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宮西達也
ポプラ社 ¥ 1,260 (2010-09-02)
Amazonランキング:
74559位
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★★★★(4/5)
あらすじ
むかしむかしおおむかし、ティラノサウルスがひろったたまごから、ごひきのアンキロサウルスのあかちゃんがうまれました。
ちいさなあかちゃんたちをみて、ティラノサウルスは…。(紹介文より)
〜感想〜
『であえてほんとうによかった』 に続く9作目です。
ある日、ティラノサウルスは丘の上で5個の卵を見つけます。 早速食べようとすると卵にヒビが入り始めて……。 どんどん割れて5個の卵からはアンキロサウルスの赤ちゃんが生まれてきました。 そうして、ティラノサウルスの姿を見ると……
「ママーッ!」 (笑)
びっくりしたティラノサウルスは 「なんでおれさまが〜〜、おとこなんだから普通はパパだろ!」 と呆れて言うのだけど……そこにツッコミなんだ とちょっと可笑しかったです
すぐに ”パパ” と言い換えた赤ちゃんたちは 「おなかすいたよ」 「あそんで」 「おしっこー」 と大騒ぎ(笑) 何故か、すっかり赤ちゃん達のペースに巻き込まれていちいち律儀に受け答えするティラノサウルスの姿が笑えました
と、そこへゴルゴサウルスが現れて赤ちゃん達をよこせとティラノサウルスに噛み付いてきます。 反撃しようとするティラノサウルスだったのだけど、赤ちゃん達がいるので思うように動けません。 すると子供たちが 「やめろー」 と叫んで ”パパ” を守ろうとゴルゴサウルスに立ち向かっていきます。 でも、歯が立たずなんども地面に叩きつけられてしまいます。 それでも、パパを守るために立ち向かっていく子供たちだったのだけど、とうとうゴルゴサウルスに食べられかけたその時、「ガオー」 とティラノサウルスが子供たちを取り返し、しっぽで ”バッシーン!!” (ステキです 笑)
そうして、ぐったりしている子供たちを優しく抱くとティラノサウルスは自分の巣へ戻ります。子供たちを抱きながら眠り 「早く元気になるんだ」 とティラノサウルスが言うと、子供たちの1匹が 「パパを守るんだ」 と寝言を呟いて……ティラノサウルスの目から涙がこぼれました。
次の日からティラノサウルスはアンキロサウルスの子供たちに名前をつけて、毎日赤い実を食べさせて大切に世話をし始めます。 その姿はまるで本当の父親のようで微笑ましかったです
ところが、5匹の赤ちゃんのうちの1匹が 「ぼくがいちばんパパにあいされてる」 と言い出して……。確かにティラノサウルスの行動は、その赤ちゃんを何をするにも一番にしているようにみえて、他の赤ちゃんたちはヤキモチを焼き始めます。 そうして、言い争ううちに、自慢していた赤ちゃんががけから落ちてしまい……。
その後、1匹赤ちゃんがいないことに気づいたティラノサウルスは他の赤ちゃんたちに問いただして、事態を知る事になるのだけど、ティラノサウルスがしていた行動にはちゃんとした理由がありました。 それはえこひいきというわけではなく、1匹、1匹の好みにあわせてしていただけでした。
それだけ赤ちゃん達のことを見ていてくれた、ということなのだけど、残念なことにそこまで赤ちゃん達がわかるはずがなく、ヤキモチをやいてとんだ事態を招くことに
とにかく、急いでがけから落ちた赤ちゃんを助けにいくティラノサウルスだったのだけど、ゆっくり気をつけながら降りたにも関わらず岩がガラガラと崩れてしまい……。
本作の結末はちょっと判断がつきませんでした。
文章を読むと、ティラノサウルスが助からなかったようにも思えるんですが、一番最後のページの絵を見ると……?。
もちろん、そのほうが嬉しいので多分大丈夫だったのだと思うことにします
これで、本シリーズで出版されているのは最後の巻になります。 どの作品も心温まるステキな作品で読んでいる間は幸せな気持ちになりました
気長に、次の巻を待ちたいと思います♪
宮西達也
ポプラ社 ¥ 1,260 (2009-11-19)
Amazonランキング:
76178位
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★★★★(4/5)
