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さまよう人<父子十手捕物日記13>/鈴木 英治
JUGEMテーマ:読書
 
★★★★(4/5)

あらすじ

出合茶屋で役者が首をつった。
どうやら心中らしいが、女の姿が見えない。
検死医師の話から同心の鹿戸吾市は自死と決めつけたものの、役者と知り合いだった中間の砂吉は納得せず、ひとりで調べはじめることに。
ところが今度は、砂吉が首つりにみせかけて殺されかけた。
深く悔いる吾市を手助けすべく、祝言を目の前にした文之介も探索に加わるが。(紹介文より)

〜感想〜

『町方燃ゆ<父子十手捕物日記12>』 に続く13作目です。

前作で……とうとう、やっと、ついに(笑) お春に 「お嫁さんにきてほしい」 と申し込んだ文之介でしたが、すぐに祝言というふうにはいかず、やはり形を整えるということで、父親の丈右衛門から改めてお春の父親の藤蔵に申し入れる、というところから始めるようです。
とはいっても、お互いに文之介とお春のことはわかっていたので、さくさく準備は進んでいきます 
今回は、そんなふうに幸せいっぱいの文之介をちょっと一休みさせようとしたのか(笑)、本作は何かと文之介に嫌みを言ってくる先輩同心の鹿戸吾一が活躍する話になっています。

吾一の中間の砂吉の友人が首を吊って死んでいるのが見つかり、砂吉は友人が自殺するはずがない、と言い張るのだけど、遺体を調べた医師は”自殺”と告げます。
それでも、納得のいかない砂吉の気持ちを汲んで、吾一はとりあえず一通りの調べをするのだけど、やはり吾一も自殺としか思えず……。

砂吉を気の毒に思いながらも、調べるのはやめるのだけど、砂吉が非番の日に自分で調べることまでは止めないことにします。
ところが、そんな砂吉が友人と同じように首を吊ってしまいます

絶対に、自殺ではない、と確信した吾一はもっとちゃんと砂吉の言葉を聞いていれば、と後悔して責任を感じます。 何よりも吾一にとって砂吉は大事な友人。 生死の境をさまよいながらも、何とか一命を取り留めた砂吉のためにも、吾一は真犯人を見つけだすことを決意します。
そうして、吾一は今まで以上にねばり強く、執拗に手がかりを追っていくのだけど、この探索が吾一の心に変化を及ぼすことになります。

今までの吾一は文之介に、何かと嫌みをなげかけて、捕物の時には先走ってへまをしたり、と、あまりよい同心でも先輩でもありませんでした。
ところが、今回の事件で文之介に対する妙なこだわりも消え、素直に彼の成長ぶりを認めて、その上で自分も負けられない、と、やる気を起こします。
そうして、ふっきれた吾一はなかなかの仕事ぶりを発揮して、砂吉を殺そうとした犯人を見つけるために文之介にも助けを頼む変わりぶり。

嫌みな先輩でしかなかった吾一でしたが、本作ではちょっといい感じに成長してます。吾一が砂吉を思いやり、砂吉が吾一を慕う様子は、文之介と勇七の二人の姿と重なるところがあって、思わずじ〜んときました
今回は文之介は吾一の手助けをする役目になっていましたが、これからは吾一との関係も好転していくんじゃないかな、と思います 

次は 『門出の陽射し<不死十手捕物日記14>』 です。



| 時代 | 23:20 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
町方燃ゆ<父子十手捕物日記12>/鈴木 英治
JUGEMテーマ:読書
 
★★★★(4/5)

あらすじ

葬儀をだしていた男が殺された。
死んだはずの商家の隠居は葬儀の最中に刺し殺され、本当にあの世に送られてしまったのだ。
文之介と勇七が調べたところによると、いたずら好きの隠居は、自分の葬儀を眺めて、どんな人が来てくれるのか、確かめたかったのだという。
さっそく、探索をはじめたふたりだが、今度は定町廻りの先輩同心が殺されて…。(紹介文より)


〜感想〜

『情けの背中<父子十手捕物日記11>』 に続く12作目です。

前作で、とうとう嘉三郎を捕らえて長かった攻防にも決着がついて安心できたかと思ったら、今回はまたとんでもない事件が起こります。
始まりは、自分の偽の葬儀を出した老人が、本当にその日に殺されてしまったこと いたずら者、と評判の老人で今回の偽葬儀もいたずらの延長だったのか、と思われたのだけど、調べるうちにそれほど単純な理由ではないことがわかってきます。

