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グッド・オーメンズ(上下)/ニール・ゲイマン&テリー・プラチェット

ニール ゲイマン,テリー プラチェット
角川書店
¥ 1,890
(2007-03)
Amazonランキング: 357668位

ニール ゲイマン,テリー プラチェット
角川書店
¥ 1,890
(2007-03)
Amazonランキング: 377277位
JUGEMテーマ:読書

★★★★(4/5)

あらすじ

(上) ……

慌て者の悪魔とお人よしの天使、人類の未来はこの二人に託された―。

ヨハネの黙示録に記されたハルマゲドンを実現すべく、慌て者の悪魔クロウリーがこの世を滅ぼすことになる赤ん坊を外交官一家に生まれた赤ん坊とすりかえた。しかし数年後、様子を見に戻ってみると……いない!! 
クロウリーはお人よしの天使アジラフェールとともに、消えた子供探しに乗り出したが……(紹介文より)


(下) ……

「アグネス・ナッターの精緻かつ的確なる予言の書」
それさえあれば、なんとかなる!?

黙示録の騎士たちが動き始め、最後の審判の日に現れるという奇妙な怪物たちが目撃された。地球滅亡まであと数時間。長年敵同士でやってきた悪魔のクロウリーと天使のアジラフェール。気心の知れた二人が目を見合わせて出した結論とは……!?(紹介文より)


〜感想〜

長ぁ〜い間、人間にまぎれて暮らしているせいか、悪魔のクロウリーにしても天使のアジラフェールにしても、他の天使や悪魔に比べると少し(大分)人間びいきになってます。

そのせいか、”計り知れない計画”のとおりに ”ハルマゲドン” に向けて、”不倶戴天の敵にして破壊の王、地獄の使い、ドラゴンと呼ばれる大いなる獣、冥府の王子、いつわりの父、サタンの息子、闇の王”  を託されることになった悪魔のクロウリーは、「何で、おれなんだ?」 と気乗り薄な態度。

できることなら、他の悪魔に役目を押し付けたいところだったのだけれど、ボスの悪魔から命じられれば断ることもできず……。とりあえず、クロウリーの役目は ”不倶戴天の敵にして破壊の王、地獄の〜(以下省略  ) の赤ん坊を外交官夫婦の赤ん坊と入れ替えること。
悪魔崇拝者の看護婦に ”不倶戴天の敵にして〜 ” を渡したまではよかったのだけれど、その夜に産まれる赤ん坊が二人いたことから、事態はややこしいことになっていく。

そんなこととは知らない悪魔クロウリーは、11年後に ”不倶戴天の〜” が目覚め、すべてが終わってしまう未来を思って憂鬱になってしまう。そこで、長年一緒にいる敵の天使アジラフェールに変わった提案をします。

”不倶戴天の〜” は ”潜在的には邪悪だ、でも潜在的に善でもある” と言い、さらには天使アジラフェールの使命は悪魔の計画を妨害することを指摘。
神のものである”計り知れない計画” に逆らうことはできないけれど、悪魔の妨害をするのは天使の役目なのだから、”不倶戴天の〜 ” を教育次第で変えられる、と。
そうなれば、またイチから始めることになり少なくともあと11年は地球は無事だと説きふせ、二人は協力することに 

そうして、外交官夫婦の赤ん坊と入れ替えた ”不倶戴天の〜 ” を見守るクロウリーとアジラフェール。 ところが、11年後に少年の元に現れるはずの ”地獄の番犬” が姿を見せなかったことから、少年が ”不倶戴天の〜 ” ではないことがわかり途端に大慌て


そして、ロンドンの中心からは遠く離れたタッドフィールドという場所では、アダムという少年の下へ一匹の黒い犬(のようなもの)が向かっていた。


天使と悪魔の雌雄を決するための大戦 ”ハルマゲドン”
その戦いで人間が全滅しようと地球が消滅しようと、神の計り知れない計画の前では、ちっぽけな出来事にすぎない。
そんな考えが当たり前の天使と悪魔たちの中で、悪魔のクロウリーと天使のアジラフェールの二人は人間や地球が好きなことから、なんとか ”ハルマゲドン” を止めようとする。

そして、手違いで普通の少年アダムとして育てられた ”不倶戴天の敵にして破壊の王、地獄の使い、ドラゴンと呼ばれる大いなる獣、冥府の王子、いつわりの父、サタンの息子、闇の王”  は、3人の友人兼手下を率いてある目的を胸に秘め、”黙示録の騎士” たちのもとへと向かう。

果たして、クロウリーとアジラフェールはハルマゲドンを止めることができるのか?
そしてアダムの真の目的とは?


ちょっとひと味ちがった結末に、思わずニヤリ




 
| ファンタジー | 10:10 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
暗黒天使メストラール/クリフ・マクニッシュ
クリフ マクニッシュ
理論社
¥ 1,680
(2008-05)
Amazonランキング: 663828位

JUGEMテーマ:読書


★★★★(4/5)

あらすじ

8歳の頃に天使と出会ったフレイア。
彼女は物心ついた時から、自分はいつか天使になる、という不思議な確信を持っていた。
天使が自分を訪ねてきた時も、当たり前のことだと思い脅えることもなく受け入れる。
「きみには気高さがある」

そう、告げて去っていった天使。
その時から、フレイアは再び天使が会いに来る日を待ち続け、自分も天使になるためにありとあらゆる行動を取り始める。ところが、天使は待っても待っても現れず……。
とうとうフレイアは精神異常者として病院へ収容されることに。
回復は不可能だと周囲は諦めていたのだが、ある日、父親の諦めることのない呼びかけにフレイアは答えをかえし……。




かわいい前置きかわいい

作者のクリフ・マクニッシュ は一風変わった世界観のファンタジーを書いているというイメージがあります。主人公は子供たちなのですが、その子供たちはいつも重い責任を背負うことになっていて、その重さは、読んでいる方が代わってあげたい、と思うほど。
 【シルバー・チャイルド】 シリーズもそうでした。

今回の作品も、主人公のフレイアの責任は重大です。
そのことに気づいたフレイアが、どう折り合いをつけていくのか?
タイトルの 暗黒天使メストラールの再生とフレイアの成長をからめて物語りは進んでいきます。