あらすじ
むかし、むかし、おおむかし。
きらわれものの ティラノサウルスが、パクリと スピノサウルスのこどもをたべようとした時、おおきなじしんがグラグラグラ。
きがつくと、ふたりきりになっていました(紹介文より)
〜感想〜
『あいしてくれてありがとう』 に続く8作目です。
スピノサウルスの子供が赤い実をとりにきたその時、ティラノサウルスが現れて襲い掛かろうとするのだけど、そこへ突然地震がおこり地面が二つにわかれて海へと流されてしまいます。
ティラノサウルスとスピノサウルスの子供は赤い実のなる木だけが生えている小さな島の上で二人きりで海を漂う羽目に
「ぼくたちどうなっちゃうの?」 と泣きながらいうスピノサウルスの子供を食べようとするティラノサウルスだったのだけど、スピノサウルスの子供は自分は魚をとるのがとっても上手だからおじさんのために毎日魚をとる、と必死に訴えます。
ためしに魚を取らせてみると、確かに上手く魚を取ってくるのでティラノサウルスはスピノサウルスの子供を食べるのをやめます。 そうして小さな島での2人の生活が始まるのだけど、少しずつお互いのことを話すようになり、スピノサウルスの子供は病気のおかあさんのために赤い実を取りに来ていたことを打ち明けます。 おかあさんを思って泣き出す子供をティラノサウルスは優しく慰めてくれて……。
「ありがとう」
スピノサウルスの言葉にティラノサウルスは、誰かから ”ありがとう” と言われたのは初めてだと気づきます。 次の日ティラノサウルスがスピノサウルスの子供のために赤い実をたくさんとってあげると、「すごい」 と大喜びされ、、そのあとは 「おもしろい」 とも言われて、次から次へと初めてかけられる言葉に不思議な気持ちになります。
そうして美味しそうに赤い実を食べるスピノサウルスの子供の姿を見て、 「こいつのおかあさんにも赤い実を食べさせてやりたい」 と思うように。
その後もタペヤラに襲われそうになった子供を守ったり、おかあさんを思い出して泣いた時は何も言わずにぎゅーっと抱きしめたり、と、最初の頃の 「食べてやる」 といったティラノサウルスはどこへやら……優しく思いやりある態度に温かい気持ちになりました
でも、そんなティラノサウルスの変化もスピノサウルスの子供の素直な言葉があればこそ。 「ありがとう」 「すごい」 「おもしろい」 「かっこいい」 「やさしい」 そんな言葉をかけられるたびにティラノサウルスの心も温かくなっていきました。
そしてティラノサウルスはスピノサウルスに言葉をかけようとするのだけど、その時またすごい地震がおきます
再び陸へと近づいていく島から、ティラノサウルスはスピノサウルスを抱きかかえて飛び移るのだけど、そこでハッと気づきます。 スピノサウルスのお母さんの病気を治すための赤い実の木が島に残ったままだということに。
そうして、ティラノサウルスはもう一度島へと飛び移り、赤い実の木をへし折って陸へとおもいっきり飛ぶのだけど……。
「おまえにであえてよかった」
そう言いながらティラノサウルスは……
いつものことながら、切なくてでも愛しい気持ちの残る結末でした
次は 『いちばんあいされてるのはぼく』 です。
★★★★(4/5)
あらすじ
ひとりぼっちのパウパウサウルスは、さびしくてさびしくて、あなのなかにとじこもっていましたが…。
(紹介文より)
〜感想〜
『わたしはあなたをあいしています』 に続く7作目です。
”人のことなどどうでもいい。 自分さえ楽しければいい” と思っていたティラノサウルスは毎日毎日自分勝手にやりたい放題でした。
ところが、ある静かな夜ティラノサウルスはぽつりと呟きます。
「おれはひとりぼっちだ。 さ、さみしい」 と。
すると…… 「わたしも……」 と思いがけず返事がかえってきて……。
ティラノサウルスが岩穴をのぞきこむと、そこには美味しそうな パウパウサウルスがいて、思わず大きな口を開けてパクリ としようとしたその時 「わたしたち似てるね」 とパウパウサウルスが笑いかけてきます。
どこが似てるんだ!? と唖然とするティラノサウルスだったのだけど、パウパウサウルスは目が見えなくて自分が話している相手がティラノサウルスということには気づいていませんでした。 しかも、「おじちゃんがティラノサウルスだったらよかったのに」 とまで言い出します。