どうやら、偽葬儀をあげる前に老人は何かを聞いてしまい、その口封じに殺されたのでは……と考えた文之介だったのだけど、先輩同心が殺されるという新たな事件が発生して、二つの事件には繋がりがあることがわかり……。

事件は想像以上の大ごとへ発展していくことに
丈右衛門の友人で文之介の上司の又兵衛が、何者かに襲われたり、死んだはずの大塩平八郎が生きているという噂が流れたり、と江戸は不穏な空気に包まれていってしまいます。
そうして、とうとう打ち壊しという事態まで起こってしまい……。
事態を収めようと南町奉行と町方が騒ぎの元へ向かうのだけど、その時、一本の矢が奉行の胸を貫いて

その場面を見た文之介は これが狙いだったのか と、ぴんとくるのだけど後の祭り。 そしてさらに追い打ちをかけるように、奉行所が燃えていることがわかります
……もう何が何やら

その頃丈右衛門は、嘉三郎の企みで牢屋に入る羽目になり、知らなかったこととはいえ、自分が仕入れた味噌で人が死んだことで責任を感じて抜け殻のようになってしまった藤蔵を元気づけるため箱根へ湯治に行っていました。

丈右衛門のさりげない気遣いと慰めのおかげで、藤蔵も少しずつ癒されて笑い顔を見せるように。 そろそろ江戸に戻るか、ということになって、一行が戻ってみると……。
とんだ騒ぎに文之介の身を案じる丈右衛門だったのだけど、無事を確認してひとまず安心します。
そうして、いつものように(笑)陰ながら犯人の手がかりを追っていくことに。

今回は、丈右衛門以外にも意外な手助けがあります。 
それは文之介の遊び友達(笑)の仙太をはじめとする子供たちで、大塩平八郎が生きている、という噂の出所を突き止めてくれます。 そんな仙太たちの手助けのおかげで、犯人の手がかりを文之介は手がかりを手に入れることができます。
文之介と仙太たちの友情にはいつもほのぼのした気持ちにさせられます
ともあれ、文之介は苦労しながらも黒幕を突き止めて捕らえることができました。 そうしてつかの間の平和の中で文之介はとうとうお春に申し込みます。

「ほれのおひょめひゃんにひゃってくらさぁい」 (本文より)

…… 言いたいことはわかりますよね(笑)
そのあと、ちゃんと言い直したけれど、文之介らしいな、と苦笑いしながらも、よかったね、と嬉しい気持ちになりました
次は二人の祝言になるのかな

『さまよう人<父子十手捕物日記13>』 に続きます



| 時代 | 22:09 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
情けの背中<父子十手捕物日記11>/鈴木 英治
JUGEMテーマ:読書

★★★★(4/5)

あらすじ

嘉三郎の仕組んだ罠にはまり、御牧父子と昵懇の藤蔵が入牢した。
そして、お春は行方知れずに…。
一刻も早嘉三郎を捕縛すべく、丈右衛門は毒に使われた阿蘭陀渡りの薬肝神丸から、文之介は毒を盛られた味噌から事件の筋の絞り込みに精を出す。
次々に汚い手を操り出す嘉三郎を、御牧父子は追い詰めることができるのか?怒りの一閃が疾る。(紹介文より)

〜感想〜

『なびく髪<父子十手捕物日記10>』 に続く11作目です。

文之介と丈右衛門に恨みを抱く嘉三郎に騙されて、毒入りの味噌をそうとは知らずに売ってしまった藤蔵。死人が出て、文之介も毒入りの味噌で作られた味噌汁を飲んでしまい、一時は命が危うい状態になりましたが、お春の献身的な看病の甲斐があって順調に回復することができました。
ところが、藤蔵の娘であるお春は責任を感じて、真犯人の嘉三郎を一人で探し出そうと思いつめて、姿を消してしまいます