〜感想〜

8歳の頃に天使と出会った事でフレイアは一時的に正気をなくしてしまいます。
数年後、父親の諦めることのない呼びかけに現実の世界へと戻ってきたフレイアは、少しずつ日常に慣れていき、学校にも通えるまで回復。

学校一の人気者の女生徒エミリーに気に入られ、学校生活は順調でした。
ただ、このエミリーという女の子は、とにかく自分が一番で、気に入らない子には平気で意地悪をするという、あまり誉められた性格ではないのが難点。
それでも、父親に心配をかけたことを重々承知しているフレイアは、自分の気持ちを曲げてエミリーの機嫌を取りながら、表面上は穏やかな学校生活を続けていきます。

天使のことは記憶の奥に封印したまま。

ところが、そんな上辺だけの平和が壊される日がやってきます。
そのきっかけになったのは一人の転校生。
彼女はステファニーといい、驚くべき事に天使の存在を心から信じていました。
さらには、今まで学校に通ったことがなく、周囲とどうやって接していいのかわかっていませんでした。

子供というのは、異質な存在には驚くほど敏感で、さらにはその存在を排除しようとするものです。
運の悪い事に、ステファニーは転校初日からエミリーに目をつけられてしまいます。そうなると、ステファニーにチャンスは残されていません。
初日から ”変わり者” のレッテルをはられ、あっという間に全校生徒から避けられる事態に……[:がく〜:]

そんなステファニーを見て、もともと優しいフレイアは心を痛めます。
何とか、ステファニーを助けてあげたいと思うものの、エミリーに逆らえばたちまち自分も変わり者として仲間はずれになってしまう困惑
そうなれば、また父親に心配をかけるのはもちろん、何よりも以前のように自分が普通ではなくなってしまう、という不安を拭うことができません。

そんなジレンマに悩まされるフレイアだったのだけど、ある日、ステファニーはエミリーに問われるまま”天使” の話を始めます。
それがエミリーの罠だとも知らずに、得意げに天使の話をまくし立てるステファニー。
フレイアは何とか話をやめさせようとするのだけど、ステファニーはお構いなしに話し続ける。 
やっと、エミリーの意図に気づいた時にはすでにクラス中がステファニーを笑いものにしていて……。

その姿を見ていたフレイアは、とうとうステファニーに助けの手を差し伸べます。
エミリーには気づかれないようにこっそりと。
この時から、フレイアは少しずつ変わっていきます。

そして、そんなフレイアの前に天使が再び姿を現します。
でも、その天使は少女の頃に会ったのとは別の天使で、しかも全てが黒い暗黒の天使でしたひやひや 
そして彼から放たれる強烈な ”憎しみ”
フレイアは恐怖に襲われます。
また、自分はおかしくなってしまったのだと唖然
ところが、その天使と話すうちにまぎれもない現実だということに気づきます。
そして、彼の話はフレイア自身が何者なのか?
という思わせぶりな内容で……。

暗黒の天使の名は 「メストラール」 
その意味は ”だれよりも公平でだれよりも愛される”というもの。

そんな名を持つ天使が何故今のような暗黒の天使になってしまったのか?
フレイアは不思議な直感で、彼が何か恐ろしいことをしたのだということがわかります。
そんなフレイアの鋭さに戸惑うメストラール。
彼はフレイアを嘲りながらも、彼女が秘めている何か を認めた素振りをするのだけど、フレイアが何者なのか、ということには答えないまま姿を消してしまいます。

再び天使に会えた嬉しさよりも、また始まってしまった という恐怖のほうが大きいフレイアは、天使の存在を信じているステファニーに思わず助けを求める手紙を出します。その手紙を受け取ったステファニーはエミリーに意地悪をされている自分を顧みず、フレイアを助けようと決心。

一方、メストラールと出会った事で動転したフレイアは家で一人悩んでいました。
そこへ、思いがけずもう一人の天使がフレイアのもとを訪れます。
その天使こそ、8歳の時に出会った光り輝く天使だったことからフレイアは喜びに包まれるのだけど……。

天使の名は 「ヘストロン」 
その意味は ”万人から大切にされる” というもの。

そして、暗黒天使メストラールの弟でもあるというヘストロンは、何故あの時フレイアの前に現れたのかを初めて説明しはじめます。それは驚くべき内容でした。

なんと、フレイアは人間でありながら天使でもある存在だというのですびっくり

そしてヘストロンは天使がどういう存在なのか、をフレイアに説明し始めます。
そもそもは宇宙を飛び回る存在だった天使が、あるとき地球を通りかかりたくさんの人間の助けを求める声を聞いたのが始まりだったといい、その助けを求める声を無視することはとてもできず、それ以来人間たちをひたすら守ってきたのが自分たち天使だと教えてくれます。

本作の天使は神様に仕えている天使とはちょっと違っていて、どちらかというと異星人といったほうがいいかもしれません。実際の姿も天使とは違うのだけど、人間達がイメージする天使に姿を変えているようです。ただ、この天使たちは人間達に深い愛情を抱いてします。
助けを求める人間の声を聞き、その人間の一番近くにいた天使が助けに行く、という方法を取っているのだけど、一度助けた人間はその天使の<守るべき者>としてずっと同じ天使に守られることになります。

ただ、天使の数には限りがあります。
助けを求める人間の多さに対してあまりにも少なく、一人の天使の<守るべきもの>の数が多く、同時に助けを求められた時にはどちらかを選ばなくてはなりません。
そうなった時に、天使が抱く悲しみは計り知れないものがあります。
それでも、人間たちを守ることをやめられない天使たちは時には自らの身を犠牲にして人間たちを助けていきます。

そう、天使は不死ではなく、傷つくこともあれば死ぬこともあるのです。
そんな説明を聞きながら、フレイアは自らも天使になることを望みます。
天使として<守るべきもの>を受け持ちたい、と。

そして、メストラールのことに思い当たります。
メストラールは<守るべき者>を見捨てたことで、暗黒の天使に変わってしまったのだと。

フレイアは天使になることを望むのだけど、それは彼女が思っていたより過酷なものでした。そしてメストラールが経験してきたことを知ったとき、彼への恐怖を忘れます。
相変わらず、フレイアに対しては皮肉な態度をとるのだけど、彼がどれだけの力を持ち、偉大な天使なのかを垣間見ることも度々あって、フレイアは彼を尊敬し始めます。
そして、ある日フレイアは天使としての自分を試されるような出来事に遭遇します。

<守るべき者> のために自分の身を犠牲にできるのか?

