スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | -|- pookmark
金春屋ゴメス/西條 奈加
西條 奈加
新潮社
¥ 540
(2008-09-30)
Amazonランキング: 108445位

JUGEMテーマ:読書

★★★★(4/5)

あらすじ

近未来の日本に、鎖国状態の「江戸国」が出現。
競争率三百倍の難関を潜り抜け、入国を許可された大学二年生の辰次郎。
身請け先は、身の丈六尺六寸、目方四十六貫、極悪非道、無慈悲で鳴らした「金春屋ゴメス」こと長崎奉行馬込播磨守だった!ゴメスに致死率100%の流行病「鬼赤病」の正体を突き止めることを命じられた辰次郎は―。(紹介文より)


〜感想〜

時は二十一世紀も半ば。
人々は月への移住も始めています。

ところが、そんな時代に一部の人たちが日本の中に昔の江戸をそのまま再現し、しかも 「国」 として独立を宣言。 公式には認められなかったものの、何故か日本は弱気で諸外国には日本の ”属領” として通しながらも、日本の中では「国」として認めることに

なんとも奇抜な発想ですが、でもこの設定が結構面白いんです
すでに、江戸が国として名乗りをあげてから数十年がたっているのだけど、”鎖国” 状態の江戸に入国するのは至難の業。
でも、日本育ちの辰次郎は三百倍の競争率をくぐり抜け、あっさり1回目の抽選で入国を許可されます。

実は辰次郎はもともと江戸の生まれ。
5歳まで江戸で育っていたのだけれど、理由があって両親とともに出国して20歳の今まで日本で暮らしていました。そんな辰次郎が江戸に帰国することになったのは、余命いくばくもない父親のたっての頼みが理由でした。
鎖国 をしている江戸では厳しい決まりがあって、江戸入りした人間が一度出国したら二度とは戻れません。 辰次郎の父親はどんなに帰りたくても無理なことから、せめて変わりに、との父親の頼みを断れなかったことから、今回の辰次郎の江戸入りとなりました。

辰次郎自身も出国はしたものの、もともとの生まれは江戸。
ということは、一度は帰国も可能です。
そうして辰次郎は江戸へと入国するのだけど、そこで待っていたのは辰次郎自身が思いもかけない事態で……

江戸へ入国した人たちにはそれぞれ後見人がつきます。
その後見人のもとで江戸での暮らしを立てて行く事になるのだけど、辰次郎の後見人は……

気質の荒さと性根の悪さで、冷酷無比、極悪非道、厚顔無恥と噂の高い 裏金春のゴメスと呼ばれる長崎奉行 しかも、女だというのだから二重の驚きです
江戸で何故長崎奉行? と思うかもしれないけれど、この呼び名は場所ではなくて、勤めの内容が同じなことが理由です。

何はともあれ、江戸で長崎奉行ゴメスの手下として、働くことになった辰次郎だったのだけど、実は辰次郎がたった1回の抽選で江戸に入国できたのには理由がありました。
江戸に住んでいた頃に辰次郎がかかった死の病 ”鬼赤痢” の治療の手がかりを得るために、ゴメスが裏から手を回していたのです。

ところが肝心の辰次郎には江戸にいた頃の記憶がさっぱりありません。
生存者0の”鬼赤痢” にかかり、ただ一人生き残った辰次郎。
何故、彼は助かったのか?

それがわかれば、治療方法もわかります。
辰次郎は自らの記憶を取り戻すため、”裏金春” の兄貴分たちと手がかりを追い求めていくのだけど……。

とにかく、この辰次郎の親分(笑)のゴメスのキャラクターが強烈でした
”怪獣” という呼び名がぴたりとくる人って、なかなかいませんものね ちなみに本名は 馬込(まごめ) 寿々(すず) と、見かけとは裏腹に可愛い名前です

そして、奉行所の兄貴分たちは、甚三(じんざ)、木亮(もくすけ)、寛治(かんじ)、菰八(こもはち)、辰次郎がくるまで一番の下っ端だった 良太(りょうた)の5人と、ゴメスの片腕になる地蔵の頭と呼ばれる十助 です。 この十助は辰次郎の父親が江戸にいた頃の親友で、辰次郎の幼い頃のことを知っている人物でもあります。 そのせいか、辰次郎を優しく見守ってくれてます。

そして、もう一人。
辰次郎と一緒に江戸入りした松吉。
時代劇マニアだった松吉は、あっさりと江戸に馴染んで何かと辰次郎を助けてくれます。

果たして辰次郎は記憶を取り戻し、”鬼赤痢” の治療法を突き止めることができるでしょうか?