文之介にしてみれば愛しいお春が危険な目にあうのではないかと心配でたまりません。 嘉三郎は悪知恵の働く一筋縄ではいかない危険人物 もし、お春が嘉三郎を見つけることができたとしても、逆に酷い目に合わされるのがオチ。 文之介にとってお春が一番の泣き所なので、もしお春をたてにとられれば文之介は手も足もでなくなってしまいます。
そんな心配からいてもたってもいられない文之介ですが、自分が咲きに嘉三郎を見つけようと決心して、まずは味噌の仕入先を辿っていくことにするのだけど……。

一方、丈右衛門も一刻も早く嘉三郎を捕まえようと別の方向から調べを進めていきます。 そうするうちに、怪しい廻船問屋に目をつけるのだけど確固たる証拠が見つからず……。 そこで丈右衛門は自らを囮にして、証拠をつかもうとします。
案の定、罠にかかった相手は丈右衛門に襲い掛かってきます。
ところが、相手を甘く見てしまった丈右衛門は逆に追いつめられてしまうのだけど、そこへ文之介が現れて危ういところを助けられます。

……のんき者で頼りないと思っていたけれど、なかなかどうして、見事な立ち回りを披露してくれました とってもカッコよかったです

嘉三郎との決着もとうとうついて、文之介のお春にたいする思いの深さや、丈右衛門の親心、周囲の人々の優しさに癒されて、 幸せな気持ちになれる結末でした

次は 『町方燃ゆ<父子十手捕物日記12>』 です。



| 時代 | 20:19 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
なびく髪<父子十手捕物日記10>/鈴木 英治
JUGEMテーマ:読書

★★★★(4/5)

あらすじ

勇七と弥生の祝言で、いささかふつか酔いだが、さすがに見廻りは欠かさぬ文之介。
狭まる探索の輪から巧みに逃げおおせた凶賊の嘉三郎を捕らえようと、足を棒にしている最中、天ぷら屋が食あたりで死人をだした事件に加わることになって…。(紹介文より)


〜感想〜

前作 『地獄の釜<父子十手捕物日記9>』 で、一人だけ逃れた盗賊一味の嘉三郎は、一味を捕らえた御牧父子への復讐を企み、丈右衛門が想いを寄せているお知佳の娘のお勢を誘拐しておびき出し、文之介共々焼き殺そうとしましたが、勇七の命がけの救出劇のおかげで助かることができました。

あいにくと勇七は、重度のやけどを負うことになってしまいましたが、以前から勇七に想いを寄せている手習い所の先生をしている弥生の献身的な看病のおかげで心身ともに回復
失恋の痛手もすっかり癒えて、弥生と心を通わせるようになっています

とりあえずは、ほっと一息。
というところだったのだけど、企みが失敗に終わった嘉三郎はますます復讐の念を募らせて、こんどは文之介が一番大切にしているお春に目をつけます。
前回の企みの時に、御牧父子を助けたお春の父親の藤蔵も巻き込んで、とんでもない計画を実行に移すのだけど……。この計画というのが、大店の味噌問屋である藤蔵をだまし、毒の入った味噌を仕入れさせるというもの そうとは知らないお春は、新しく仕入れた味噌で作った味噌汁の味見を文之介にしてもらおうとして……。

味見をした文之介はその場で倒れて生死の境をさまようことに 
味噌に毒が入っていることがわかって、すぐさま売った味噌を回収するのだけど、時すでに遅く次から次へ倒れる人々が続出して、とうとう死者までだしてしまいます。

そして、藤蔵は罪人として牢屋に入れられることになるのだけど、すべては嘉三郎の企みだと察した丈右衛門は文之介の身を案じながらも、藤蔵の身の潔白を証明するために、証拠を集めようと調べ始めるのだけど、この嘉三郎は一筋縄ではいかないほどの知恵者。
あと一歩のところで逃げられたり、これみよがしに丈右衛門が話を聞こうとしていた人物を殺したり、と憎らしい真似をしてくれて……

今回は、文之介が生死の境をさまよう羽目になってしまって、気が気じゃなかったです。 助かるとは思っていたけれど、失明する可能性なんかもあって、ハラハラさせられました
とはいっても、文之介が動けないということで父親の丈右衛門が活躍してますが、名同心と言われていた現役の頃はこんなふうだったんだろうな、と、昔の姿をかいま見ることができて嬉しかったです

