スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | -|- pookmark
清掻(すががき)<吉原裏同心4>/佐伯 泰英
佐伯 泰英
光文社
¥ 620
(2004-07)
Amazonランキング: 13162位

JUGEMテーマ:読書

★★★☆(3.5/5)

あらすじ

吉原面番所に新任の同心が配属され、突如、会所の閉鎖を命じてきた。
廓の治安を守る用心棒・神守幹次郎たちが大門外に去ったため、引ったくりや掏摸が横行し、吉原は危地に陥る。
同心の専横の背後には、廓内の利権を狙う一橋治済卿の影がちらつく。
やがて幹次郎たちの探索で、同心のどす黒い過去が…。(紹介文より)


〜感想〜

『見番<吉原裏同心3>』 で、吉原を牛耳ろうと反旗を翻した大黒屋の陰謀を阻止して、次の将軍の後見になる人物とも繋ぎをつけてホッと一息ついている四郎兵衛会所でしたが、一難去ってまた一難

吉原面番所に新しい同心の山崎が配属されてきたのだけど、この山崎、何故か最初から会所を目の敵にして、頭ごなしに閉所を命じます。 とりあえず従うものの、四郎兵衛がこのまま黙っているわけもありません。 幹次郎と会所の若い衆に命じて、山崎がどんな人物なのか?
何が目的なのか? 背景を探ることになります。
そうして調べるうちに、山崎が実はとんでもない人物だということがわかってきて……。

会所が閉鎖されたことによって、スリが増え吉原の治安は悪化。
同心の山崎の目を盗みながら、幹次郎と会所の面々は取締りをしつつ山崎を排除するための手段を探っていきます。

同心の山崎はなかなかの遣い手。
幹次郎との対決の時には、ちょっとハラハラしました(笑)

将軍が逝去してから吉原に生じたアレやコレやの騒動は、どうやらまだしばらくは続きそうな気配です

次は 『初花<吉原裏同心5>』 です。


 
| 時代 | 20:14 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
見番(けんばん)<吉原裏同心3>/佐伯 泰英
佐伯 泰英
光文社
¥ 560
(2004-01)
Amazonランキング: 58114位

JUGEMテーマ:読書

★★★★☆(4.5/5)

あらすじ

天明六年、将軍家治の逝去で老中・田沼意次が失脚、吉原遊廓も営業停止となった。
そんな折、廓内で立て続けに二人の女が殺された。
会所の頭領・四郎兵衛の命を受けた用心棒・神守幹次郎は、残された手掛かりから犯人を突き止め、成敗する。
一件落着かに見えた事件だが、背後に吉原を巡る大陰謀が…。(紹介文より)


〜感想〜

『足抜<吉原裏同心2>』 に続く3作目です

将軍の逝去で、吉原はしばらくの間、営業停止になってしまいます。
少しでも早く営業を再開したいと願う吉原の面々なのだけど、今まで後ろ盾となっていた老中田沼意次の失脚で、どうやら風向きが変わり始めたようで……。

反田沼派が力を増して、吉原への風当たりが強くなってしまいます。
吉原は次の ”田沼” を探さなければいけないのだけど、この人選を誤れば吉原の存在自体が危うくなる事態もあり得ることから、会所の四郎兵衛を始め、吉原を守り立てている名主たちは頭を悩ませることに。

そんな状況の中で、そのうちの一人大黒屋の主はこの機に乗じて自らが吉原を仕切ろうと画策しはじめます。 …… ちゃっかりしてますね

かつてない吉原の危機に、幹次郎は四郎兵衛の命を受けて大黒屋の企みを阻止しようとするのだけど、なかなか手強い相手で手こずらされてます
四郎兵衛もまた、会所の名主としての面子をかけて大黒屋と渡り合うことになるんですが、それはあくまでも表には見えない水面下でのこと。