結構、登場人物たちそれぞれクセがあって個性的なんですが、ゴメスの印象が強烈すぎて彼らの影が薄く感じられるところが凄かったです(笑)

次は第二弾 『芥子の花』 です



 
| ふぁんたじぃー | 19:28 | comments(2) | trackbacks(1)|- pookmark
犯人に告ぐ(上下)/雫井 脩介(しずくい しゅうすけ)
雫井 脩介
双葉社
¥ 630
(2007-09-13)
Amazonランキング: 101802位

雫井 脩介
双葉社
¥ 650
(2007-09-13)
Amazonランキング: 89813位

JUGEMテーマ:読書

★★★☆(3.5/5)

あらすじ

闇に身を潜め続ける犯人。
川崎市で起きた連続児童殺害事件の捜査は行き詰まりを見せ、ついに神奈川県警は現役捜査官をテレビニュースに出演させるという荒技に踏み切る。
白羽の矢が立ったのは、6年前に誘拐事件の捜査に失敗、記者会見でも大失態を演じた巻島史彦警視だった―史上初の劇場型捜査が幕を開ける。(上…紹介文より)


〜感想〜

メル・ギブソン主演の映画 【身代金】 と似た内容なのかな、と思っていたら全然違ってました
連続児童誘拐殺人事件の捜査が行き詰まり、何とか現状を打破しようと思いついたのが、TV番組で公開捜査をするというもの。

いわゆる 劇場型捜査 というやつですが、その指揮をとることになったのは、かつて6年前の誘拐事件で失敗し左遷された警視の巻島史彦。 6年前の事件の時に、上司から手柄をものにするように言われ、納得はいかなくても従わなければならなかった巻島は自分の気持ちとは裏腹の言葉をはいて、周囲の人物を動かしていきます。
ところが、結局捜査は失敗。
スケープゴートとして矢面に立たされる羽目になった巻島は、これまた自分の気持ちとは裏腹に終始警察には責任がないことをいい続けなければいけなくなります。
これだけでも、プレッシャーは相当なもの。
その上、当時心臓に疾患のある娘が出産で危篤状態に陥るという、泣きっ面にハチ状態だったものだから、とうとう巻島は執拗に攻める記者に対してブチ切れてしまいます

しかも、その様子はTVでしっかり放映されて……。
責任を取らされた巻島は左遷。
そして、6年後。
当時と同じ上司は、またもや巻島を利用しようと思いつき、今度の連続児童誘拐殺人事件の指揮をとるように命じます。

”プッツン警視” 

と警察内であだ名をつけられた巻島ですが、6年間の間に何かが吹っ切れたのか、不思議な落ち着きと貫禄を漂わせるようになっています。 以前よりも強かになった巻島は上司の思惑を知りながら、捜査を引き受けることにするのだけど……。

警察のすべてがそうだとは思わないけれど、どうしても自分たちのミスを認められない、認めようとしない、そんな体質が見え隠れする様子に嫌な気持ちになりました。
ミスを隠すために、誰かを人身御供にしたり……そんなことをする人が上層部の人間だというんだから、部下たちはたまったもんじゃありません
かと思えば、犯人を捕らえるという手柄を立てるためなら被害者のことは二の次にしたり……。 しかも、マスコミの視聴率競争も絡んできて、捜査の邪魔をするような報道をしたり。

そんなふうに同じ警察内部の仲間からも、マスコミからも、アレやコレやのやり方で足を引っ張られながら捜査をする巻島には同情せずにはいられませんでした

連続児童誘拐殺人犯と巻島の追いつ追われつの話を期待していたのだけど、どちらかというとそんなふうに邪魔に入る人たちとの余計な対決に巻島は苦労していたような気がします  犯人像も今ひとつ明確に描かれていなかったので、最後のほうでの逮捕劇にもあまりドキドキしませんでした。

巻島という一人の人間の再生物語として読むとまた違った印象になるかもしれません。


 
| みすてり | 18:47 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
偽小籐次−酔いどれ小籐次留書(11)−/佐伯 泰英
佐伯 泰英
幻冬舎
¥ 600
(2009-02)
Amazonランキング: 93165位

JUGEMテーマ:読書

★★★★☆(4.5/5)

あらすじ

町年寄の突然の自害、米会所の急なお取り潰し―。
久慈屋の掛取りに従った小籐次が観右衛門から聞かされた騒動の背景は、事がそれだけでは収まらない気配を見せていた。
折しも市中に小籐次の名を騙り、法外な値で研ぎ仕事をする男が出現。
素性を探るため、小籐次は東奔西走するが、予想外の事態に突き当たる。(紹介文より)