御牧父子にとっては、大変な災難ではあったけれど、彼らを支えて協力してくれる人々の姿に心温まりました 途中で意識を取り戻した文之介も、嘉三郎が調べたことをきいて自分の考えを話したりして協力するのだけど、自分も調べに行きたい、とやきもきする姿に、いつの間にか同心として成長したんだな〜、と感慨深いものがありました(笑)

なにはともあれ、その甲斐もあって、嘉三郎の企みということを証明できて、何とか藤蔵が死罪になることは防ぐことができました。 ただ、やはり嘉三郎を捕らえることはできず……かなりしぶといです

御牧父子と嘉三郎の攻防は次の 『情けの背中<父子十手捕物日記11>』 に続きます。


 

| 時代 | 21:19 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
地獄の釜<父子十手捕物日記9>/鈴木 英治
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★★★☆(3.5/5)

あらすじ

捕らえ損ねた盗賊の嘉三郎捜しに励む文之介だが、お克の嫁入りで肩を落としている中間の勇七に気をとられてばかり。
一方、なかなか踏み切れなかったお知佳との仲に、ついに丈右衛門が求婚を決意!? が、その合間にも影の手は伸びてきて…。(紹介文より)

〜感想〜

『結ぶ縁<父子十手捕物日記8>』 に続く9作目です。

今回の話は、御牧父子、勇七、お春、お知佳、勇七に想いを寄せている弥生、果ては文之介の遊び仲間(?)の子供、仙太までを巻き込んだ大事件になります
文之介が捕まえた押し込み強盗の一味だった嘉三郎が一人だけ逃れて、ずっと手がかりを追っていた文之介だったのだけど、その嘉三郎は父親とも慕っていた盗賊一味のお頭の仇として御牧父子を恨んでいました。

そうして、兄弟同然に育ったもう一人の仲間の捨蔵と二人で文之介たちに復讐するため、ある計画を立てます。
実は、この嘉三郎ただの盗人とは違い、頭がよく冷酷で、できれば敵には回したくない輩
執拗に御牧父子の周囲を探り、二人の弱点を突き止めて、丈右衛門が想いを寄せているお知佳に目をつけ、娘のお勢を誘拐します。

しかも、勇七の名前を使って……。
その頃勇七は、想いを寄せていたお克が嫁にいってしまったことで、かなり自暴自棄になってしまって、仕事にもでず酒を飲んでという毎日

なので、文之介と丈右衛門がそんなことになってるとは知らないまま。
こんな時こそ、勇七の助けが必要なのに、なにやってんの と思わないでもなかったですが、でも、逆に勇七がこんなふうになっていたことで、最後のほうで危機一髪の御牧父子を助け出すことができたので、終わりよければ全てよし、ということで(笑)

執念深さと用意周到さで、御牧父子を追いつめていく嘉三郎と、彼を捕まえようとする御牧父子との攻防が面白かったです
ただ、今回も嘉三郎を捕まえることができず、さらに御牧父子への恨みを深めた嘉三郎が次はどんな復讐を企むのか……想像すると恐ろしいです

次は 『なびく髪<父子十手捕物日記10>』 です。



 

| 時代 | 20:41 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
結ぶ縁<父子十手捕物日記8>/鈴木 英治
JUGEMテーマ:読書

★★★☆(3.5/5)

あらすじ

脅し文の相談で奉行所にやって来た廻船問屋の主人が、商談帰りに襲われた。
通りすがりの浪人に救われ、一命を取りとめたというが、腑に落ちない文之介。
捕り逃した嘉三郎の探索もあって、手が回らずに…。
一方、丈右衛門とお知佳の仲が。(紹介文より)

〜感想〜

『夜鳴き蝉<父子十手捕物日記7>』 に続く8作目です。

前作でさくらが父親の丈右衛門に気持ちを移したことで、とりあえずホッとした文之介でしたが、まだお克のことがあります。
中間の勇七がお克に想いを寄せていることで、なかなか無下にもできないのが辛いところです

今回は、命を狙うという脅迫状が届いたと相談にきた廻船問屋の主人が、奉公人も含めて皆殺しにされてしまいます。 相談にきたときに言葉をかわして、その後も気にかけていた文之介は下手人に対して怒りを覚えます。

