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吉野 匠
アルファポリス
¥ 1,155
(2005-10)
Amazonランキング:
114248位
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★★★★(4/5)
あらすじ
異世界に存在する大陸ミュールゲニア―長く続いた平和な時代も今まさに終わりを告げようとしていた。
北の大国ザーマインの脅威に直面している小国サンクワール。
その命運はもはや風前の灯火…誰もがそう考えていたとき、一人の黒衣の戦士が颯爽と歴史の表舞台に現れた!やがて、戦士と王女は出会い、サンクワールの、そしてミュールゲニアの運命を大きく変えてゆく!(紹介文より)
〜感想〜
物語は サンクワール という小国を舞台に進んでいきます。
中心となるのは黒衣の戦士 ”レイン” と、サンクワールの王女 ”シェルファ” の二人の人物。
このレインは、とにかく強い
敵にとっては悪夢の化身としか思えないほどのでたらめな強さで、しかも性格がこれまた悪くて(笑)
なんで、ここまで強いのか?
その理由は、話が進んで行くうちに明らかにされていきます。
そして、王女のシェルファ。
彼女は、レインとは少女の頃に会ったことがあるのだけど、その時は5年後に再会することを約束して二人は別れます。 そして、3年後。
シェルファの父親である王が大国ザーマインとの戦いで殺され、シェルファはレインに会うために城を抜け出し……。
レインもまたシェルファのことを探していたのだけど、ミシェールという嘘の名前を告げられていたことからなかなか見つけることができないでいました。
そんな時、レインの城に一人の少女が訪ねてきたと知らされて……。
感動の再会
……の、はずだったんだけど、まさか自分の知っているミシェールがシェルファ王女だとは知らなかったレインはその場で固まってしまうことに(笑)
とはいえ、もともと図太い神経(笑)のレインはすぐに立ち直り、いつもどおりの気さくな態度でシェルファを受け入れます。
ただ、そんなレインとシェルファの姿を見て驚いたのは周囲の人たち。
一体、二人の関係は
と、色めきたって騒ぐ姿が笑えました
レインは将軍という地位についているのだけど、そのレインを補佐する部下のレニ、セノアがこれまた面白い(笑)性格をしていて、しょっちゅう笑わせてくれます(これで、いいのかな?って思いますけどね
)
そして、敵国ザーマインの間諜としてレインを監視していたユーリも、レインに正体を見破られたことで仲間になるんですが、このユーリもまた笑える性格を……
今にもザーマインに滅ぼされそうな状況の中でも、ほのぼのした雰囲気であまり緊張感がないのは、やはりレインの人徳なのかな、と思いました。
結構、いい加減で何も考えてなさそうに見えるんですけど、実際は様々なことを考えにいれて行動を起こしてたりするんですよね。
そんな頼りになるレインが、親友のラルファスとともに戦いを始めることになるのだけど、このラルファスがまた ”騎士の鑑”
とも言うべき人物。
貴族というものにひねくれた思いを持っているレインでも、ケチのつけようがないほど。
そんなラルファスなので、レインの無茶苦茶ぶりにも(ほとんど)動じず親友として付き合っていけてるようです
多少なりともレインと対等につきあえるのは、このラルファスとシェルファの二人くらいかな、と思います
ただ、そんなレインにも ”強敵” と呼べる人物がいます。
それがザーマインのレイグル王。
このレイグル王はレイン以上に人間離れしていて……。
最後のほうの、ザーマイン軍との戦いで、レインの強さの秘密が明かされるんですが、それは驚くべきもの。 なんとレインは最強の魔獣ドラゴンを倒したドラゴンスレイヤーだったのです
「ドラゴンを倒した者はその力すべてを受け継ぐ」 という伝説のとおりに、レインはドラゴンの力全てを受け継いでいました。
……どうりで、人間離れした強さだと思いました
ただ、ドラゴンを倒すというのはほとんど不可能に近いことから、あくまでも伝説と言われていたので、レインの周囲の人たちの驚きといったら
そんな中でシェルファだけはただひとり尊敬の眼差しを注いでいたのが微笑ましかったです
そんなレインと互角以上に戦うレイグル王の戦いのシーンではかなりハラハラしたんですが、緊張感溢れる戦いの時でもレインは 「危ない宗教でもやってんのか、お前は」 なんて台詞をかましてくれます(笑)
ただ、そんな余裕も長くは続かず……
最後はどうなることかとかなりドキドキしましたが、何とかレイグル王を退けることに成功。
ひとまず、ザーマインとの戦いはおあずけ、というところに落ち着きました。
とはいえ、レイグル王はかなりの強敵で彼にもまた秘密がありそうな感じなので、これからもレインは苦労しそうな感じです
と、いうところで本編は一段落するんですが、エピローグでレインが何故 強さを求め続けるのか? が語られていたり、特別書き下ろしとしてラルファスとレインの友情の始まりも語られています。 少しずつ レインという人物 のことがわかってきて、その度にますます好きになっていきました。
これから先のレインの活躍がとても楽しみです
シェルファとの関係がどう変わっていくのかも興味津々
次は
『レイン2 招かれざる帰還』 です。