狐と狸の化かしあい

なんて言葉がありますが、なかなかどうして四郎兵衛の強かぶりは大したものでした 普段は落ち着いた振る舞いで穏やかな印象ですが結構、荒事もいけるようです(笑) ちょっと新鮮でした

大黒屋にとっては自分が吉原を牛耳るためには、そんな四郎兵衛は必ず排除しなければならない存在です。そこで、四郎兵衛に刺客を放つのだけど、危機一髪そのことに気づいた幹次郎の働きで、四郎兵衛の暗殺は阻止されます。

幹次郎も手強い相手と思った敵は、なんと今度は汀女を誘拐するという卑怯な手段に出てきます。
 幹次郎にとって、汀女は未だに愛しい恋女房。 普段はおっとりとした雰囲気の幹次郎が怒り心頭に達した姿は新鮮でしたが、同時に怖かったです(笑) 

それにしても、最後のほうでは汀女がどうなるのか気になって生きた心地がしませんでした
幹次郎と汀女。
このまま二人で末永く活躍してほしいものです

次は 『清掻<吉原裏同心4>』 です。


 
| 時代 | 18:18 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
足抜(あしぬき)<吉原裏同心2>/佐伯 泰英
佐伯 泰英
光文社
¥ 600
(2003-09)
Amazonランキング: 4400位

JUGEMテーマ:読書

★★★★(4/5)

あらすじ

吉原から二人の遊女が失踪、さらに花魁道中の直前、当代きっての人気太夫が忽然と姿を消した。
遊女三千人の頂点に立つ太夫を足抜!?廓の用心棒・神守幹次郎は、探索中、遊女一人の所在を突き止める。
だが黒幕の口封じに合い、遊女と家族は鏖殺にされた。
やがて失踪のからくりを解明した幹次郎は、私欲に溺れる悪党たちに迫るが…。(紹介文より)


〜感想〜

『流離<吉原裏同心1>』 で、9年に及ぶ逃亡生活も終りをつげ、吉原の治安を守る 四郎兵衛会所に拾われた幹次郎と汀女の二人はすっかり吉原に落ち着き、裏同心としての務めを果たしながら幸せな毎日を送れるようになっています。

四郎兵衛会所の七代目名主、四郎兵衛も幹次郎と汀女の誠実な人柄に信頼をよせ、頼りにするように そんなある日、人気太夫が姿を忽然と姿を消す 事件が発生。
幹次郎は四郎兵衛会所の男衆と真相を調べるよう四郎兵衛から命じられるのだけど……。

吉原 で生きる女郎たちの切なさが伝わってくる事件でした

今回は、吉原の女郎三千人の頂点にたつ花魁、薄墨太夫が幹次郎に色々な情報を明かしてくれるのだけど、この薄墨太夫はどうやら幹次郎に惹かれているようで……。
初な幹次郎が、いつ篭絡されるかと気が気じゃありませんでした(笑)

次は 『見番<吉原裏同心3>』 です。

 
| 時代 | 17:40 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
流離(りゅうり)<吉原裏同心1>/佐伯 泰英
佐伯 泰英
光文社
¥ 560
(2003-03-12)
Amazonランキング: 109855位

JUGEMテーマ:読書

★★★★(4/5)

あらすじ

安永五年、豊後岡藩の馬廻役神守幹次郎は、納戸頭の妻汀女と逐電した。
幼馴染みの二人は追っ手を避け、当てのない流浪の旅を続ける。
やがて江戸に出た幹次郎は、吉原遊廓・四郎兵衛会所の名主に剣の腕を買われ、用心棒となった。
ある日、彼は遊女が読んだ俳句から吉原炎上を企む無頼集団を突き止める。
その裏には、心中事件に纏わる悲劇が!?(紹介文より)

〜感想〜

18歳の神守幹次郎は、幼馴染の3歳年上の汀女への思いを抑えられず手に手をとって逐電するのだけど、当然、汀女の夫が黙っているはずもなく ”妻仇討ち”(めがたきうち)の許可をもらって幹次郎たちを追ってきます。