……天使としての自分の不甲斐なさに絶望したフレイアはすべてを投げ出してしまいます。そうして、追い討ちをかけるように父親の病気、ステファニーの訪問、とフレイアが避けたかった問題が一気に表面にあらわれ、フレイアは心にもない言葉を父親とステファニーに投げかけて二人を傷つけてしまう。

後悔してもあとの祭り。
そして、現れるメストラール。
彼の容赦ない言葉にますます追いつめられていくフレイア。

彼女はこのまま天使としての自分を投げ出してしまうのか?
臆病な人間の少女として生きていくのか?

そしてフレイアがとった行動は……。

本作の魅力はなんといっても天使たちです。
彼らが人間に向ける愛情は、人間が天使や神様に求めている理想の姿じゃないかと思うほど。
助けを求める声が届けば即座にかけつけ、時には自分の身を挺してまでも救ってくれる。
そして<守るべき者>に向ける愛情の深さ。
そんなふうに無償で人間を守り続ける天使たちの姿に、嬉しさと同時に切ない思いをさせられましたポロリ



| ファンタジー | 09:30 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
既死感(上下)/キャスリーン・レイクス

キャスリーン レイクス
角川書店
¥ 740
(2001-01)

キャスリーン レイクス
角川書店
¥ 740
(2001-01)
JUGEMテーマ:読書

★★★☆(3.5/5)

あらすじ

(上) ……

明日から休暇だというのに、神学校の敷地から四肢と頭部を切断された死体が発見されてしまった。これで休みはなし。
私テンペ・ブレナンは骨の鑑定の専門家として白骨死体や腐乱死体の識別にあたる法人類学者。夫婦仲がぎくしゃくしてきた夫と一人娘をアメリカに残し、親友ギャビーの住むカナダの法医学研究所に勤務している。
身元鑑定のため、骨の調査を進めるうち、過去に扱ったケースが鮮やかに蘇ってきた。一年前モルグに運ばれてきた全裸の若い女性の死体。
頭部切断。四肢切断。
やがて私の頭にはある言葉が響き始めた。
連続殺人……(紹介文より)


(下) ……

被害者はみな女性。
体を裂かれ、手首が切り落とされている。だが、私の指摘に刑事たちは一向に耳をかさない。自分の仕事だけをしろ、という。
埒があかない。結局自分で調べることにした。
けれどそれが、悪夢の幕開けだった。娼婦の調査をしている親友、ギャビーをつけまわす奇妙な男の影。そして私自身にも恐怖が暗い長い影を落とし始める。
悩み、傷つき、恐怖に狂いそうになっても、私は自分の仕事をし続けなければならない ― 犯人を捕まえるために。(紹介文より)


〜感想〜


海外TVドラマ 【BONES−骨は語る−】 の原作(案?) にあたる作品だということで、興味があったので読んでみました。

ドラマのテンペランスとは、やっぱりキャラクターが違うけれど、自分の思ったことはたとえ相手に煙たがられてもやり通す頑固…もとい、一途(笑)なところは一緒でした。
ドラマシリーズとどうしても比べながら読んでしまうせいか、多少物足りない思いもしたのだけれど鑑定の詳しい説明には感心。
作者のキャスリーン・レイクス自身が法人類学者ということなので、そのへんは当たり前なのかもしれないのだけど

事件の始まりは神学校の敷地から発見された女性の遺体。
鑑定を頼まれたテンペは以前に自分が扱った女性のことを思い出す。
その時と、今回の遺体の状況が似通っていることに気づいたテンペは、担当の刑事クローデルにもそのことを伝えるのだけど、クローデルはテンペの意見をあからさまに無視する。

このクローデルは何故か、最初からテンペに対しては蔑むような態度をとり彼女が見えないふりをします。個人的にテンペが嫌いなのか、それとも単なる女性蔑視主義なのか、そのへんがはっきりしないのだけど、とにかくテンペが嫌いなのは態度にも言葉にもはっきりと出しています。

そんなクローデル刑事と何とかうまくやろうと気を配るテンペも、あまりの彼の頑固さにはお手上げで気を配ることをやめてしまいます。変わりに、クローデルのパートナーの刑事に、自分の見つけたことを伝えることに。 ところが、彼もまたテンペのいう事を本気には受け止めず、彼女が ”過剰反応” しているのだというクローデルの意見に同意してしまう。

そんな刑事たちの態度にテンペは自分で証拠を見つけようと行動をするのだけど……。

刑事たちの反応の薄さにはがっかりするけれど、かといって、だったら自分が!
と、すぐ調査を始めるテンペにちょっと戸惑いました。
そんな簡単に行動できるものなのかな?

ドラマのテンペランスはFBIから協力を求められている、という設定なので納得できるのだけどテンペの場合はそういうわけでもないし、遺体の鑑定をするために現場に行くのはわかるけど、被害者の家族にまで自ら事情を聞きに行くっていうのは……なんだか不自然なような気も

案の定、クローデルにはテンペのゆき過ぎた行動に委員会に苦情を申し立てるとまで言われちゃうし そんな時、もう一人の犠牲者のことがわかって、危うく難を逃れたのだけど相変わらず捜査からは締め出されたまま。 それでも、めげずに首をつっこむテンペの根性には思わず感心

クローデルはテンペを無視するのだけど、テンペの顔見知りのライアン刑事は彼女の意見を聞き入れてくれることから、彼をせっつきはじめる。
…… 困った人です

とはいえ、そんなテンペのおかげで犯人の目星がついていくのも確かなこと。
ただ、クローデルにしてみれば逆にそのことが面白くないのだけど。

事件とは別にテンペは私生活でも問題を抱えています。
上手くいかなくなった結婚生活のこと、娘のこと、親友ギャビーの奇妙な振る舞いのこと。
特にギャビーの振る舞いは、テンペの気持ちを少しも考えずに勝手な行動をとって心配をかけまくるというもの。とうとうキレたテンペはギャビーにキツイ言葉を浴びせてしまう。
後悔したものの、もう取り返しはつかなくて……。

そして、事件のほうでは新たな進展が。
でも、それはテンペを恐怖に陥れる出来事でした。
犯人が被害者の頭部をテンペの家の庭に置いていったのです
動揺するテンペをさらに追い討ちをかけるように、その夜にまたもや侵入者が!