理由を聞くと役立たずの自分なんていないほうがいい、生まれてこなければよかった、と続けるパウパウサウルスにティラノサウルスは 「ばか! 生まれてこなくていいやつなんていないんだ!」 と叫んでパウパウサウルスを抱き上げて怒ります。
そのティラノサウルスの剣幕にたじたじになるパウパウサウルスだったのだけど、自分と一緒にともだちを探しにでかけよう、というおじちゃんに素直に頷きます。
そうして、翌朝2人で友達探しにでかけるのだけど……。
暴れん坊のティラノサウルスを見ると皆が逃げ出します。 今まで自分がしていたことを考えれば無理ないですね
何故かおじちゃんを見ると皆が逃げ出すことに気づいたパウパウサウルスは、 同情しながら自分はいつもおじちゃんの味方だと言って、チュッ! とキスをしてくれます。
もうこれでティラノサウルスはパウパウサウルスにメロメロです(笑) その日から2人はいつも一緒にいることに そんなある日、赤い実を食べると目がよくなると知ったティラノサウルスは毎日赤い実をたくさん採ってくるようになるのだけど、パウパウサウルスが自分を見てティラにサウルスだと知ってしまったら自分から離れてしまう、と不安を抱くようになります。
それでも赤い実を持っていくことをやめないティラノサウルスでしたが、ある日戻ってみるとパウパウサウルスにデイノケルスたちに目が見えるようになったと話していて、デイノケルスたちはそれならがおじちゃんはティラノサウルスだということもわかるだろ、と言っている場面にでくわします。
と、その時突然すごい地震が襲ってきます。
とっさにパウパウサウルスを庇うティラノサウルス。 その上からは岩が次から次へと落ちてきて……。
ティラノサウルスがパウパウサウルスに見せた惜しみない愛情になんとも切ない思いをさせられました。 悲しいけれどでも幸せ……そんなちょっと複雑な気持ちになる結末でした
次は 『であえてほんとうによかった』 です。
宮西 達也
ポプラ社 ¥ 1,260 (2007-06)
Amazonランキング:
99278位
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★★★★(4/5)
あらすじ
むかしむかし、おおむかし。
きょうりゅうたちはせかいじゅうにすんでいました。
はるかとおくまでやってきたティラノサウルスがであったのは、ことばのつうじないさんびきのホマロケファレでした…。(紹介文より)
〜感想〜
『ぼくにもそのあいをください』 に続く6作目です。
世界中に散らばってすんでいた恐竜たちは北と南では話す言葉も違いました。 そんな時代に、食べ物がなくなり弱っていたティラノサウルスはタペヤラから、山のずっと向こうにある緑のもりにはおいしそうなものがいっぱいあると聞かされて、その場所へ連れていってもらうことに。
ところが行けども行けども目的地にはたどり着けず……。
とうとう力尽きて倒れたティラノサウルスにタペヤラが噛み付いてきて タペヤラも同じようにお腹をすかしていて、ティラノサウルスを騙して食べようと企んでいたのです。
力を振り絞ってタペヤラをしっぽで吹っ飛ばしたティラノサウルスは、その時ずっと向こうに緑の森が広がっているのを目にします。
そうして、やっと緑の森についてみると何やら可愛い声が聞こえてきて……。
そこには三匹のホマロケファレがいて赤い実を食べていました。 ティラノサウルスを見ても怖がらず 「ムシャムシャー」 と言いながらニコニコ笑っているホマロケファレをそのままひょいひょい、と口に入れたティラノサウルスだったのだけど……。
ところがホロマケファレは口の中に入れられても 「ムシャムシャー」 と言いながら騒いで嬉しそうに手を叩くしまつ 口の中で騒ぐホロマケファレを飲み込むことができず、ティラノサウルスは苦しいのとお腹がへったのが重なってそのまま倒れてしまいます。
びっくりした三匹は口の中から出てきてティラノサウルスを心配して声をかけるのだけど、言葉が通じず……。その時ティラノサウルスのお腹がぐーっとなり、ホロマケファレたちはすごい勢いでその場から走っていって、それぞれ 魚、貝、赤い実 といった食べ物を運んできます。
そうして、ティラノサウルスに食べさせるのだけど、赤い実を食べようとしないのを見て赤い実をかかえたホロマケファレは悲しそうな顔をします。