下手人は、主人が襲われたときに彼を助けて、まんまと家に客として入り込んでいた浪人だとわかっています。文之介はなんとしても、捕まえようと調べ始めるのだけど、武家のお家騒動が絡んでることがわかってきて……。

結構、大きな事件になるんですが、いつものように父親の丈右衛門や勇七といった頼りになる味方の強力で最後には解決することができます。

さくらに気持ちを打ち明けられた丈右衛門は、男らしくはっきりと 「好きな人がいる」 と告げて、さくらはがっかりはしたものの、そのまま調べものの手助けを続けます。
そうする内に、事件に巻き込まれて妻と娘を失った男を丈右衛門が連れてくるのだけど、男は生ける屍状態  
それでもさくらのおかげで少しずつ元気を取り戻していって、いつしかお互いに好意を寄せ合うように やっとさくらにも、いい人が現れたようです。 
幸せになれそうな様子に温かい気持ちになりました

あとは文之介に想いを寄せるお克が、どうなるか……。
できれば、勇七とうまくいってほしいものです。

次は 『地獄の釜<父子十手捕物物語9>』 です。



 
| 時代 | 21:38 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
夜鳴き蝉<父子十手捕物日記7>/鈴木 英治
JUGEMテーマ:読書
 
★★★☆(3.5/5)

あらすじ

惚れた娘お春と一緒に歩き、笑顔までかわす小間物売りが気になってしょうがない文之介。
目を凝らせば、丈右衛門が心を寄せるお知佳のもとにも姿を見せる駒蔵だった。
なんとはなしに訝しさを覚えた文之介は、勇七にあとをつけさせるが…。(紹介文より)


〜感想〜

『お陀仏坂<父子十手捕物日記6>』 に続く7作目です。

前作で探索の途中で知り合った若い娘さくらが家に押しかけてきて文之介に給仕している場面を見てしまったお春は、そのまま何も言わず家へ戻ってしまいました。

誤解を解こうと文之介はお春を訪ねていくのだけど、お春はあってくれず……。 そこで文之介はお春の父親の藤兵衛にことの顛末を話し、お春にも伝えてもらうようお願いします。 文之介が帰ったあとに説明を聞いたお春はとりあえず納得はするものの、今ひとつすっきりしなくて……。

その後、誤解の元である張本人のさくらがお春を訪ねてきてずばり文之介との関係を質問します。
……積極的ですね
そんなさくらに、お春は文之介のことは 「なんとも思っていません」 と答えてしまいます。 もう、本当に意地っ張りで困ったものです。
喜ぶさくらは心置きなく文之介にアタックすることに。
お春はあとで自分の言ったことを後悔するのだけど……。

心の隙間を埋めるかのように、以前から誘いをかけてきていた小間物売りの駒蔵と出かけるお春だったのだけど、その姿を文之介が見てしまいます。 ヤキモチを焼く文之介だったのだけど、その男は丈右衛門が想いを寄せているお知佳にもつきまとっていたことを思い出します。 どうも怪しいと睨んだ文之介は駒蔵を調べることに。

それにしても、お克といいさくらといい、次から次へと惚れられる文之介ですが、なんであっさり、「好きな娘がいる」 って断れないんでしょう? それがちょっと不思議です。
人ごとながら、じれったい思いをさせられました(笑)

と、思っていたら……文之介に想いをよせるさくらに協力しようと丈右衛門が2人で探索を始めて、そのうちのさくらは丈右衛門に心を惹かれるように。……まあ、確かに丈右衛門は素敵ですから、その気持ちはわかるんですが、さくらはちょっと惚れっぽいのかもしれません

とりあえず、ホッとする文之介ではありましたが色々と身辺に変化が起き始めたことで、のんきな文之介も色々考えざるを得なくなってきたようです。
何かと入り組んできたこの関係、どう収まるんでしょうね?