〜感想〜

『薫風鯉幟−酔いどれ小籐次留書(10)−』 で野菜売りのうづと峻太郎の二人と短い間ながらも、家族のように暮らした小籐次でしたが、うづのトラブルも解決してまた峻太郎との二人暮しに戻って少し寂しそうです(笑)

久慈屋の掛取りの護衛をかねて番頭に同道した小籐次は巷で噂の河童騒動に巻き込まれます。 河童に向かっていった小籐次はそれが偽者で、実際は河童を装った強盗一味だということを見破ります。 強盗一味を捕まえた小籐次ですが、その一部始終を読売屋が面白おかしく記事にしてしまったことから、なりをひそめていた ”追腹組” が活動を再開し、小籐次へ刺客を送り込んできます。

しかも、読売を読んだ江戸の住人がわざわざ長屋にまで小籐次を見にくるようになって大騒ぎ。とりあえず駿太郎を長屋の差配さんに預かってもらい、避難することに そうして、ついでに忙しくてしばらくご無沙汰してしまった、お得意さんたちの研ぎ仕事をしようと思いつきます。
ところが、そんな小籐次は思いがけないことを聞かされます。

小籐次の偽者が出没して雑な仕事をしてまわり、彼の評判を落としていると。
最初こそ、のんびり構えていたものの、調べるうちにどうやら、”追腹組” が関わっていることがわかってきて……

”追腹組” が出てくると、赤穂藩の古田と小城藩の伊丹が必ずといっていいほど小籐次のもとを訪れますが、今ではほとんど友達状態(?)  ひと回り以上若い二人には、冷たい態度をとる小籐次ですが、出来の悪い息子と頑固親父のように見えて、何だか面白いです

今回は、偽小籐次でとんだ迷惑をかけられてしまいますが、実はそれ以上の大きい驚きがありました。 もっとも、その驚きは小籐次にとっては嬉しいもので……。

なんと、小籐次の想い人のおりょうが自分の気持ちを打ち明けてくれます

「わからぬ。それがし耳までおかしくなったか」

「これは夢じゃ」 (本文より)

イエイエ、ちゃ〜んと現実です(笑)
小籐次のそんな奥ゆかしいところも魅力のひとつですが、このままじゃあ話が進まない。 と、なると女のほうから積極的にならずにはいられません(笑)
おりょうの大胆な行動に、思わずニヤニヤしてしまいました
どうやら、小籐次とおりょうの関係も次の段階へと進むようです 

さて、このシリーズも発売されているのはこの巻で最後。
以下続刊となりますが、次の 12巻が出るのはいつなのか……いつものことですが、待ち遠しいです。


 
| 時代 | 19:02 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
薫風鯉幟−酔いどれ小藤次留書(10)−/佐伯 泰英
佐伯 泰英
幻冬舎
¥ 600
(2008-08)
Amazonランキング: 103986位

JUGEMテーマ:読書

★★★★(4/5)

あらすじ

竹薮蕎麦の倅・縞太郎とおきょうの窮地を救った縁から、二人の祝言の媒酌人を務めることになった小藤次は、その矢先、百姓舟を営むうづが、しばらく商いに来ないことを案じ始める。
はたして、彼女の在所を訪ねた小藤次が聞きつけたうづの縁談。
だが一見、良縁の嫁入り話には、思いもよらぬ謀略が潜んでいた―。(紹介文より)


〜感想〜

『春雷道中−酔いどれ小籐次留書(9)−』 で、水戸での 新ほの明かり行灯の作製指導を終えた小籐次は、江戸に戻ってから、新しいアイディアを出してくれた吉原の花魁清琴(すがこと)のもとへお礼の行灯を持って報告に行きます。 こういう律儀なところがいいんですよね
そして、またもや小籐次のファンが一人増えました(笑)

前作から、駿太郎もうどんを食べられるようになったり、小籐次を ”じいじい” と呼ぶようになったりと、すくすくと成長しています でも、流石に ”じいじい” と呼ばれることに抵抗があるのか(笑)、そのたんびに 「それがし、そなたの爺ではないぞ」 と言い返す小籐次が可笑しいです

そうやって、いつもの研ぎ仕事を始めてもとの生活に戻った小籐次だったのだけど、何かと世話になっている野菜売りの娘、うづの姿が何日間が姿を見せないことが気にかかります。そこで、心配になった小籐次はうづの家を訪ねて行くのだけど、縁談話が持ち上がっていることを近所の人から聞かされます。ところが縁談相手はすでに3度も離婚していて、世間での評判もよくなくて……。 
ただ、困ったことにうづの父親にとっては恩のある相手。
うづ自身が嫌がっても周りが許さないようで