もともと、汀女は父親の借金の形に納戸頭の妻になったという経緯から、使用人たちからは同情されていました。そのおかげもあって、見つかっても見逃してくれたり、逃げるように助言してくれたり、と数年の間は捕まることなく逃げ続けることができました。
ところが、とうとうある日見つかってしまい……。

ひょんな成り行きで吉原の四郎兵衛会所の名主も巻き込むことに。
吉原の遊女を幹次郎と汀女の追手の一人が斬り殺してしまい、そのことが原因で吉原を敵に回します。 幹次郎たちにとっては思いがけない幸運で、追手たちは四郎兵衛会所によって逆に追いつめられる羽目に

追われる毎日から解放された幹次郎と汀女は江戸で暮らし始めるのだけど、生計をたてるのは一苦労 とうとう、米も油も味噌もなくなってしまって、幹次郎は途方にくれてしまいます。 すると、思いがけず仕事があると声をかけられます。
でも、その仕事というのは ”道場破り” 
「江戸にはそんな仕事が?」 と驚く幹次郎なのだけど、このさい贅沢は言ってられません。 その場で引き受けて、依頼主と共に道場へと向かって役目を果たします。

その数日後、吉原の四郎兵衛会所の七代目名主から、実は自分が頼んだ仕事だったと打ち明けられます。 その目的は幹次郎の剣術の腕前を知ることで、幹次郎に吉原の ”裏同心” として働いてもらいたいと言い出します 
もちろん吉原にはちゃんと、南町奉行所の同心がいるのだけど、この同心は吉原からの礼金やもてなしだけを受けて、いざ事件が起きても 「会所でやれ」 と全然やる気なし。
そんな彼らに愛想をつかして、それならば、ということで今回の幹次郎へ申し出た ”裏同心” という役目を思いついたらしい。

さらに四郎兵衛は、汀女には吉原の女郎たちへの手習いを教えてもらい、女郎達の悩みなどを聞いてもし、事件に発展しそうな気配があった場合には、事前に阻止するために会所へ教えてほしい、と頼みます。 思いがけない申し出に戸惑う幹次郎と汀女だったのだけど、ありがたくこの仕事を引き受けることにします。

そうして、幹次郎(と汀女)の ”吉原裏同心” としての暮らしが始まります。

この幹次郎、とにかく姉さま女房の汀女に惚れぬいてます
18歳の時から汀女一筋なので、 花の吉原 で働くことになっても、遊女に誘惑されることもなく真面目に役目を果たしてます
そんな幹次郎の初さに遊女たちはぐっとくる(笑)わけなのだけど、やっぱり幹次郎は汀女しか眼中にありません。 そんなところが、読んでいるほうとしても微笑ましくて好印象でした
それに剣術の腕前も一流なので、その強さには惚れ惚れします

何はともあれ、思いがけず吉原に拾われるかたちになった幹次郎と汀女の夫婦。 吉原 という特殊な場所で起きる様々な事件をとおして描かれる人間模様に、泣きたくなったり、温かい気持ちになったり、と結構色んな感情を呼び起こされました。
それもこれも、幹次郎と汀女の人柄によるところが大きかったように思います。
これから先の二人の活躍が楽しみです

次は 『足抜<吉原裏同心2>』 です。

| 時代 | 22:40 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
同心 亀無剣之介(3)<恨み猫>/風野 真知雄
JUGEMテーマ:読書

★★★★(4/5)

あらすじ

「ちぢれすっぽん」と呼ばれ、同僚の武士どころか市井の町民、はては悪党にすら侮られている、北野奉行所の名物同心・亀無剣之介。
だが、しょぼくれた顔と冴えない言動の裏には、難事件を解き明かす鋭い頭脳と、鳳夢想流免許皆伝の剣術を隠し持っていた。
殺しの下手人に対してさえ、したてに出る剣之介であったが、おどおどと、しかししつこく質問を繰り返すうちに、下手人は亀無の中に潜む高い知性と、悪を見逃さぬ執念に気づき、そして恐怖する…。
猛暑の江戸で、お千代は、幼なじみを殺してしまう。
殺しの嫌疑から逃れたかに思えたお千代の前に、風采のあがらぬ同心・亀無剣之介が現れた。
同心と下手人の息づまる攻防が、ここにはじまる。(紹介文より)