幸い、それは姿をくらましていたギャビーで、二人は怒鳴りあいながらも仲直りをする。
ひとまず、心配事の一つはかたずいたことにホッとするテンペだったのだけど、間をおかずにまたもやギャビーが姿を隠してしまう。
あまりの勝手な行動に憤るのだけど、ギャビーがストーカーにつきまとわれていたことを知っていたテンペは不安に駆られる。さらには、そのストーカーが連続殺人の犯人の可能性もあって……

そして最悪の事態に。
数日後、ギャビーの遺体が発見されてその遺体のそばにはテンペと娘が一緒に写っている写真が置かれていた。 次の犯人の狙いは娘なのか? それとも自分なのか?
ギャビーのことで自分を責めるテンペをライアンがなぐさめ、一刻も早く犯人を捕まえることを約束する。

言葉どおり、犯人を捕まえることに成功したライアン。
やっと事件が終わったと安堵するテンペだったのだけど……。
事態は思いがけない展開をむかえていく


最後は緊迫感あふれる展開だったので、かなりドキドキしました。
ただ、残念なのはどうしてもドラマのイメージを振り切れなかったこと。
先に本作を読んでいたらまた違った感想だったのだと思うけど、ドラマのテンペランスほどの魅力を感じることができず、いまひとつ感情移入できなかったこともあって物足りなく感じてしまいました。

何よりもブースがいない!(笑)
やっぱり彼が隣にいてこそ、の、テンペランスじゃないでしょうか。
そんなふうに思ってしまいました

何度もドラマと比べてしまって、申し訳ない気もしますが 【BONES−骨は語る−】 は本当に面白いので、観ていない方で興味を持ったら是非、観てみてください。
最初の方のテンペランスのぶっきらぼうさに、ちょっと反感を抱くかもしれないですが話が進むごとに人間味がでてきて仲間たちやブースとの関係に引き摺り込まれていくこと間違いナシです(笑)
私は今ではすっかりテンペランス贔屓です
最新の科学捜査はもちろん見どころに一つだけれど、それ以上にテンペランスを囲む仲間たちとブースがくり広げる人間ドラマが面白いですよ 



 
| ミステリ | 19:47 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
アニモーフ5 生き残るために/K・A・アップルゲイト
K・A・アップルゲイト
早川書房
¥ 1,470
(2004-06-11)
Amazonランキング: 698451位
JUGEMテーマ:読書


★★★★(4/5)

あらすじ

ぼくはマルコ。
アニモーフには反対だったのに、アンダリテのアックスを故郷の星に帰すため、またも危険な作戦に加わることに。
イェルクの宇宙船を盗むのだ。
だが、やつらに裏をかかれ、つかまってしまう。
母船に連れていかれたぼくらに、生き残る道はあるのか!?(紹介文より)


〜感想〜

前作  『アニモーフ4 海底からの声』  に続く五作目です。

イェルクと戦っているアニモーフは5人なので、ひょっとしたらこれで完結なのかな? と思ったりもしたのだけど、どうやらまだ話は続くようです。

前作で アンダリテのアックスと出会ったマルコたちなのだけど、いつまでも彼を匿うことには限界があることから、ジェイクはアックスを故郷の星へ帰すための作戦を立てます。
その作戦とはイェルクの宇宙船を奪うというものびっくり
いつもながらの無謀とも言える作戦に、渋るマルコ。

マルコは頭がよくて皮肉屋の男の子なのだけど、決して臆病というわけではありません。ただ、2年前に母親が海で行方不明になり、死んでしまったことで父親が抜け殻状態になっているということもあって、「もし、自分も死んだら?」 と、父親を心配する気持ちが、慎重な態度をとる理由となっています。
仲間たち、特にジェイクはそんなマルコの気持ちを知っているのだけれど、それでもときにもどかしい思いをさせられることも事実です。

決して強要をするわけではないのだけど、仲間たちが危険に向かっていくのに自分だけが安全な場所にいられるようなマルコではないので、最終的には行動を共にすることに。
でも、とうとうマルコにも限界が訪れる。
そこで、彼は親友のジェイクにだけ自分の決心を伝えます。
「今度を最後にする」 と。

思えばあまりにも色々なことがありました。
異星人と遭遇し、その異星人が目の前で凄惨な最期を遂げるところを見届け、モーフとして異星人と戦い……サメと戦ったり、狼と戦ったり、はてはロブスターになったときには、料理の材料ワッ!として鍋に放り込まれそうになったり……。
実際、いつ死んでも不思議はなかったと思います。

それをジェイクも十分承知しているらしく、マルコの決心を静かに受け入れます。
そして、マルコにとっての最後の作戦。
アリダンテのアックスを故郷の星へ帰すために、イェルクの宇宙船を盗むために行動を起こすのだけど……。

今回は敵のイェルクたちから新顔の敵が登場します。
<ヴィセル・ワン> と呼ばれる <ヴィセル・スリー> よりも地位の高い、イェルクでどうやら二人(匹?)は仲がよくないようひやひや
そのことが、後でマルコたちにとって有利に働くことになります猫2

そして、その <ヴィセル・ワン> の正体がまた驚くべきものでした。
その人物とは …… びっくり

結局、宇宙船の奪回には失敗してしまうのだけど、そのかわりマルコにとっては得るもののある戦いになりました。 これから先、マルコはどうするのか?
気になるところです。

とりあえず、現在出版されているのはこの5作目までのようなので、しばらくは5人の活躍を知ることはできませんムニョムニョ
また、続刊が出たら続きを書こうと思います。ラッキー
ひょっとしたら、次はアンダリテのアックスが語り手になるのかも?