事情を知った小籐次はうづを連れ出して、匿うことに。
久慈屋に相談して小籐次と同じ長屋でしばらく暮らしてしまう段取りをつけて、うづを長屋に案内するのだけど、長屋の住人たちは事情を聞いてたちまちのうちにうづの味方になって一致団結 人情あふれる面々に温かい気持ちになりました

そして小籐次にとっては駿太郎とうづの二人がいることで、即席の家族ができたかのように思えるのか、妙にうきうきしている様子がなんとも微笑ましかったです
うづにはとんだ災難でしたが、小籐次にはちょっと嬉しい出来事だったみたいです(笑)

次は 『偽小籐次−酔いどれ小籐次留書(11)−』 です。


 
| 時代 | 21:33 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
春雷道中−酔いどれ小籐次留書(9)−/佐伯 泰英
佐伯 泰英
幻冬舎
¥ 600
(2008-02)
Amazonランキング: 69001位

JUGEMテーマ:読書

★★★★(4/5)

あらすじ

ほの明かり久慈行灯の製作指南と、久慈屋の跡取り娘と手代の結婚報告のため、水戸へ出立した小籘次ら一行。
だが、主人の座を狙っていた番頭の泉蔵が率いる一味に、突如として襲撃される。
折も折、一行の行く手を阻む新たな騒動が勃発。
図らずも二組の敵を迎え撃つこととなった小籘次に、はたして活路はあるのか。(紹介文より)


〜感想〜

『竜笛嫋々−酔いどれ小籐次留書(8)−』 で、おりょうを助け出した小籐次。
まずは平穏な毎日が戻ってきたようでしたが、久慈屋の手代浩介と跡取り娘のおやえの縁談がまとまったことから、事件が始まります。

手代の浩介とはそもそもの始まり 『御鑓拝借−酔いどれ小籐次留書(1)−』 の時からの知り合い。人柄もよく知っている小籐次には、久慈屋の跡取り娘のおやえとはお似合いだとよくわかっています。 ところが、そんな二人の結婚話をよく思わないのは久慈屋に古くから仕えている三番番頭の泉蔵。

久慈屋の本家へ結婚の報告と、水戸藩での 新規の ”ほの明かり行灯” 作りのために水戸へ向かった一行に泉蔵が雇ったならず者が襲い掛かってきて……。
執拗に付けねらう泉蔵をその都度退けながらの旅になります。
おまけに途中で、盗賊一味がご金蔵を破るという事件を聞かされて、最初からなんとも物騒な道中に

とりあえず、気をつけながら旅を続ける一行だったのだけど、偶然にも盗賊一味が役人を殺そうとしている場面に遭遇。 小籐次の出番ですね 
どうやらこの盗賊一味はご金蔵を破ったとされる犯人らしいのだけど、何人かは逃げ出してしまいます。 その後、泉蔵にまたもや襲われるものの、今度は泉蔵も逃げることはできず小籐次に倒されます。

なんとも、忙しい道中でしたがやっと水戸城下に到着。
すると、水戸藩の狸(笑)家老の太田が、盗賊一味を捕らえて幕府へ恩を売りたいと言い出して……。ちゃっかりしてますね(笑)
小籐次は行灯作りだけでなく犯人探しまでする羽目に

とはいえ、まずは最初の目的の行灯作りの指導が大事。
旅の前に吉原で市場調査(笑)をしっかりしていた小籐次は、新たな工夫を加えたちょっと贅沢な「吉原明かり」を作り上げます。

凄腕の剣術家としての顔と美を作り出す小籐次の意外性には驚かされるばかりでした
次は 『薫風鯉幟−酔いどれ小籐次留書(10)−』 です。


 
| 時代 | 19:45 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
竜笛嫋々−酔いどれ小籐次留書(8)−/佐伯 泰英
佐伯 泰英
幻冬舎
¥ 600
(2007-09)
Amazonランキング: 43096位

JUGEMテーマ:読書

★★★★(4/5)

あらすじ

赤目小籐次が思いを寄せるおりょうに縁談話が舞い込んだ。
だが、この話に違和感を抱くおりょうは、小籐次に縁談相手の高家肝煎・畠山頼近の素性調査を依頼する。
そんなある日、おりょうが謎の手紙を残して失踪。
折りしも小籐次の探索で畠山が偽者との疑いが浮上する。(紹介文より)


〜感想〜

『子育て侍−酔いどれ小籐次留書(7)−』 で、駿太郎をおりょうに預けていた小籐次は、おめかし(笑)をして、迎えに行きます。 すると、おりょうから思いがけず、縁談話がきたことを打ち明けられ、今ひとつ気がのらない、と聞かされます。