〜感想〜

『同心亀無剣之介 消えた女』 に続く3作目です

「ちぢれすっぽん」 のあだ名のとおり、しつこく食らいつく剣之介の調べ方は相変わらずですが、下手人を捕まえるための決め手に欠けるときもでてきます。
そんな時は、周到に下手人に罠をかけて自白を引き出しますのだけど、そのやり方に感心させられました

そして、今回も松田重蔵の”迷”推理は絶好調(笑)

殺された男と、下手人と思しき男。
動機は一体なんだろう? と疑問を投げかける剣之介に 「簡単だ。二人は双子の兄弟だったのだ
」 と言い切ったり……共通点は同じ年 ということだけ(笑)。

胸を刺された男は、どんな凶器を使われたのか?
凶器が消えたと悩む剣之介に 
「消える凶器といえば決まっているではないか。 烏(からす)だよ」
…… 烏のとがったくちばしが凶器だと言い切るおおらかさ(笑)が素敵でした

そんな”迷”推理を聞かされる剣之介は気の毒でしたけど(笑)

今回、志保がとうとう離縁をすることになりました。
でも、旦那が離縁を承知するにあたって一つの条件をだされてしまいます。 それは剣之介とは再婚しないこと どうやら同じ同心同志ということもあって、こだわりがあるようです
でも、いつかは二人が一緒になれればいいな〜。

とりあえず、本作が最後ですがシリーズ自体が終わっているかどうかははっきりわかりません。 新作がでたらその時はまた読みたいと思っています

<追記>(H22年8月2日)

4作目がでました♪ 『同心 亀無剣之介(4)<きつね火>』 です


| 時代 | 21:27 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
同心 亀無剣之介(2)<消えた女>/風野 真知雄
風野 真知雄
コスミック出版
¥ 620
(2007-01)
Amazonランキング: 203700位

 
★★★☆(3.5/5)

あらすじ

ちぢれ毛の髷に、冴えない風貌―北町奉行所同心・亀無剣之介は、陰でちぢれすっぽんとあだ名され、奉行所内だけでなく、市井の町民にも侮られていた。
しかし、しょぼくれた見かけの裏には、難事件を解き明かす明晰な頭脳と、下手人をとことん追いつめる執念、そして奉行所内でも一、二を争う剣の腕前を隠し持っていた。
年明けも近い晩冬の江戸―。
禅寺の崩れかけた鐘撞き堂で、大店の女主人が、鐘の下敷きになって亡くなった。
女の死に不可解な疑問を抱いた剣之介は、寺の住職・雪元を疑う。
しかし、雪元は、女が死んだときに別の場所にいたという、確かな証言があった…。
下手人を追いつめる剣之介の秘策とは!?(紹介文より)

〜感想〜

『同心亀無剣之介 わかれの花』 に続く2作目です

今回も剣之介の冴えない風貌に油断した下手人たちがバタバタ捕まってます(笑)
とはいえ、剣之介自身は決して自分の風貌を利用しているわけではなく、大真面目に取調べをしてるんですけどね

そんな仕事とは別に剣之介には私生活でちょっと気になることがあります。
それは隣家に幼馴染の志保が婚家から戻ってきていること。 どうやら、嫁ぎ先で上手くいってないようで……。

剣之介と志保はお互いに憎からず思っていたようなのに、何故かそれぞれ別の相手と結婚。 剣之介の妻はすでに病死していて一人娘と婆やの3人暮らし。
そんな状況なので、志保が近くにいるとつい気になってしまって……。