| SF | 19:33 | comments(2) | trackbacks(0)|- pookmark
アニモーフ4 海底からの声/K・A・アップルゲイト
K・A・アップルゲイト
早川書房
¥ 1,470
(2004-05-11)
Amazonランキング: 690843位
JUGEMテーマ:読書


★★★☆(3.5/5)

あらすじ

わたしはキャシー。
このごろ奇妙な夢を見る。だれかが海の底から呼んでいる夢だ。
そんな時、浜辺でアンダリテの宇宙船の破片らしきものが発見された。あの海底からの声はもしかして……? イルカに変身して海にもぐったわたしたちは、驚くべきものを目にした!(紹介文より)


〜感想〜


前作  『アニモーフ3 宇宙船との対決』  に続く四作目です。

今回の語り手はキャシーですが、彼女は普段から動物に優しく、それは人に対しても変わりません。そんなキャシーは5人の中では癒し系の存在でもあります。

その彼女が奇妙な海の夢に悩まされ始めるのだけど、彼女と同じ夢を見ていたのはもう一人いて、それはトバイアスでした。
なぜ、この二人だけが?
仲間たちと話し合うと、その海から呼びかける声が聞き覚えのあるものだということに思い当たります。そう、その声は5人にモーフの力を授けてくれた アンダリテ と同じものでした。

そして、同じ時期に海からアンダリテの宇宙船のものだと思われる破片が見つかったことから、キャシーたちはアンダリテを助けるためにイルカにモーフして海へと向かう。

新しい動物にモーフすると、その動物になった時の最初の印象が描かれるのだけど、その動物によってそれは様々。今回のイルカは、とにかく 「遊びたい!」 という気持ちで頭がいっぱいのようですたらーっ
モーフしたばかりのキャシーたちは、しばらく遊びに夢中になるばかりで肝心のアンダリテ救出のことは、すっかり忘れてしまいます。
そんなキャシーたちを一生懸命正気に戻そうとするトバイアス。
タカのままのトバイアスは、そんなふうに他の仲間たちが新しい動物に変身して本能に支配される度に、呼びかけて正気に戻す役割を担うようになってしまっていますたらーっ

この動物の本能っていうのがまたやっかいひやひや
以前、ジェイクがトカゲにモーフしたときにはとにかく怯えまくり、動く虫をみたら食べることを考え……実際にジェイクはその時生きたままクモを食べる羽目になったことも泣き顔

とりあえず、トバイアスの呼びかけにこたえて正気に戻った四人は、キャシーの夢のとおりに海の中を探すのだけど、そこでクジラがサメに襲われているところに遭遇。
たちまち、クジラを助けなければならない! という使命感のようなものに駆られ、サメと戦うことになります。

そんなふうにモーフをすると、イェルクたちの危険のほかにモーフした動物そのものが遭遇する危険にもさらされることになります。
「他の動物に変身できる」 奇跡のような力ですが、実際に使うことになってみると素直に喜べないのが辛いところです。

とにかくなんとかサメを追い払い、クジラを助けたキャシーたちだったのだけど、助けたクジラから思いがけずアンダリテの情報を手に入れることに。
手がかりを摑んだキャシーたちが、後日アンダリテがいる場所を探しに行くとそこには、確かにアンダリテの姿がワッ!
ところが、そのアンダリテはキャシーたちに銃を向け……。

それはアンダリテが用心したためで、誤解はすぐに解けたのだけど、話すうちにそのアンダリテの正体に驚かされる。彼は5人を助けたアンダリテ、エルファンゴル王子の弟だったびっくり 彼もまた戦いで宇宙船を破壊され救助を待っている身で、しかもキャシーたちと同じくまだ子供のアリダンテだということがわかって気落ちする5人。

相変わらず、リーダーはジェイクのよう……彼自身は望んでいないだけに、ちょっと気の毒たらーっ 

それでも恩人の弟を助けだせるのは5人にとって嬉しいことに変わりはなく、明るい雰囲気で彼を連れて戻ろうとしたその時、また ”やつ” が登場。
そう、憎むべき<ヴィセル・スリー>ですちっ
またまた、命がけの逃走劇がくり広げられることに。

いつも危ういところで、なんとか助かった、という展開なので、読んでいるほうとしても寿命が縮まるような気がしますたらーっ
何はともあれ、アンダリテを助け出したキャシーたち。
彼を仲間に加えて、今度はどんな展開が待っているのか?

ドキドキしながら、次の  『アニモーフ5 生き残るために』  へ。
語り手はジェイクの親友マルコです。
| SF | 18:44 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
アニモーフ3 宇宙船との対決/K・A・アップルゲイト
JUGEMテーマ:読書


★★★★☆(4.5/5)

あらすじ

ぼくはトバイアス。
アニモーフの制限時間を越えてしまって、いまも人間にもどれないままだ。
ある日、ぼくは空で奇妙な気配を感じた。イェルクの宇宙船だ!
これを破壊しようと、ぼくらは作戦を立てた。
ぼくもタカの体と人間の頭脳を生かして仲間と共に戦いに挑む!(紹介文より)


〜感想〜

前作  『アニモーフ2 おそろしき訪問者』  に続く三作目です。

最初の戦いで制限時間を越えてしまい、タカの姿のままになってしまったトバイアス。
空を自由に舞う喜びを謳歌しながらも、段々と自分が人間だった記憶が危うくなってきています。

そんな時、空で奇妙な気配を感じたトバイアスは詳しく調べることにする。
するとそれは姿を隠したイェルクの宇宙船だということがわかります。
トバイアスが仲間にそのことを知らせると、その宇宙船の目的を探ろうということになるのだけど、そうなるといつものごとく文句を言うのがマルコ。

ちょっとした言い合いはあったものの、最終的には全員一致で宇宙船が向かった先の山へと偵察に行く事に。ただ、人の足では時間がかかることから新たな動物のモーフをすることになります。

ちなみに、モーフをするにはその動物のDNAを自分の中に取り込まなくてはいけません。なので、5人のメンバーでもモーフをする動物の種類や数にはばらつきがあります。でも、今回のような作戦の時には全員同じ動物をモーフするほうが便利で、全員が狼をモーフすることに。