それに気がついたティラノサウルスは無理やり「うまい、うまい」 と美味しそうに食べ始めて……。 その姿をみてホロマケファレも 「うまい、うまい」 と大喜び。
なんとも微笑ましい場面に思わず笑顔になりました
言葉は通じないながらも、3匹のホロマケファレの優しさを感じたティラノサウルスは、”ウー” ”マー” ”イー” と名前をつけて仲良く暮らし始めるのだけど、ある日、同じように食べ物をもとめてやってきたアルバートサウルスが、ホロマケファレたちに襲い掛かり……。
言葉が通じるよりも心が通じ合うことのほうが大切だと、苦い思いをして知ることになったティラノサウルスがかわいそうでした
次は 『あいしてくれてありがとう』 です。
★★★★(4/5)
あらすじ
このよのなかはちからがあるものがかち。
ちからのつよいものがいちばんなんだ。
そうしんじていたティラノサウルスでしたが…。(紹介文より)
〜感想〜
『あなたをずっとずっとあいしてる』 に続く5作目です。
この世は力のあるものが一番だと信じているティラノサウルスは、弱いものいじめはもちろん、とにかく自分のやりたい放題の暴れぶり。
いつしか、他の恐竜たちもティラノサウルスと同じように ”力のあるものが一番” と思うようになってしまいます。
そうして月日は流れ、暴君だったティラノサウルスも年をとり以前のような力はなくなりました。 そうすると、以前のようにティラノサウルスを怖がるものもいなくなり、逆に馬鹿にされてからかわれる始末
誰もいないところに行こう、と歩き続けるティラノサウルスだったのだけど、とうとう途中で力尽きて眠りに落ちてしまいます。 朝になると、「おじさん」 と呼びかける声で目が覚めたティラノサウルスは、目のまえにはおいしそうなトリケラトプスの子供が。
すかさず大きな口をあけて食べようとするティラノサウルスだったのだけど、怪我をしたしっぽが痛んで起き上がることができません。
そんなティラノサウルスを見て、トリケラトプスの子供は 「大丈夫?」 と心配しながら怪我をしたしっぽを優しくさすってくれます。 そして 「こんなところで寝ていたら、怖ろしいタルボサウルスに食べられちゃうよ」 と忠告するのだけど、ティラにサウルスにしてみれば一番怖ろしいのは自分だという思いがあります。 そこで、もっと怖ろしいのがいるだろう、とトリケラトプスに自分の名前を言わせようとするのだけど、ちがう恐竜の名前を言い出して……。
そうするうちにトリケラトプスの子供がやっと ”ティラノサウルス” の名前をだしたとき、嬉しさのあまり思わずぎゅーっと抱きしめてしまいます(笑) そしてそのままトリケラトプスの子供を パクリ…… としようとするのだけど、その時 「ぼくの友達にもあって」 と言われて、もっとたくさん食べられることを期待したティラノサウルスはほかのトリケラトプスの子供たちに会いにいくことに。
ところが、いざ他の子供たちに会ってみると皆ティラノサウルスを見たことがなく、恐れ気もなく抱きついて甘えてきます。 しかも、怪我をしているティラノサウルスのことを心配してやさしく傷をなめてくれて、さらには怪我が早く良くなるようにと、赤い実を食べさせるために小さな体で赤い実の木になんどもなんども体当たりをし始めて……。
そんなトリケラトプスの子供たちの姿を見て、ティラノサウルスは 「おれのためになんでそこまでしてくれるんだ……」 と、嬉しくて嬉しくて思わず泣いてしまいます。
トリケラトプスの子供たちの素直な心に癒されたティラノサウルスだったのだけど、トリケラトプスの子供たちは「おじさんみたいに強くなりたい」 といい、”この世では力のあるものが一番だ” とかつてティラノサウルスが言っていた言葉を口にします。
それを聞いたときティラノサウルスは 「違うんだ、この世でほんとうに大切なことは……」 と言いかけるのだけど、そこへギガノトサウルスが現れてトリケラトプスの子供たちを食べようと襲い掛かってきます。 ティラノサウルスは自分の体を楯にして子供たちを守るのだけど……。
”力が一番” と好き勝手に暴れていたティラノサウルスが、最後に気づいた本当に大切なこと。 それは ”愛” でした。 ティラノサウルスに守られたトリケラトプスの子供が成長して、父親になったとき、子供たちに 「なにが一番たいせつなのか」 を語り始めたときにはまたもや