この二人が一緒にいると自然でいい感じなので、そのうちどうにかならないかな、とちょっと期待してます。 志保の旦那さんは悪い人ではないのだけど、志保の ”変わったところ” を受け入れられるほど器が大きくないみたいで、剣之介のほうをつい応援してしまいます

さて、そしてもう一人の変わり者。
松田重蔵ですが、今回も”迷”推理を披露してくれてます
必ず、剣之介を呼びだして得意げに話す姿は何だかちょっと可愛いです(笑) たまに剣之介が疑問を投げかけると、「それはお前がつめとけ」(笑) っていういい加減さも逆にご愛嬌ってとこでした

次は 『同心亀無剣之介 恨み猫』 です


| - | 15:13 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
同心 亀無剣之介(1)<わかれの花>/風野 真知雄
風野 真知雄
コスミック出版
¥ 620
(2006-08)
Amazonランキング: 94912位

JUGEMテーマ:読書


★★★☆(3.5/5)

あらすじ

風采があがらず、しょぼくれて冴えない侍―亀無剣之介は、毛羽だったちぢれ毛の髷と、名前の一文字から、「ちぢれすっぽん」 と呼ばれる北町奉行所の名物同心。
その風貌と、おどおどした言動は、奉行所のみならず、町民のあいだでも馬鹿にされているが、実は頭脳明晰であり、剣は鳳夢想流免許皆伝の腕前。
見かけからは思いもよらない、切れ者同心であった。
ある日、沢木屋の女主人・おさよは、やむをえぬ事情から、能登屋の弦蔵を殺してしまう。
考え抜かれた殺しの計画は完璧で、おさよは、奉行所の探索の手からうまく逃れたかにみえたが…。
殺しの下手人にしつこく喰らいつく、剣之介の追及がはじまる。(紹介文より)

〜感想〜 

ちぢれっ毛におどおどした言動。
見るからに、冴えない風貌の亀無剣之介なのだけど、実は一度くらいついたら離さない、すっぽんのような粘り強さと頭脳明晰な推理で下手人を捕らえていきます。

下手人たちは例外なく冴えない風貌の剣之介を侮るのだけど、一度怪しいと思ったら自分が納得するまで諦めない粘り強い取調べに、最後には根を上げてしまいます。

ただ、実際の性格は確かに気弱 
下手人がわかってもそれぞれにやむを得ない事情があったり、同情する余地があったり、という時もあるんですが、そんな時は本当に嫌そうで……。それでも結局は下手人を捕まえる筋の通った様子と気弱な性格とのギャップがちょっと面白いです

しかも、剣の腕前もなかなかのもの。
たち回りする場面はそれほどないんですが、たまにある時はやはりカッコよかったです
そんな剣之介の味のあるキャラクターと、もう一つの読みどころは幼馴染の松田重蔵の ”迷” 推理 幼い頃は剣之介、重蔵、重蔵の妹の志保 といつも3人で遊んでいた仲だったのだけど、今では重蔵は剣之介の上司になっています。

その重蔵はかなりの男前で、町を歩けば娘たちが振り返り騒ぐほど。
ところが、みかけとは裏腹に中身は物凄く ”変わった男” でもあります。 
そして、松田は剣之介が事件の調べを受け持つたびに呼び出して、自分の推理を聞かせるのだけど、その推理がまたなんとも独創的。
その”迷”推理を聞くたびに 目眩がしたり、胸が苦しくなったりする剣之介が可笑しかったです

次はどんな”迷”推理を披露してくれるのか、剣之介の活躍よりも楽しみかもしれません(笑)
次は 『同心 亀無剣之介(2)<消えた女>』 です。

| 時代 | 10:16 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
流転の果て<勘定吟味役異聞8>/上田 秀人
上田 秀人
光文社
¥ 650
(2009-01-08)
Amazonランキング: 125205位

JUGEMテーマ:読書

★★★☆(3.5/5)