この ”モーフする” ことは、動物の種類によってはとても楽しいことでもありますわーい と、同時に危険なものでもあって……。

その危険の一つが二時間以上モーフすると、元の人間の姿には戻れなくなるということ。
さらには、モーフした動物の本能に一時的に支配されてしまうということ。

トバイアスはタカの姿のまま戻れなくなってしまったことで、人間の記憶を持ちながらもタカの本能に支配されかけることが起きるようになってしまいます。
仲間たちと共に、イェルクを倒そうと行動を共にしながらも、同じタカの ”あの子” に否応なく引きつけられてそばに飛んでいきたくてたまらなくなったり。

今回は、そんなトバイアスの苦悩と悲しみが痛いほど伝わってきて、なんともやりきれない気持ちになりましたポロリ 
そして、とうとうある日タカとしての本能が人間としてのトバイアスの意識を上回り、気づいたときには狩りをしてネズミを食べてしまった後でした。
自分のしたことに衝撃をうけるトバイアス。
すっかり混乱して絶望に駆られたトバイアスは、誰よりも自分を気遣ってくれるレイチェルのもとへと向かうのだけど、それでも自分のしたことに耐え切れずタカとしての本能に身を委ねることを選んでしまう。
仲間たちからも遠く離れて……ポロリ

そうして、すっかりタカとして暮らし始めたトバイアスはもう人間としての意識に悩まされることはありませんでした。狩りをしたければして、ネズミを食べ、時にはリスも食べ……ところが、彼はある日、他の生き物の狩りの現場を目にします。

始めは無関心に眺めるばかりだったのだけど、段々と自分の見ているものが何なのかに気づき始めます。それはイェルクの異星人寄生者ホルク・バジールが人間の男性を殺そうとしている場面だったのです。

一気に蘇るトバイアスとしての記憶。
アンダリテのこと、仲間のレイチェルたちのこと。
イェルクとの戦いのこと。
そして、トバイアスは殺されようとしている男性を助け出し……。

実際にトバイアスのような立場になったら、どんな気持ちがするんでしょう?
自分は二度と戻れないことを知りながら、仲間たちが人間に戻るところを見ていなければならない苦しさは?

そういう感情すべてを乗り越え、タカの自分も受け入れてトバイアスとして仲間のところに戻った彼に感動しましたポロリ
いつか、アンダリテがやってきたときに彼がもとの姿に戻れるといいのに、と思いました。

次は  『アニモーフ4 海底からの声』  へ。
語り手はキャシーです。
| SF | 20:02 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
アニモーフ2 おそろしき訪問者/K・A・アップルゲイト
JUGEMテーマ:読書


★★★★(4/5)

あらすじ

わたしはレイチェル。
動物に変身する力を使って邪悪な異星人イェルクと戦う、アニモーフのひとりだ。敵の息の根を止めるため、どうしても情報がほしい。
わたしはネコになって、敵の一味であるチャップマン教頭の家に忍び込んだ。
だが見つかってしまい、絶体絶命のピンチに!(紹介文より)


〜感想〜

前作  『アニモーフ1 エイリアンの侵略』  で、”モーフ”の力を授かって、他の生物に寄生するエイリアンのイェルクと戦うことになった5人の仲間たち。

イェルクたちの命の源である ”イェルク・プール”を突き止め、イェルクたちが寄生者から離れている隙に捕らわれていた人間、異星人を助け出そうとしたものの、最も恐るべき敵<ヴィセル・スリー>の出現で、命からがら逃げ出すのがせいいっぱいだったのだけど、その時に地区リーダー(のようなもの?)の役割を果たしている人物を突き止めたことから、今回はその人物のもとへもぐりこみイェルクの弱点を探ろうと作戦をたてる。

その人物とは5人が通っている学校の教頭チャップマンで、彼の娘のメリッサはレイチェルの仲のよい友だちだったことから、レイチェルは彼女のネコにモーフしてイェルクの同行を探ろうとするのだけど、気になるのはメリッサの最近の態度のこと。

以前ほど仲よく話すことがなくなり、メリッサがよそよそしい態度をとることから、レイチェルはメリッサもすでに”寄生者”になっているのではないかという疑いを捨てる事ができない。さらには、いくらイェルクを倒すためとはいえ、親友を利用しようとする自分を恥かしく感じてしまい……。

前回の戦いでは<ヴィセル・スリー>のあまりの迫力と強さに、すっかり怖気づいた5人だったのだけど、……今回も同じです(笑)
でも、その怖さに負けずに勇敢に立ち向かっていくのが5人の偉いところ。
なかでも、レイチェルは普段から挑戦されたら受けて立たずにはいられない、という勝気な少女なのだけど、その普段以上に勇敢に振舞うレイチェルの姿には感動せずにはいられなかったです。
何よりも、親友のメリッサを思いやる優しさに胸を打たれましたポロリ

とにかく<ヴィセル・スリー>が強くて強くて……[:がく〜:]
この相手を倒すには、並大抵のやり方では通用しなさそうです。
何よりも、恐ろしいのはこの<ヴィセル・スリー>は唯一 アンダリテ の寄生に成功したイェルクで、レイチェルたちと同じように モーフ できるということ。
しかも、エイリアンなものだから、見たこともない生物にモーフするのがたまらない泣き顔

そんな相手に対する強みは、レイチェルたちのことをイェルクと戦っている アンダリテ だと思っていること。 その強みをなくさないために、絶体絶命の危機に陥ったときもレイチェルは一言も話さず死んでいこうと覚悟します。
その潔さに、またもやポロリ

でも、もちろん他の仲間が黙って見ているはずもなく、レイチェルを助けるために集結します。そして<ヴィセル・スリー>との命がけの戦いが始まり……。

今回の戦いでは、寄生者は必ずしも無力ではないことが証明されます。
メリッサの父親のチャップマンは娘に寄生しないことを条件に自ら進んで寄生されることを承諾したのだけど、<ヴィセル・スリー>が、その約束を破るように命令してメリッサの身が危険にさらされることになった途端、死に物狂いの抵抗をし始めます。
それをされると寄生しているイェルクもかなり疲労するようなのだけど、かといって寄生者から離れるわけにもいかずにかなり苦労してました。
そして、そのチャップマンの行動のおかげでメリッサの身は守られることになります。