最初に話を聞いた時は、涙をのんでおりょうの縁談話を祝福しようとした小籐次でしたが、おりょうの言葉を聞いて相手の畠山頼近を調べることを約束します。
どうやら、おりょうは小籐次を憎からず思っているようで、わざと小籐次に自分への気持ちを口に出すように仕向けたりしてます これって、ほとんど両想いと変わらないですよね。
好きな人には自分への気持ちをはっきりと聞かせてほしいのが女心ですから

とはいえ、今までの小籐次に恋愛は縁のないもの。
今ひとつおりょうの気持ちをはかりかねているようで、戸惑う様子が可愛かったです

とにかく、おりょうの縁談の相手を調べようと、小籐次はまず 『寄残花恋−酔いどれ小籐次留書(3)−』 で知り合った青山藩の密偵おしんに手伝いを頼みに行きます。 すると、おしんの主の老中の青山も畠山頼近に興味を持っていたらしく、おしんの全面的な協力を得ることができます。
そうして、小籐次が調べ始めると畠山の手の者が襲ってくるように

そんな時、おりょうが自らの意思で畠山の嫁になると言い残して失踪します。
そんなおりょうの言動が、「おりょうであっておりょうでない」 と確信した、おりょうの奉公先の主水野が小籐次にその時の様子を伝えます。
畠山頼近は、怪しげな術を使うという噂もあり、小籐次はおりょうが自分の意思に反して操られていることを確信。 必死になっておりょうを探しだそうとする小籐次をなぶるかのように、畠山の手のものが邪魔をするのだけど、怒り心頭に達した小籐次に敵うはずもなくバッタバッタと倒されていきます。

戦いにおいては冷静さを失わないものの、ちょっといつもの小籐次とは違っていて、「来島水軍流流れ胴斬り」 と渋くつぶやくはずが、今回は 「来島水軍流公卿首飛ばし!」 なんて叫んでたりします(笑)
……絵的には笑ってられないんですけどね

それにしても、こんなふうに思われるおりょうは幸せ者です
おりょうも小籐次のよさをちゃんと見抜ける人でよかったです。
おりょうになら、小籐次を譲ってもいいです(笑)

そんなわけで、今回は一途な小籐次の姿に女心をくすぐられました〜(笑)

次は 『春雷道中−酔いどれ小籐次留書(9)−』 です


 
| 時代 | 12:50 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
子育て侍−酔いどれ小籐次留書(7)−/佐伯 泰英
佐伯 泰英
幻冬舎
¥ 600
(2007-02)
Amazonランキング: 20381位

JUGEMテーマ:読書

★★★★(4/5)

あらすじ

赤目小籐次は、水戸藩の騒動を治めた矢先、子連れの刺客・須藤平八郎を討ち果たす。
以来、須藤の子・駿太郎を養育し始めるが、身辺には不穏な侍の影がつきまとうのだった。
四家追腹組の新たな刺客なのか?警戒を強める小籐次だったが、駿太郎の出生に驚くべき秘密が隠されていることなど知る由もなかった…。(紹介文より)


〜感想〜

『騒乱前夜−酔いどれ小籐次留書(6)−』 で追腹組に雇われた刺客須藤を討ち果たした小籐次は約束どおり息子の駿太郎を自分の子として育てはじめます。 とはいえ、五十路をすぎてからの初めての子育てですから戸惑うことばかり

長屋の住人たちも 「いつまで続くか」 と危ぶむ始末だったのだけど、当の小籐次は確かに戸惑いや苦労はあるものの、どこか気持ちにはりがでてきたことにも気づいています。 
”父親” として頑張らねば、と仕事にもせいをだし、おむつをかえ、重湯を飲ませ……なかなかの奮闘ぶりです

ところが、そんな小籐次の周りに新たな刺客の影が……。
またもや追腹組が動き出したのか?
それとも新たな敵か?