あらすじ

柳沢吉保の遺言を果たすべく、徒目付永渕啓輔は徳川吉宗の命を狙って紀州城下に潜入。
一方、江戸では幼い将軍家継暗殺に、豪商紀伊国屋文左衛門が放った刺客と警固の伊賀組が死闘を展開する。
その大奥で中臈を吟味していた水城聡四郎は、渦中に身を挺し、将軍の危険を救う。
次の将軍の座は誰に!?(紹介文より)

〜感想〜

前作 『遺恨の譜<勘定吟味役異聞7>』 で大奥の調査を命じられた総四郎だったのだけど、陰では柳沢吉保がたてた将軍家継の暗殺計画が着々と進行中

さらには、参勤交代で紀州に戻った吉宗にも暗殺者の手が伸びていて……。
柳沢吉保はすでに、力尽きて亡くなったのだけど彼の立てた周到な計画には感心させられました

そんな状況の中、何も知らない総四郎が大奥へと調査のために入り込むことになるのだけど、そのことが気に入らない誰かが調査を邪魔しようと裏で手を回し、それまで総四郎を無視してきた勘定吟味役の上司から突然大量の仕事が回されるようになります。
普段の仕事で手一杯になってしまった総四郎はなかなか大奥の調査の下準備ができなくて……。

ちょっと姑息な手段のような気もしますが、効果はあるものですね

オマケに吉宗と総四郎がつながりを持ったことに危機感を覚えた新井白石はあろうことか、総四郎の許婚の紅を排除しようと刺客を差し向けます 幸いにも吉宗の配下の活躍で事なきを得ましたが……今まで自分の部下として働いていた総四郎にこんな仕打ちをする白石には呆れるばかりでした。 権力って人を変えてしまうものなんですね

そんな白石にバチがあたったのか、総四郎と吉宗の繋がりがあっという間に噂で広まり、今までの鼻つまみ者から、一転人気者に 無理もないですね、吉宗の猶子(子供のようなもの)の紅が総四郎の嫁になるということは、総四郎が吉宗の義理の息子になるということでもあるわけで……。
総四郎自身も周囲に騒がれて初めてそのことに思い至ります。
…… こういうところが可愛いんですよね(笑)

なにはともあれ、意外な成り行きのおかげで滞っていた大奥への立ち入りが早まることになります。 そうして大奥へと調べにむかった総四郎だったのだけど、これまた凄いタイミングで将軍家継の暗殺現場 に居合わせることに。
身を挺して幼い将軍を守った総四郎だったのだけど、自らも怪我を負ってしまい……。

この総四郎の活躍によって、綱吉の血筋の吉里を将軍にするという計画は費えることになります。 そして、最後に残ったのは紀州徳川吉宗。
正直、本シリーズの吉宗像はあまり好きじゃないんですが、まあ、文句を言っても仕方ありません。 総四郎にとっては悪い人ではないようなので、とりあえずよしとしておきます(笑)
昔のTV時代劇の松平健が演じていた徳川吉宗は好きなんですけど 

なにはともあれすべての騒動に決着がつき、残ったのは総四郎と紅の祝言を挙げるのみ。
もちろん、他にも色々片付けなければならないことはあるんですが、総四郎の活躍はこれで最後になります。
無事に紅との祝言を挙げた総四郎はこっそり出席した吉宗からしばらく役目から離れるように言われます。 勘定吟味役 以上 の仕事をした総四郎はどうやら吉宗にとっても危ない存在のようで……。

そして2年後。
幼い七代将軍家継が病にて死去。

八代将軍吉宗が誕生します。

「さて、二年遊ばせてやったのだ。 働いてもらうぞ、我が婿」 (本文より)

…… 可哀相な総四郎。
一体、どれだけこき使われるんでしょう? 
この後の総四郎の活躍も読んでみたかったですが、残念ながら本シリーズはこれで完結です。
もっとも総四郎のことだから、どんな役目にも生真面目に一生懸命取り組んでいくと思いますが 


| 時代 | 09:01 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
遺恨の譜<勘定吟味役異聞7>/上田 秀人
上田 秀人
光文社
¥ 650
(2008-07-10)
Amazonランキング: 97906位