「いいかい、力よりももっともっと強いもの、大切なものがあるんだ。 それは、愛。 おとうさんはこの木を折った本当に強いひとから、その愛をもらったんだ……」(本文より)
我ながら、涙腺が緩みすぎ? と思わないでもないですが、最後はうるうるでした
次は 『わたしはあなたをあいしています』 です。
★★★★(4/5)
あらすじ
こころやさしいマイアサウラのおかあさんは、あるひ、たまごをひとつひろいました。
じぶんのたまごといっしょに、たいせつにそだてていると、うまれてきたのは…。(紹介文より)
前置き
本作のティラノサウルスはアニメ映画 【おまえうまそうだな】 の主人公ハートの元になった作品にあたるのかな、と思います。 今までのところ、『おまえうまそうだな』 『きみはほんとうにステキだね』 そして本作 『あなたをずっとずっとあいしてる』 の3作品の物語が織り込まれていることがわかりました。 これからのシリーズの中にもあるのかもしれない、と思うとちょっと楽しみです
〜感想〜
『きみはほんとうにステキだね』 に続く4作目です。
マイアサウルスのお母さんが見つけて自分の卵と一緒に温めて孵ったのは、なんとティラノサウルスの子供 マイアサウルスのお母さんは、胸を痛めながらも卵を見つけた場所へティラノサウルスの子供を置いていくのだけど、その時子供が 「クー…」 と鳴いて……。
どうしてもそのままおいていくことができなかったお母さんは、子供を連れ帰って自分の子供の兄弟として育てることにします。 マイアサウルスの子供はライト、ティラノサウルスの子供はハートと名づけ、まるで本当の兄弟のように仲良く育ちます。
そうして、おかあさんと同じくらいに成長したハートはいつものように食べ物の赤い実を取りに行くのだけど、そこへ大人のティラノサウルスが現れてハートに飛び掛ろうとします。 てっきりマイアサウルスとかん違いした大人のティラノサウルスは自分と同じティラノサウルスの姿を見てがっかり。
ハートは話に聞いていたティラノサウルスにそっくりだと怯えて、「おじさんは誰?」 と聞くのだけど、ティラノサウルスは 「なにいってんだ おまえとおなじ(ティラノサウルス)じゃないか」 と答えます。
それをきいてハートは 「自分と同じ(マイアサウルス)なんだ」 と安心します
お互いの正体をかん違いしながら、妙に話があっている様子がちょっと面白かったです
でも、そのあとは……ハートが自分がティラノサウルスだということをしってショックをうけて悲しむ姿が気の毒で 大人のティラノサウルスも実はハートと関わりがあることがわかるのだけど、大人のティラノサウルスの悲しむ姿も気の毒でした。
お互いに想いあいながらも、一緒にいることができない切なさに
次は 『ぼくにもそのあいをください』 です。
★★★★(4/5)
あらすじ
むかしむかし、おおむかし。
あばれんぼうでいじわるでずるくてじぶんかってなきょうりゅうがいました ところがある日…(紹介文より)
〜感想〜
『おれはティラノサウルスだ』 に続く3作目です。
ちなみに本作はアニメ映画 【おまえうまそうだな】 に形をかえて織り込まれています。
本作のティラノサウルスは今まで以上に自分勝手で凶暴で嫌われ者。 いつものように、暴れまくりスティラコサウルスたちをわざと怖がらせながら、がけまで追いつめていたその時、がけがガラガラと崩れ始めます。
スティラコサウルスたちは側にあった木に飛び乗って助かるのだけど、ティラノサウルスはそのまま海へと落ちていってしまいます 泳げないティラノサウルスはたすけを求めるのだけど、そのまま海の底へと沈んでいってしまいます。 いままで散々悪いことや意地悪をしてきた自分を助けてくれるものなどいない、と諦めたその時……ティラノサウルスの体が持ち上げられて……。
勢いよく岸に投げ上げられたティラノサウルスはしばらく気を失うのだけど、ふと自分の背中を誰かがぺろぺろとなめていることに気づきます。 その誰かはティラノサウルスを助けてくれたエラスモサウルスでした。
「どうして助けてくれたんだ?」 と問いかけるティラノサウルスに 「だって、きみ、誰か助けてっていったろ」 そうあっさり答えてほほ笑むエラスモサウルス。
その笑顔をみてティラノサウルスは不思議な気持ちになります。
