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刀語 第八話<微刀・釵(かんざし)/西尾 維新
JUGEMテーマ:読書

★★★☆ (3.5/5)

あらすじ

姉・七実との死闘を経て、名実共に日本最強となった七花と、伝説の変体刀を七本まで蒐集した奇策士・とがめは江戸の奥地に広がる人外魔境の異界・不要湖へと足を踏み入れる。
“敵”か、“味方”か!?
―とがめたちを揺さぶる監察所総監督・否定姫と、配下の元忍者・左右田右衛門左衛門!そして、残すところ四人!真庭忍軍の次の一手とは―!?
刀語は後半戦に突入!目まぐるしく動く因縁の物語!刀語、第八話の対戦相手は、不要湖を守護する日和号。(紹介文より)

〜感想〜

『刀語 第七話<悪刀・鐚(びた)』 に続く8作目です。

前作で姉の七実と死闘を繰り広げ、”悪刀・鐚”を手に入れた七花ととがめは、尾張幕府での政敵 ”否定姫”の右腕の左右田右衛門左衛門から再び、次の刀 ”微刀”の持ち主がいるという ”不要湖”の場所を教えてもらいます。

ライバルのはずなのに、何故情報を教えてくれるのか?
何か企みがあるようなのだけど、そのことに気づきながらもとりあえずとがめはその情報を利用することにします。
そうして、七花と ”不要湖”に向うとがめだったのだけど、そこにいたのは ”日和号” という名のからくり人形。 近づく人間すべてを殺すというぶっそうな人形で、七花も近づいた途端攻撃されるのだけど、攻撃を受けて七花は日和号こそが ”微刀・釵” だと気づきます。
いったい、こんな形態の刀をどうやって手に入れたらいいのか?
さっぱり見当がつかない七花だったのだけど、まあそれはいつものこと(笑)

こんな時こそ、”奇策士” とがめの出番ということで、とがめがまたもや見事な”策”を披露してくれます。 自分には理解できない”策”ではあったけれど、とがめを無条件で信頼している七花は彼女の策を忠実に実現していきます。
すると…… とがめの策が功を奏して日和号の動きが止まり、”微刀・釵” を手に入れることに成功。 さすがはとがめ!とひたすら感心する七花が微笑ましかったです

今回、戦う相手の ”日和号” は感情も意思も持たずに、ただ戦うだけのからくり人形で、七花は戦いながらそんな日和号の姿にかつての ”刀” としての自分を重ねます。
今の自分との違いを実感した七花は、以前の自分と最初の頃に戦った相手に申し訳ない気持ちになって……。

そんな七花の気持ちを読んで、本当に ”人間らしく” なったんだな〜、としみじみ実感。 成長した子供を見るような気持ちに(笑)

七花もとがめも、最初の頃に比べると気持ちにかなり変化が起きています。
すべては自分の目的をかなえるための ”道具” と誰も信じず、心を開くこともなく、どんな人間でも利用して、裏切ることも当たり前、そんなふうに思っていたとがめは、初めて七花という”他人”を信じるようになりました。

感情を交えることなく、たとえ相手が自分の肉親であっても必要ならば殺すことができる、ただの ”刀” だった七花も今では戦う相手のことを考えて悩んだりするようにもなりました。

ただ、お互いの存在が与えた影響が必ずしも良いというわけでありません。
とがめの目的は自分の父親を殺し故郷を滅ぼした尾張幕府への復讐だけれど、七花の父親は尾張幕府の命を受けてとがめの父親を殺した仇でもあります。
果たしてとがめはこの旅の終わりに七花をどうするつもりなのか

今ではすっかり、感情の育った七花にとって気になるのは、旅の終わりがどうなるのかということなのだけど、聞いてもとがめははぐらかすばかり。 
12本の完成形変体刀はすでに8本まで手に入れたものの、七花ととがめの旅の終わりが果たしてどんな結末を迎えるのかなんだか不吉な予感がします。。。

次の 『刀語 第九話<王刀・鋸>』 に続きます。



| ふぁんたじぃー | 21:52 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
刀語 第七話<悪刀・鐚(びた)/西尾 維新
JUGEMテーマ:読書

★★★★ (4/5)