JUGEMテーマ:読書
★★★☆(3.5/5)


あらすじ

将軍家宣の寵臣だった間部詮房と新井白石が謀議?情報を得た豪商紀伊国屋文左衛門が、米相場の暴落を策す。
水城聡四郎と家士の大宮玄馬は、白石の命で探索中、忍や僧侶たちに襲撃される。
豪商が放つ暗殺集団か?死期の迫った柳沢吉保の最後の野望に肩入れする紀伊国屋が、大奥に送り込んだ刺客とは!?(紹介文より)

〜感想〜

前作 『暁光の断<勘定吟味役異聞6>』 で吉宗の暗殺を阻止した総四郎は褒美として許婚の相模屋の一人娘紅(あかね)を吉宗の猶士とすることを約束されたのだけど、実はこれって紅を人質に取られたのと同じこと。

紅のためなら相模屋は吉宗のいう事は何でも聞かざるを得ないだろうし、総四郎も手も足もでません。 悩む総四郎たちは、何とか紅を守ろうと一計を案じます。 それは吉宗に媒酌を頼むこと。 そうすれば吉宗自身の器量を図られることになり、よもや断りはしないだろう、という総四郎の読みで、紅が利用されないうちに、と総四郎は早速吉宗のもとへと向かうのだけど……。
間の悪い事に参勤交代で吉宗は紀州へ戻ったあと。
やむを得ず、側近の川村に告げるのだけど、鼻で笑われてしまい……。

ヤナ奴です  
でもとりあえず、これで紅のことは一安心。

そんなふうに総四郎が紅のことに気を取られている間にも柳沢吉保の陰謀は着々と準備を整えていて……。 とうとう最後の段階へと進んでいました。
それは現将軍の家継の暗殺
紀伊国屋の手のものが大奥へと入り込み、あとは実行を待つばかりに。

そんなこととは知らない総四郎でしたが、タイミングのいいことに新井白石から勘定吟味役として大奥を調べるよう命令が下されます。 果たして総四郎が大奥でどんな事態に遭遇するのか?

それは次の最終巻 『流転の果て<勘定吟味役異聞8>』 で。



| 時代 | 20:16 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
暁光の断<勘定吟味役異聞6>/上田 秀人
上田 秀人
光文社
¥ 620
(2008-01-10)
Amazonランキング: 88203位

JUGEMテーマ:読書

★★★☆(3.5/5)

あらすじ

新春早々、水城聡四郎は、新井白石から大奥年寄絵島の起こした騒動について調べよと命ぜられた。
幕府最大の懸案は、七代将軍家継の後継者を誰にするか。
政敵同士が暗躍し、大奥での対立には豪商紀伊国屋文左衛門の影が?
尾張藩騒動後、次期将軍継承者は紀州家当主・徳川吉宗か、それとも…。
巨万の富を誇る豪商が狙う標的とは!?(紹介文より)

〜感想〜

『地の業火<勘定吟味役異聞5>』 で尾張徳川吉通の暗殺の真相を知った総四郎でしたが、それらの出来事を陰で操っていた柳沢吉保が本当の目的のためにいよいよ行動を移すことになります。

すべてはかつて仕えていた将軍綱吉の唯一の血筋である吉里を次代将軍の座につけるため 自らの身が病で持たないことを自覚した柳沢は最後の詰めに取り掛かるのだけど、邪魔者はまだ5歳の現将軍家継と、次代将軍になる資格のある紀州徳川吉宗の二人。

とはいえ、吉宗もなかなかのクセモノであっさり将軍の座を諦めるほど可愛げのある人物ではありません。 この吉宗と柳沢の表面には現れない陰謀合戦(笑)が怖かったです 

総四郎もまた、柳沢吉保の存在に気づきました。
あまりにも強大な相手にどうすればいいのか? わからないまま、それでもとにかく自分にできることをやるしかない、と、相変わらずの生真面目な様子。
やっぱり、どんな時でも総四郎は総四郎なんだな、と、微笑ましく思いました