「ありがとう」
生まれた始めて”ありがとう”といったティラノサウルスの心の中にぽっと温かいものが生まれて……。
そうして、暴れん坊で嫌われ者だったティラノサウルスと優しいエラモサウルスの友情が始まるのだけど、ティラノサウルスは自分の本当の正体を打ち明けることができず、嘘をついてしまいます。
それでも、ティラノサウルスとエラモサウルスは毎日あって、友情を深めていきます。 ティラノサウルスはエラモサウルスといつまでも一緒にいたい、と思うようになります。
ところがある日、エラモサウルスが姿を現さず心配になったティラノサウルスが海を見ていると、傷ついたエラモサウルスの姿が目に入り……。
思いがけない成り行きに、もらい泣きしてしまいました。
最後のほうでのエラモサウルスの言葉に涙
胸に染み入る結末でした
次は 『あなたをずっとずっとあいしてる』 です。
★★★☆(3.5/5)
あらすじ
むかしむかしおおむかし、まだじょうずにとぶことのできないプテラノドンのこがいました。
そこへ、おそろしいティラノサウルスがあらわれて…。(紹介文より)
〜感想〜
『おまえうまそうだな』 に続く2作目です♪
シリーズを通して同じティラノサウルスが主人公なのかな、と思ってたんですが、どうやら別のティラノサウルスがそれぞれの作品の主人公のようです。
本作のティラノサウルスを癒すことになるのはプテラノドンの子供です。
プテラノドンの両親に大切に育てられた子供プテラノドンでしたが、ひとり立ちの時期がきてある日突然ひとりで取り残されることになります。
まだ飛ぶことができない子供プテラノドンは、泣きつかれて眠ってしまうのだけど、そこへティラノサウルスが現れて食べようとします。 ところが、その時地震がおきてティラノサウルスは岩山の天辺から転げ落ちてしまいます
そして、落ちたティラノサウルスは 「う……」 と苦しそうにうなったきりまったく動かなくなります。 その様子を見ていた子供プテラノドンは父親からティラノサウルスの恐ろしさを聞かされていたので、「どうしよう……」 と迷うのだけど、母親からの 「どんな人でも、困っていたら助けてあげるのよ」 と言われたことを思い出し、ティラノサウルスの体の上に乗っかっている岩を一つ一つどかし始めます。
そうしてすっかり岩をどけた子供プテラノドンだったのだけど、ティラノサウルスの怪我はひどくて目まで見えなくなってしまったようで……。
「そこにいるのは誰だ?」 と問いかけるティラノサウルスに思わず
「おれは、ティラノサウルスだ」 と答える子供プテラノドン。
「それにしても声が可愛くて小さいな」 と不審がるティラノサウルスにこれ以上疑われないようにと、必死になって大声で答えるプテラノドン。
その子供プテラノドンの姿が、けな気でとても可愛かったです
それからも、動けないティラノサウルスのために食べ物をとってきたり、雨がふればぬれないように葉っぱをかけてあげたり、と一生懸命看病を続けるプテラノドンの優しさに思わずうるうる
そんな日が続いていたある日、いつものように食べ物を集めて戻ってきたプテラノドンの目に、魚を口にくわえて歩いているティラノサウルスの姿が飛び込んできます。
動けるようになったティラノサウルスの姿に怯えたプテラノドンは、おとうさんに教わった飛び方を思い出して、思い切って翼を広げ……。
「ぼくがほんとうのティラノサウルスだったらなかよしになれたかもしれないな……」 と、寂しさを感じながらプテラノドンはその場をさっていきます。
そして、残されたティラノサウルスは……。
「おまえがプテラノドンだっていうことは最初からわかっていたさ……せっかくおまえの大好きな魚をとってきたのに」
ティラノサウルスにはちゃんとプテラノドンの子供の優しさが伝わっていたのです。 寂しそうに涙ぐむティラノサウルスの姿が切なかったです
次は 『きみはほんとうにステキだね』 です。
★★★☆(3.5/5)
あらすじ
アンキロサウルスのあかちゃんのまえに、ティラノサウルスがあらわれて、「ガオー! おまえうまそうだな」とちかづいていくと - - - (紹介文より)
前置き
アニメ映画の 【おまえうまそうだな】 が面白かったので、原作も読んでみたくなりました。 ティラノサウルスのハートとアンキロサウルスの”うまそう”とのほのぼのした心温まるお話にすっかり魅了されてしまいました。 とりあえず、出版されているだけのシリーズを読んでいこうと思っています♪
