わる事ができず、独自で捜査を始めようとする。そして、第二の殺人が……。
ルナシーに溶け込み始め、メガンという恋人もできて少しずつ癒されていたネイトだったのだけど、捜査を進めるうちにルナシーの住民の中に犯人がいることに気づいたことで、住民たちとの関係が険悪な雰囲気になっていってしまう。
ネイトを選んで招いた町長すらも、彼に腹を立てる始末で…
でも、それで諦めるようなネイトじゃありません
こう、と思いこんだらわが道を行く彼は、誰を怒らせようとも捜査を続けていきます。
そして、追いつめられた犯人はネイトとメガンの命を狙い始め……。
ネイトとメガンの恋の行方も気になりますが、殺人者が誰なのか? 怪しい人たちが何人にもいる(笑)ので、最後まで犯人の見当がつかなかったです。正体がわかってしまえば、 ”ああ、確かに” と、納得できたんだけど
最後のネイトと犯人の対決シーンには、ちょっとワクワクしちゃいました