そんなふうに思うのは私だけではないらしく、吉宗にも気に入られ総四郎は何かと吉宗と関わっていくことになります。 「案外鈍いな」(笑) とか、面と向かって言われたりもしてるのだけど、どうやら吉宗は総四郎を自分の配下として取り込むことが目的のようで……。

ただ、吉宗の側近の川村は何故そこまで総四郎にこだわるのかがどうしてもわからない。 そこで、総四郎の腕を試そうとするのだけど……やっぱり、わからないまま(笑) 結局、川村と総四郎は気が合わないままでした

吉宗と柳沢の次代将軍の地位を巡っての水面下での争いは、吉宗の暗殺へと発展していきます。 手配をするのはやっぱりこの人、紀伊国屋文左衛門。
すでに、柳沢は余命わずか。
最後のご奉公と、柳沢の最後の願いをかなえる紀伊国屋なのだけど、何故かそのことを総四郎にさりげなく伝えます。

もちろん、それを聞いた総四郎が黙って見ているはずもなく、吉宗を助けに行きます。 最新式の銃で狙われた吉宗を救った総四郎は感謝の証として、相模屋の一人娘紅(あかね)を吉宗の猶子(ゆうし…子供のようなもの)として、総四郎と結婚させてやろうと言い出します。
もともと紅との結婚は決まっていたのだけど、やはりひっかかっていたのは身分の差。
吉宗の申し出のおかげで、それもなくなりスムーズに結婚できることになるのはよかったのだけど、吉宗の場合素直に受けとめられないのが複雑です(笑 

とはいえ、ひとまず吉宗の身は無事でした。
柳沢吉保との争いは終わっていないけれど、ちょっと一息つけそうです

次は 『遺恨の譜<勘定吟味役異聞7>』 です。

| 時代 | 22:01 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark


↑このページの先頭へ
RECOMMEND
消えちゃったドラゴン 魔法の森2 (創元ブックランド)(パトリシア・C・リーデ) / はみだしちゃった魔女 (魔法の森3) (創元ブックランド)(パトリシア・C・リーデ) / 困っちゃった王子さま (創元ブックランド)(パトリシア・C・リーデ) / ドラゴン・キーパー 最後の宮廷龍(キャロル・ウイルキンソン) / ドラゴンキーパー―紫の幼龍(キャロル ウィルキンソン) / ドラゴンキーパー―月下の翡翠龍(キャロル ウィルキンソン) / ぼくを忘れたスパイ〈上〉 (新潮文庫)(キース トムスン) / ぼくを忘れたスパイ〈下〉 (新潮文庫)(キース トムスン) / 謙信の軍配者(富樫 倫太郎) / びんぼう神様さま(高草 洋子) / シルバータン―ストーンハート〈3〉 (THE STONE HEART TRILOGY 3)(チャーリー フレッチャー) / アイアンハンド―ストーンハート〈2〉 (THE STONE HEART TRILOGY 2)(チャーリー フレッチャー) / ストーンハート (THE STONE HEART TRILOGY 1)(チャーリー・フレッチャー) / 風神秘抄(荻原 規子) / 薄紅天女(荻原 規子) / 白鳥異伝(荻原 規子) / 空色勾玉(荻原 規子) / シャドウ・ファイル/狩る (ハヤカワ文庫NV)(ケイ フーパー) / シャドウ・ファイル/潜む (ハヤカワ文庫NV)(ケイ フーパー) / シャドウ・ファイル 覗く (ハヤカワ文庫NV)(ケイ フーパー) / ファントム〈上〉(スーザン ケイ, Susan kay, 北条 元子) / ファントム〈下〉 (扶桑社ミステリー)(スーザン ケイ) /