しばらく様子を見る小籐次だったのだけど、どうやら駿太郎の母親の縁の者が小籐次をつけねらっていることがわかります。すっかり駿太郎に情の移っている小籐次でしたが、もし母親が駿太郎を連れにくるのであれば、潔く母親の元へ返そうと決めていました。
ところが、そんな小籐次の思いも知らず相手は駿太郎と駿太郎の面倒を見ていた久慈屋の小僧さんの国三を誘拐するという暴挙に

純粋に駿太郎のことを思っているわけではないことがわかり、小籐次は駿太郎を取り戻しに向かいます。 大騒動の末、駿太郎と国三を助け出した小籐次でしたが、一難去ってまた一難。
別の刺客が小籐次に襲い掛かろうとする気配が…… 覚悟を決めた小籐次が戦おうとしたその時、秀次が助っ人をつれて現れます。
その場は何事もなくおさまったものの、相手が諦めたわけではないことを重々承知の小籐次は駿太郎をおりょうのもとへ預け、刺客の襲撃を待ち受けることに。

最後の最後でくり広げられた戦いはかなりの迫力
小籐次の強さは十分わかったつもりでいましたが、そんな思い込みをふっとばすような戦いっぷりでした

次は 『竜笛嫋々−酔いどれ小籐次留書(8)ー』 です。


 
| 時代 | 18:11 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
騒乱前夜−酔いどれ小籐次留書(6)−/佐伯 泰英
佐伯 泰英
幻冬舎
¥ 600
(2006-08)
Amazonランキング: 57390位

JUGEMテーマ:読書

★★★☆(3.5/5)

あらすじ

自ら考案した行灯作りを指南する水戸行を目前に、小籐次はならず者に絡まれていた久慈屋の女中・お花を助ける。
だが、お花の語る騒動の理由は要領を得ず、やがてその裏には思いもよらぬ企ての潜むことが発覚する。 風雲急を告げる水戸行。
その帯同者には、なぜか探検家・間宮林蔵の姿もあった―。(紹介文より)


〜感想〜

『孫六兼元−酔いどれ小籐次留書(5)−』 で久慈屋に新たに入った奉公人のお花が、ならず者に店から連れ出されるという騒動が起きます。 国三に呼ばれて駆けつけた小籐次のおかげで、その場はおさまったものの、当の本人に事情を聞いても心当たりがない、というばかり。

何か曰くがありそうだと思った秀次と小籐次でしたが、無理に聞き出そうとはせずとりあえず様子を見ることに。すると、それが裏目に出てお花はそのまま姿をくらましてしまいます。 もし、何事かが起こった時には久慈屋にも迷惑がかかることになるのを案じて、秀次と小籐次はお花の行方を探し始める。 そのうちに、お花が周囲に見せていたのとは違う顔が現れ始めて……。

ひょっとしたら、小籐次の新たな女友達になるかも?(笑) と、思っていたのだけど、実は悪女だったというオチでした 久慈屋にとっては後味の悪い事件になりましたが、小籐次と秀次のおかげで大事には至らなかったのが救いです。

お花の事件が終わったあと、小籐次に嬉しい驚きが待っていました。
旧主の通嘉から会いにくるようにとの知らせが
通嘉に会って、本当に嬉しそうにしている小籐次の姿が微笑ましかったです
今の刺客に狙われる日々は、元はといえば通嘉の屈辱を晴らそうと行動を起こしたことが発端。 もちろん、そのことを小籐次は後悔してはいないけれど、そんな小籐次の気持ちを藩主の通嘉がちゃんと受け止めてくれていたことにホッとしました。

”御鑓拝借騒動” からすでに1年がたちましたが、小籐次のすべての苦労は今回の通嘉の言葉で報われたような気がします

と、色々忙しい小籐次ですがまだ水戸藩に行灯作りを教えに行く約束が残っています。
今度は水戸藩の御用船に乗っての道中になるのだけど、同じ船に何故か地図作りで有名な探険家の間宮林蔵が同船していて……。

”幕府の密偵” との噂のある間宮が何故?

どうやら、小籐次の役目は行灯作りの指導だけでは終わらなさそうな気配
案の定、間宮林蔵を巻き込んで水戸藩内部の争いに巻き込まれます。幸い小籐次の機転のおかげで水戸藩にお咎めがくだらないように決着をつけることができます。

そうして行灯作りの指導の役目も無事に追え、江戸に戻った小籐次ですが、戻ったら戻ったでまたもや……
子連れの刺客が待ち受けていました(笑)

”御鑓拝借” 騒動で、4家の藩主同志は顔を合わせて手打ちをしてお互いにすっきりしているのだけど、一部の過激な家臣たちはどうしても腹の虫が治まらない。
そこで、結成されたのが ”追腹組”
小籐次を待ち受けていたのは、その追腹組に雇われた刺客だったのだけど、剣の腕前は確かなようで

小籐次を見るうちに剣術家として勝負をしたくなったという須藤に、小籐次が生き残った時に赤ん坊はどうするのか? と問いかけると、「小籐次どのに託したい」 との返事。
そうして二人は向かい合い……。