次は 『結ぶ縁<父子十手捕物日記8>』 です。







| 時代 | 20:15 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
お陀仏坂<父子十手捕物日記6>/鈴木 英治
JUGEMテーマ:読書

★★★☆(3.5/5)

あらすじ

いま府内を騒がしているのは“人を殺さず、蔵に傷付けず”という盗賊。
父丈右衛門の「向こうがしの喜太夫ではないか」との助言に奔走する文之介だったが、先輩吾市が故あって獄中に入れられたうえ、鉄火娘さくらが現れ、てんてこ舞いに…。(紹介文より)



〜感想〜

『蒼い月<父子十手捕物日記5>』 に続く6作目です。

前作でお春との仲も元通りになっていつもののんき者に戻った文之介だったのだけど、鮮やかな手並みで蔵から金を盗み出す盗賊の探索に少し手こずってしまいます。
父親の丈右衛門からかつて活躍していた盗賊と手口が似ているとヒントをもらうのだけど、その後丈右衛門は風邪を引いて寝込んでしまいます。

とりあえず、手がかりを追う文之介だったのだけど、たまたま入った茶屋で善一郎という男に関する話を耳に挟み、どこかひっかかるものを感じた文之介はその男を調べることに。 するとものの見事に文之介の勘があたって、善一郎が盗みに入ったところを捕まえることができます
今回は、割りと早い解決だったなと思ったら、丈右衛門が教えてくれた過去に活躍していた盗賊 喜太夫 が陰で暗躍していて……。

文之介の同心としての働きぶりに危惧を抱いた喜太夫はお春を攫うという手段にでます  お春を助け出すために遮二無二頑張る文之介の姿がカッコよかったです♪ お春も惚れ直したんじゃないでしょうか  これで、ますます2人の距離が縮まっていい雰囲気になると思ったんですが、調べの途中で知り合ったさくらという若い娘が文之介に惚れて、家まで食事を作りにきてしまい……。

そこへお春が現れて……お約束のパターンですね
またもや、2人の仲はこじれてしまいました。
意地っ張りなお春が、機嫌を直すのはいつになることやら?
文之介に幸せが訪れるのはまたおあずけになったようです

次は 『夜鳴き蝉<父子十手捕物日記7>』 です。




 
| 時代 | 20:20 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
鳥かご<父子十手捕物日記5>/鈴木 英治
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★★★☆(3.5/5)

あらすじ

殺しの探索から帰ってきた同心の文之介は、好いている大店の娘お春に縁談が持ち上がっていると、隠居の丈右衛門から聞かされ、気が気でない。
落ち着きを失くした文之介を心配する仲間の勇七…。
そんな折、手習所の弥生に闇の手が迫る。(紹介文より)

〜感想〜

『蒼い月<父子十手捕物日記4>』 に続く5作目です。

前作で文之介に好意を寄せているお克に抱きつかれているところをお春にみられてしまい、それからお春は文之介を避けるようになってしまいます 文之介にしてみれば、お春一筋なだけにしばらく落ち込んでしまうのだけど、さらに追い打ちをかけるかのように、お春がお見合いをするらしいことがわかって…… すっかり動転してしまった文之介は、普段とは違う行動に出たり、仕事に対してもどこか上の空状態に。

そんな文之介の様子を見ていた父親の丈右衛門は、陰ながらフォローしようと文之介の上司で友人でもある又兵衛に事件の詳しい情報を教えてもらって、自分でも事件を調べ始めることに。 一方、文之介は一人で悩み続けるのだけど、非番の日にいつものように子供たちを思い切り遊んだことで、気持ちを切り替えることができたらしく、文之介はある決心をします。

そんな文之介を心配する中間の勇七は、理由を聞こうとするのだけど、文之介は言おうとはしません。幼なじみでもある勇七には理由はお春のことだ、見当をつけて一人でお春に会いに行くことに。
そうして、お春のお見合い話を知った勇七もまたある決心をするのだけど……。

お見合い当日、お春を連れ出そう、と計画を立ててタイミングを計っていた勇七は、「かんかんかん……火事だぞ」 (笑) という聞き覚えのある声を耳にすることに。 お春を連れ出そうとする文之介だとわかり、安堵する勇七だったのだけど……それにしても、半鐘の音を口で ”かんかんかん……” っていう文之介って……

らしいといえば、らしいのだけど、やっぱり思わず笑ってしまいました
でもまあ、そんな文之介の行動でお春の意固地な気持ちも和らいで誤解をとくことができ、以前のように気の置けない関係に戻ることができました
そうして、気がかりをなくして上機嫌に戻った文之介の様子を見て丈右衛門は、お春と仲直りしたことを察します。
そうして、文之介に自分が調べた事件の手がかりを教えることに。
本当にいいお父さんで、文之介と丈右衛門のお互いに信頼しあって、思いやる関係が素敵でした