児童書ではあるけれど、読み出すと面白くて一気に最後まで読破してしまうのは、結構シビアな戦いの中でも、こういった人間同士の心の繋がりが描かれているのが理由なのかもしれませんラッキー

なにはともあれ、また一つの戦いを生き延びたレイチェルたち。
新たな決意を胸に誓い、とりあえずはつぎの戦いまでしばしの休息です。

次は  『アニモーフ3 宇宙船との対決』  へ。
語り手は鷹にモーフしたまま、戻れなくなってしまったトバイアスです。

| SF | 09:49 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
アニモーフ1 エイリアンの侵略/K・A・アップルゲイト
JUGEMテーマ:読書


★★★★(4/5)

あらすじ

ぼくはジェイク。
ぼくと友だちの5人は下校途中、不時着した宇宙船をみつけた。乗っていたエイリアンは、傷を負いながらも教えてくれた。悪いエイリアンが地球侵略を企んでいると。
動物に変身するアニモーフという力を授けてもらったぼくたちは戦うために立ち上がった!(紹介文より)


〜感想〜

紹介文から受けるイメージは、元気一杯の少年少女たちが、エイリアン退治をする冒険もの という感じだったのだけど、読んでみるとそうじゃなかったのでびっくりたらーっ

話は5人の少年少女たちを中心に進んでいくのだけど、その5人のメンバーは

リーダー的な存在のジェイク。
ジェイクの親友のマルコ。
転校生で苛められていたところをジェイクに助けてもらったトバイアス。
ジェイクの親戚のレイチェル。
レイチェルの親友のキャシー。

という顔ぶれ。
ある日、帰り道にたまたま一緒になった5人が、空の上から降りてくる ”光る物体” を見つけるのだけど、その物体は見る見るうちに5人の目の前まで飛んできて……。
不思議大好き少年のトバイアスは、恐れるようすもなく自分から近づき、出てくるように声をかける。すると、中からでてきたのは鹿に似た姿の異星人。

その姿を見た途端、ジェイクたちは懐かしい人に出会ったような不思議な気持ちに包まれる。ところが ”彼” は戦いで重傷を負い死にかけていた。
何とか助けたいと思うジェイクたちに、”彼”は驚くべきことを告げる。
別の異星人も地球に降りたっていて、彼らは「きみたちを殺しにやってきた」 のだとびっくり

敵の異星人は、「イェルク」というほかの生物に寄生して操る種族。
そしてイェルクと戦っているのが、ジェイクたちの目の前に現れた異星人の 「アンダリテ」 という種族。アンダリテには不思議な力が備わっており、自分が死ぬことを知っているアンダリテはその力をジェイクたちにも授けようとする。
躊躇するジェイクたちだったのだけど、そこへイェルクの追手が到着してしまう。

結局は選ぶ余裕もないまま、ジェイクたちはアンダリテの能力 ”モーフ”(動物に変身する力) を授かることに。アンダリテはジェイクたちに隠れるように言い、自分は敵のイェルクを迎えるのだけど、追手のイェルクは<ヴィセル・スリー>と呼ばれ、最も怖れられている敵だったことから、アンダリテは悲惨な最期を遂げることに……。

そして、ジェイクたちはその一部始終を見ていなければなりませんでした冷や汗
……ヘヴィな展開に呆然ひやひや

ショックのあまりすべては夢だと思い込もうとするジェイク。
ところが次の日にトバイアスが訪ねてきて、自分は猫猫になったと嬉しそうに報告しはじめる。
アンダリテの最期を見たトバイアスは、モーフ(変身)して戦うことをすでに決意していたことから、ジェイクにもモーフするように進めるんだけど、どうしても信じようとしない彼にじれたトバイアスは目の前で猫にモーフしてみせる。
とうとう観念したジェイクは、自分の飼い犬犬にモーフする練習を始めるのだけど、実はこのモーフは結構危険。二時間以上モーフしたままでいると……冷や汗

平凡な子供だった自分がなんでこんなことに?困惑
そんな思いに駆られるジェイクだったのだけど、すでにイェルクは地球の人間たちに寄生していることがわかり、その中には自分の兄のトムも含まれていたことからジェイクは否応なく「アニモーフ」としてイェルクとの戦いに巻き込まれていく。

”モーフ”という動物に変身する能力 を使って戦うというのが面白かったです。とはいえ、まだ子供といっていい年齢のジェイクたちが、恐ろしい戦いをせざるを得なくなっていくのは可哀相でした[:がく〜:] 

まだまだモーフの力を使いこなせないジェイクたちが、これから先の戦いでどう成長していくのか……楽しみだけど不安でもありますひやひや
幸せな結末が待っているといいのだけど……。

次は  『アニモーフ2 おそろしき訪問者』 へ。
語り手はレイチェルに変わります。
| SF | 10:38 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
ランプの精(ジン)3 カトマンズのコブラキング/P・B・カー(フィリップ・カー)
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★★★☆(3.5/5)

あらすじ

「至急、おまえんちの近くのハドソン川にあるバナーマン島へきてくれ。生死にかかわる問題だから誰にも言わないで……」 双子のジン、ジョンとフィリッパのもとに、乱暴者の少年ジン、ディバックから助けを乞うメールが届く。
ディバッグの隠れ家に赴いた二人は、彼がヘビを操る怪しい男たちに命を狙われていることを知るのだった。一体なぜ? 誰が? 
ディバッグが盗み出した絵画に隠された暗号を解くうちに、彼らはすべての謎の鍵は<カトマンズのコブラキング>にあると考えるのだった。同じ頃、ジョンとフィリッパの親知らずを盗みに入ろうとした男たちが残した<9匹のコブラ>を手がかりに、双子の叔父、ニムロッドと老ジン、ミスター・ラクシャサスもインドへと向かう。しかし、そこには思わぬ罠が……!(紹介文より)


〜感想〜

前作 『ランプの精(ジン)2 バビロンのブルー・ジン』  に続く完結編です。双子の冒険も終わりに近づきました。親知らずが抜けてから、自分たちがジンだと自覚した双子のジョンとフィリッパ。