どうやら、お嫁さんをもらう前に子供を育てることになりそうです

次は 『子育て侍−酔いどれ小籐次留書(7)−』 です。


 
| 時代 | 17:56 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
孫六兼元−酔いどれ小籐次留書(5)−/佐伯 泰英
佐伯 泰英
幻冬舎
¥ 600
(2006-02)
Amazonランキング: 55502位

JUGEMテーマ:読書

★★★☆(3.5/5)

あらすじ

新兵衛長屋に落ち着いた赤目小籐次は、久慈屋の大番頭・観右衛門から御用の手助けを頼まれる。 久慈屋が社中の芝神明で起きた陰間殺しの探索だった。
小籐次は密かに大宮司の西東正継と面会するが、そこで聞かされたのは思いもよらぬ事実だった―。 江都を騒がす悪漢と追腹組の新たな刺客を迎え討つ小籐次。(紹介文より)

〜感想〜

『一首千両−酔いどれ小籐次(4)−』 で、久慈屋の仕入旅のお供を無事にすませて、江戸に戻ってきた小籐次は研ぎの仕事を再開していつもの生活に戻っています。
そんな時、久慈屋から御用の手助けを頼まれるのだけど、大宮司は陰間との関わりを内々にしてほしいと小籐次に頼みます。 承知する小籐次だったのだけど、実は周囲の人々は大宮司のことはすっかりお見通し(笑) 知らぬは本人ばかりなり ってやつですね

陰間を殺した凶器は芝神明に大事に保管されている宝剣だったことから事態はややこしいことに。このことが広まれば、大宮司の身は破滅。 何とか小籐次に宝剣を見つけ出してほしいと大宮司に頼まれます。 秀次の助けも借りながら小籐次は真犯人を見つけ、見事に解決。
大宮司は感謝の証として名刀 「孫六兼元」 が贈られます。

題名にもなってますが、正直なんのことやらわかりませんでした
刀のことだったんですね(笑) 

「孫六兼元」 を思いがけず手に入れることになった小籐次の無邪気な喜びようが微笑ましかったです 

とりあえず、事件が解決してやれやれ、というところですが、今度は水戸藩との約束が待っていました。
前回、小籐次がつくった行灯を水戸藩の名物として売り出すために、小籐次に作り方を教えてほしいと矢の催促(笑)
ならば、その前に、と久慈屋から先に頼まれていた商品を高尾山薬王院へ治める旅に出ることに。
でも、赤目小籐次のいるところには騒動がつきもの 
追腹組とは別口の相手が現れて……。

小籐次があまりにも有名になったことで、彼を倒して名をあげようとする輩まで出てきたようです いつものごとく返り討ちにしたものの …… 苦労が耐えませんね〜


次は 『騒乱前夜−酔いどれ小籐次(6)−』 です。


| 時代 | 18:22 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
一首千両−酔いどれ小籐次留書(4)−/佐伯 泰英
佐伯 泰英
幻冬舎
¥ 600
(2005-08)
Amazonランキング: 73026位

JUGEMテーマ:読書

★★★★(4/5)

あらすじ

追腹組との死闘が続く赤目小籐次は、文化十五年元旦、初日の出を遥拝していた江戸湾で流人を救う。 だが翌日、男は小籐次の小舟を盗み、姿を暗ませる。 秀次親分らの探索で男が千住宿へ向かったことをしった小籐次は後を追うが、その頃、江戸の分限者の間で小籐次の首に懸賞金をかける奸計が密かに練られていた(紹介文より)

〜感想〜

『寄残花恋−酔いどれ小籐次(3)−』 で、とうとう、小籐次暗殺の任をおびた ”追腹組”  が結成されてしまいました 「迷惑な」 と言いながらも、自分が撒いた種と自覚している小籐次は、その時は戦うまで、と潔く覚悟を決めています。

でも、周囲の人間はそうもいきません。
今では、すっかり小籐次の人柄にひきつけられて、紙問屋の久慈屋を始め、御鑓拝借騒動からの腐れ縁(笑)の赤穂藩士の古田、小城藩士の伊丹も何とか穏便にすませようと、小籐次以上にあちこちに探りを入れてます もっとも古田と伊丹にしてみれば、小籐次の腕前は身をもって知っているので、これ以上返り討ちにあって恥をさらしてほしくない、という思いもあります。
そんな周囲の人たちのおかげで、少しずつ追腹組に関わっている人物がわかってくるのだけど、かといって襲ってくるのをやめるはずもなく……結局は小籐次は戦うことになってしまうんですけどね

とりあえず、今回はなりを潜めているのだけど、代わりに小籐次の評判を聞きつけた江戸の分限者たちがとんでもないことを言い出します。
一人、百両出し合って小籐次を倒した者に千両の賞金を与えよう、と