今回の事件は勇七に好意を寄せている手習い小屋の先生の弥生が事件に関わってきます。 何かを隠しているかのような彼女の態度に、文之介はもどかしい思いをさせられます。 それでも、今では経験を積んで頼りになる同心になってきた文之介は、弥生自身が感心するほどの手際を見せてくれて……。

最初はお春のことで、とほほな(笑)文之介でしたが、途中からかなり株を上げたように思います
ただ、今回は勇七がさらわれたり、かなりの遣い手が出てきたり、とさすがの文之介もあわやという場面があるのだけど、そこへ現れたのが父親の丈右衛門。

同心の現役時代を彷彿とさせる、際だった剣捌きに惚れ惚れさせられました
文之介を思う親心が伝わってきて、感動しました♪ 文之介と丈右衛門の親子愛、勇七との友情、お春への愛情、と暖かい気持ちにさせらえるお話でした

次は 『お陀仏坂<父子十手捕物日記6>』 です。


 

| 時代 | 22:33 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
蒼い月<父子十手捕物日記4>/鈴木 英治
JUGEMテーマ:読書
 
★★★☆(3.5/5)

あらすじ

苦手なお克とついに食事をすることになってしまった文之介。
頭が痛いとはいえ、瀬戸物屋に這入った盗っ人も捕えなくてはならないし、子供の掏摸も探さなくてはいけないしで…。
八方ふさがりの文之介は、一体どんな智恵をしぼるのか。(紹介文より)


〜感想〜

『一輪の花<父子十手捕物日記3>』 に続く4作目です。

シリーズの最初から、お克という体格のよい娘に想いを寄せられて困っていた文之介でしたが、今回は前の事件を解決に導く情報をくれたことで、お礼変わりに食事をつきあうことになってしまいます。 気が進まないのはお春という想い人がすでにいることが大部分の理由なのだけど、実はお克は中間の勇七の想い人でもあって……

文之介にはお春という娘がいることを知っているものの、勇七はやはり心穏やかではいられません。 時々、殴りあいの喧嘩になることも なにはともあれ、気は進まないながらもお克と食事をした文之介だったのだけど、お克が突然身を投げかけてきて焦った文之介はつい本音を言ってしまいます。

「でぶは嫌いなんだ」

……正直というべきか、無神経というべきか
いずれにしても、お克にはショックな一言にかわりはありません。
その後、文之介は後悔に襲われて勇七に対しても後ろめたく感じるようになります。
そんなぎくしゃくした文之介の態度に不自然さを感じた勇七は理由を問いただすのだけど……。

文之介から事情を聞いた勇七は怒りに駆られて、たちまち二人は殴りあいの喧嘩に。 ……女の人が絡むと男同士の友情も、危うくなっちゃうんですね とはいえ、文之介と勇七はすぐに仲直りして、お互いに謝ります。 そうして気を取り直して以前から気にしていた子供のスリを探すための手がかりを追っていくことに。
もともと、非番の日には近所の子供たちと真剣に遊ぶ(笑)文之介なので、子供に対してはかなり甘いところがあります。

子供のスリが捕まって、罪人のあかしとして入れ墨を彫られるような目にはあってほしくない、と思った文之介は先に自分が捕まえてまっとうな道に戻してやりたい、と考えるようになります。 そうして、ある程度見当をつけた文之介は父親の丈右衛門に相談することに。 そうしてたてた計画は丈右衛門が大店の主に扮してスリをおびき寄せること。

すると、案の定丈右衛門の財布を狙って近づいてくる子供が現れて……。そのまま財布をすらせる丈右衛門だったのだけど、その財布の中には文之介から相手にあてた手紙が入っていて、力になりたい、といった内容がつづられています。 その手紙を読んだ子供は疑いながらも、とりあえず文之介の様子を遠くから伺うことにするのだけど……。
 
文之介の優しさにホロリとする話でした。今ではすっかり、同心としての貫禄もそこはかとなくでてきて、なかなかの成長ぶりにも感心しました

次は 『鳥かご<父子十手捕物日記5>』 です。



| 時代 | 19:34 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark


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