〜感想〜
むかし、むかし、おおむかし。
火山が噴火して地震でぐらぐらする中、アンキロサウルスの赤ちゃんが生まれるのだけど、そばには誰もいなくてひとりぼっちでさまようことになります。
その時、ティラノサウルスが現れて 「おまえうまそうだな」 と食べようとするのだけど、アンキロサウルスの赤ちゃんはその言葉を聞いて 「おとうさーん!」 と叫んでとびつきます。
驚くティラノサウルスに 「ぼくのなまえを知っているんだからおとうさんだよね」 と安心して甘えるアンキロサウルスの赤ちゃん。
すっかり調子を狂わされたティラノサウルスに無邪気に 「ぼく、はやくおとうさんみたいになりたい」 とまで言い出します。
ますます戸惑うティラノサウルスだったのだけど、そこへ同じ肉食恐竜のキランタイサウルスがうまそうを食べようと現れて……。
とっさに自分の体でうまそうをかばうティラノサウルス。 そうして、しっぽで ”ばっしーん!!” とキランタイサウルスを吹っ飛ばして(笑)やっつけてしまいます。
ティラノサウルスはそのままうまそうを育てることに
体当たりの仕方や、吠え方、しっぽの使い方、と色々なことを教えるティラノサウルスだったのだけど、そのたびにうまそうは 「はやく、おとうさんみたいになりたいなあ」 と口にします。
でも、そんなことはあり得ないとわかっているティラノサウルスは、とうとうある日うまそうに別れを告げるのだけど……。
アンキロサウルスの赤ちゃんが無邪気にティラノサウルスを慕う様子がとってもほほ笑ましかったです。 そんなアンキロサウルスの態度に戸惑うティラノサウルスの姿は可笑しいと同時に、なんだかちょっと切なかったです。
最後にティラノサウルスがうまそうのためにした行動に感心しながらも、彼の気持ちを思うと悲しくなりました ちょっとほろ苦い結末でしたが、優しい温かい気持ちになる作品でした。
次は 『おれはティラノサウルスだ』 です。
ジョン・スコルジー
早川書房 ¥ 987 (2010-09-25)
Amazonランキング:
31663位
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★★★★(4/5)
あらすじ
波瀾にみちた幼年時代を送った少女ゾーイは、コロニー防衛軍を退役したジョンとゴースト部隊出身のジェーンの養女となり、植民惑星ハックルベリーで幸せな日々を送っていた。
やがて両親とともに新たな植民惑星をめざすが、宇宙船は目的の星に到着しなかった。
しかも、ゾーイたちは思いもよらない陰謀にまきこまれていく…(紹介文より)
〜感想〜
『最後の聖戦<老人と宇宙3>』 に続く4作目です。
人類を裏切り、異星人と手をくんでコロニー防衛軍を滅ぼそうとした科学者の父を持つ娘ゾーイは、その父親の陰謀を阻止したゴースト部隊出身のジェーンと、コロニー防衛軍の軍人だったジョン夫婦の養女となりました。
そもそもゾーイの父親がそんな行動に出たのはゾーイが防衛軍に見捨てられ殺されたと思ったからだったのだけど、その父親は防衛軍と戦争をする報酬としてエイリアンのオービン種族に ”意識” を与えるという偉業を成し遂げました。 そのことによって、ゾーイはその種族のエイリアンから ”女神” として崇められ愛される存在になります。そうして、ゾーイの側にはつねに2人のオービン族が護衛としてつき、一緒に暮らすことに。
そんなふうに特異な立場におかれることになったゾーイが、どんなふうに成長してきたのか? 『最後の聖戦<老人と宇宙3>』 で、くり広げられた戦いの中で果たした役割はどういうものだったのか?
そういったことが本作では描かれています。
ゾーイの視点から語られていることで、今までのストーリーに深みが増したように思います。
それに、なんといってもゾーイの感受性豊かな語りには思わず感情移入させられます。 特にエンゾとの悲恋には号泣
前作ではゾーイが危機を乗り切るための手段を唐突に持ち帰ったように思えましたが、本作を読む事で ”こういうことだったのか” と納得することができました。
そして、その大役を果たすようになるまでに彼女なりの苦しみと悲しみを乗り越えてきたことも。
ゾーイの強さと優しさと勇気に感動させられる作品でした