偶然にもその話を伝え聞いた秀次親分が真偽を調べ始めます。
すると、やっぱりそれは本当のことで、秀次が調べている間に小籐次の前にはすでに1番手の刺客が  なんともふざけた話ですが、どうやらこの話には裏があるようで……。

そんな中、久慈屋の本家への仕入れ旅のお供として小籐次も同行することになります。
その旅の道中で、悪者に襲われそうになっている鞠姫様の一行に出会います。もちろん、助ける小籐次。 その一行は水戸藩縁の人たちで、思いがけず久慈屋と小籐次は道中を一緒にすることに
目的地に着いた小籐次は久慈屋の用がすむまでの間、奉公時に虫かご作りや団扇づくりの内職で培った竹細工の才能を披露します。

水戸の名物の竹、西の内和紙を使ってなんとも雅な行灯を作り出します。婚礼を控えた鞠姫さまへのお祝いとして作ったものだったのだけど、その作品を見た久慈屋の本家の主人が水戸の名物として商いをしたい、と言い出して……。

貧乏大名の生計を助けるためにしていた竹細工の内職が思わぬところで役立ってました。 人生って不思議ですね(笑) 何が役にたつのかわからないものです
小籐次自身はお世辞にも美しいとは言えない御仁ですが、美というものに優れたセンスを持っているようです
そんなこともあって、水戸藩とはこれからもつきあいが続きそうです。

何はともあれ、久慈屋の仕入旅も終り江戸に戻ってきた小籐次ですが、帰った草々刺客に襲われて…… 忙しいことですね そんな小籐次を古田と伊丹が訪ねてきます。 千両の噂に刺激されて追腹組が躍起になりはじめたとの情報を伝えるためだったのだけど、もうすでに小籐次は襲われたあと。

「ちと遅かったのう」
「遅いとは」

「すでに出よったわ」
「出た!」 (本文より)

この会話のやりとりが、なんとも可笑しかったです。
これだけでは、今ひとつ面白さが伝えられないのが残念なのだけど、時々思わず くすっ と笑ってしまうようなやりとりがあるんですよね。

例えば、すっかり有名になった小籐次を本人よりも周囲の人たちが自慢したいらしく、小籐次を知らない人に大仰に紹介する久慈屋の番頭の横で、赤くなってもじもじしている小籐次の姿とか。
読んでいて可笑しいやら可愛いやらで 

私もすっかり小籐次贔屓です(笑)

そんな感じで追腹組の刺客はこれからも小籐次を狙うようですが、本人は周囲の心配をよそにあくまでも自然体のまま相手をしていくみたいです。

次は 『孫六兼元−酔いどれ小籐次(5)−』 です。


 
| 時代 | 19:16 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark


↑このページの先頭へ
RECOMMEND
消えちゃったドラゴン 魔法の森2 (創元ブックランド)(パトリシア・C・リーデ) / はみだしちゃった魔女 (魔法の森3) (創元ブックランド)(パトリシア・C・リーデ) / 困っちゃった王子さま (創元ブックランド)(パトリシア・C・リーデ) / ドラゴン・キーパー 最後の宮廷龍(キャロル・ウイルキンソン) / ドラゴンキーパー―紫の幼龍(キャロル ウィルキンソン) / ドラゴンキーパー―月下の翡翠龍(キャロル ウィルキンソン) / ぼくを忘れたスパイ〈上〉 (新潮文庫)(キース トムスン) / ぼくを忘れたスパイ〈下〉 (新潮文庫)(キース トムスン) / 謙信の軍配者(富樫 倫太郎) / びんぼう神様さま(高草 洋子) / シルバータン―ストーンハート〈3〉 (THE STONE HEART TRILOGY 3)(チャーリー フレッチャー) / アイアンハンド―ストーンハート〈2〉 (THE STONE HEART TRILOGY 2)(チャーリー フレッチャー) / ストーンハート (THE STONE HEART TRILOGY 1)(チャーリー・フレッチャー) / 風神秘抄(荻原 規子) / 薄紅天女(荻原 規子) / 白鳥異伝(荻原 規子) / 空色勾玉(荻原 規子) / シャドウ・ファイル/狩る (ハヤカワ文庫NV)(ケイ フーパー) / シャドウ・ファイル/潜む (ハヤカワ文庫NV)(ケイ フーパー) / シャドウ・ファイル 覗く (ハヤカワ文庫NV)(ケイ フーパー) / ファントム〈上〉(スーザン ケイ, Susan kay, 北条 元子) / ファントム〈下〉 (扶桑社ミステリー)(スーザン ケイ) /