ブルー・ジンの地位に無理やり就かせられそうになったり、イフリート族のイブリスと戦ったり……二人の力をあわせて冒険を乗り切ってきたジョンとフィリッパだったのだけど、今回の冒険は二人の子供時代の終わりを告げるものになってしまいます。

お世辞にもよい友達とは言えないディバッグを助けるため、天使の助けを借りて自分たちの身代わりを家に置いて、ジョンとフィリッパは手がかりを追っていくのだけど、ジンをつけねらっている教団に逆に正体を知られて捕らわれの身になってしまう泣き顔

教団の指導者である導師の目的はジンの ”血” 
人間である自分に輸血をして自らもジンとして生まれ変わろうとするのが彼の望みで、捕らわれてしまった双子とディバッグは血を抜き取られ、瀕死の状態に……撃沈
そこには、双子たちを守るために別行動をしていた叔父のニムロッドと、双子を導いてくれたミスター・ラクシャサスも捕らわれていて、絶対絶命の危機に陥ってしまったかに思えたのだけど、その時突然導師の体が燃え上がる。
そう、人間がジンになるのはやっぱり、無理がありました冷や汗

そうして何とか、無事に危機を脱した双子たちは家へと戻っていくのだけど、実は一番哀しい出来事は家で待ち受けていて……。
それは、優しくて愛情深い母親がブルー・ジンになっていたこと悲しい
双子は母親に別れをいう事ができず、すでに手遅れで母親を取り戻しにいくこともできなくなっていました[:がく〜:]

「おかしくない? ジンがふたりいて、ほんとうにほしいものを望むことができないなんて、そんなことがあるなんて、だれが思うかな?」


人の願いごとを叶えられるジンなのに、自分の望むことは叶えられないなんてノーノー
全てが思い通りになるのではない、ということを身にしみて知ったジョンとフィリッパ。 「もう、子供じゃない」 ことに気づかされ、大人としての自覚を促される二人。
ちょっとほろ苦い結末でしたポロリ

とはいえ、叔父のニムロッドにはある計画があって、上手くいけば母親を取り戻すことができるかも? そんなふうに希望をもたせる終わり方でもあったので、それほどは落ち込まずにすむラストではありましたたらーっ
| ファンタジー | 16:18 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
ランプの精(ジン)2 バビロンのブルー・ジン/P・B・カー(フィリップ・カー)
JUGEMテーマ:読書


★★★(3./5)

あらすじ

正式なジンとなった双子の兄妹ジョンとフィリッパ。
一人前のジンになるために、さらにトレーニングを積み重ね、ジンの世界のルールを学び始めた二人の前に、不思議な老女が現れる。この老女アイーシャこそ「バビロンのブルー・ジン」と称される、すべてのジンの象徴であり、リーダーだった。
自分の死が間近に迫ったことを知る彼女は、次の「ブルー・ジン」に誰がふさわしいか探し始めていたのだ。意中の人物はどうやらフィリッパらしい……。
さらに、最高位のジンの椅子を狙う邪悪なジンたちの陰謀も渦巻いて、双子の兄妹の身辺に危険が迫る。巧妙に仕組まれた罠にはまり、伝説のバビロンの空中宮殿に閉じ込められたフィリッパを救出するために、ジョンの危険な冒険が始まった……。(紹介文より)


〜感想〜

前作の  『ランプの精(ジン)1 イクナートンの冒険』 で正式にジンとなったジョンとフィリッパ。ジンとして学ぶ二人にまたもや災難が……。

クールで、計画や作戦を立てるのが得意なフィリッパは、現在のブルー・ジンに見込まれて、次の「ブルー・ジン」の地位に無理やりつけさせられることになってしまいます。だけど、それを黙って見ていないのがジョン。
危険を顧みず、忠実な愛犬アランとニール、ニムロッド叔父さんの執事グローニンを連れてフィリッパが閉じ込められているバビロンへと旅立ちます。
バビロンへ着くまでに危険な目に遭うジョンなのだけど、決して諦めない。
ほんとに素敵なお兄ちゃんです。

一方、フィリッパのほうも安全ではありません。
ブルー・ジンになると、悪も善も超越して中立の立場として両方を裁くことができるようになるのだけど、実は、そうなるためには感情を排除して論理を全てに於いて優先させるようにならないといけなくて……ひやひや
アイーシャがフィリッパをバビロンに閉じ込めたのは、そのためでした。

自分がどんなに嫌だと思っても、バビロンで過ごすことによって否が応でも思いやりがなくなり、冷たい論理を振りかざすようになっていく自分に気づくフィリッパ。最初はなんとか抵抗しようと頑張るんだけど、時間はどんどんすぎていってしまい……。
その間もジョンは命がけでバビロンに向かってるのだけど、果たしてジョンは間に合うのか? どんどんフィリッパが変わっていってしまうので、読んでいてハラハラしてしまいました ひやひや 

やっと、ジョンがたどり着いたときには、フィリッパはすでにジョンのことも忘れ、冷たく尊大なブルー・ジンになってしまったあと泣き顔 だったのだけど、それでも諦めないのがジョンの偉いところ。
あることをして、元のフィリッパを取り戻しますわーい

でも、それではおさまらないのが現ブルー・ジンのアイーシャ。
ところが、双子の母親のライラがアイーシャを尋ねてきて……。
実はアイーシャはライラのお母さんワッ!

双子にとってはお祖母さんにあたるジンだということが明かされます。そして、アイーシャの本当の目的は最初からライラで、彼女はフィリッパのために次のブルー・ジンになることを承知してしまう。そのことに満足したアイーシャはフィリッパから手を引いて、とりあえずは事態は収まるのだけど……。

ライラがブルー・ジンの地位に就く時がきたら、双子は優しくて愛情深い母親を失うことになってしまいます[:がく〜:] もちろん、ライラはこのことを双子には内緒にするのだけど……。

フィリッパを無事取り戻したけれど、素直に喜べない結末でした[:がく〜:]
次の話がどうなるのか? 何だか、不安になってしまいます困惑

恐々ながら、次は完結編の  『ランプの精(ジン)3 カトマンズのコブラキング』 へ。
| ファンタジー | 21:12 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark


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