あらすじ

奇策士とがめと旅を続ける無刀の剣士・鑢七花を襲う、最大・最恐・最悪の試練―。
刀大仏が鎮座する聖地・清涼院護剣寺で、この世で唯一血を分けた姉との、血で血を洗う死闘!悪刀『鐚』を携え、七花の前に立ちはだかる姉に、七花はその剣を振り下ろせるのか―!?(紹介文より)

〜感想〜

『刀語 第六話<双刀・鎚>』 に続く7作目です。

少しずつ、人としての感情が育って(? 笑)きた七花は、前回初めてとがめの指示に従いませんでした。 他に方法がない、とやむを得ず双刀・鎚の持ち主、凍空こなゆきを 「殺せ」 と命じたとがめに 「承知」 と答えながらも、虚刀流の奥義の1つを使ってこなゆきの身体を乗っ取った真庭忍軍の狂犬(けふけん)だけを倒し、こなゆきを助けるという離れ業をやってのけました。

遭難したとがめと七花を助けてくれた命の恩人だったこなゆきを助けることができたのは良かったものの、自分の指示に従わなかった七花に複雑な気持ちを抱くとがめだったのだけど、良くも悪くも ”人” としての感情を育てていく七花の変化が、刀を手に入れるための戦いに与える影響をどこまでコントロールできるのか? 興味津々です

さて、今回七花が戦うのは実の姉の七実になるのだけど、七実は ”目で見ただけですべての技を取得”してしまう天才。 七実が強くなりすぎることを恐れて、父親の六枝(むつえ)は虚刀流を七実ではなく七花に継がせたという経緯もあることから、七花が七実に勝つのはほとんど皆無と言っても過言ではありません。そんな七実との戦いに勝つにはいったいどうすればいいのか?
早速、”奇策士” とがめの腕の見せ所です

七花がとがめと旅立ってからも、外の世界にでれば長くは生きていけないほどの虚弱体質ということもあって不承島に残っていた七実だったのだけど、真庭忍軍(略して ”まにわに” by七花命名 笑) ”虫組” の襲撃を受けてから、何か思うところがあったのか、無人島を出て独自に四季崎の完成形変体刀を探しに旅に出ていました。 そうして、七実は七花ととがめよりも先に蝦夷の地 、”凍空一族”の村を襲撃し(実は雪崩で壊滅したのではなく、七実の襲撃によって全滅 
こなゆきはたまたま村にいなかったおかげで生き残りました)、”双刀・鎚” を手に入れようとしたのだけど、「自分にはあわない」 という理由で結局”鎚”はそのまま放置

すぐにその場を後にして次の目的地へと向かい、”悪刀・鐚” を守っていた一族をこれまたあっさり全滅させて、今度は自分にぴったりだと”悪刀・鐚” を手に入れます。
その後、七実は刀大仏が鎮座する聖地で七花ととがめを待ち受けることに。

一方、旅を続ける七花ととがめは何者かが自分たちよりも先に ”悪刀・鐚” を手に入れたことを知らされます。しかも、その正体不明の何者かはとんでもなく強いらしく……。
そんな七花ととがめの前に、尾張幕府でのとがめの政敵 ”否定姫”に付き従う左右田右衛門左衛門が現れて、驚くべき情報を明かします。

それは、毒刀・鐚を手に入れたのは七花の姉の七実だということ。
驚く七花ととがめだったのだけど、右衛門左右衛門の案内で七実の待つ地へと向います。 そうして再会した七花と七実だったのだけど……。

七実は最初から七花と戦う気満々で 
とがめと旅をする間に ”刀” から 少しずつ ”人間” に変化した七花の姿を見て、七実は 「悪いほうに変化した」 と感じてとがめを責めるのだけど、「持ち主の私が刀をどう扱おうと勝手だ」 と平然としたもの。

昔から七実に頭の上がらない七花はたじたじとなるのだけど、それでもとがめと旅に出てひとクセもふたクセもある敵たちとの戦いで経た経験のおかげで、七実との戦いにもそれなりの自信を持って臨むことになります。

ところが、いざ戦ってみるとまるで歯が立たなくて……。
七花の最終奥義 ”七花八裂” もあっさり破られてしまいます
流石に激しく落ち込む七花だったのだけど、その理由の大半はとがめの”刀”としての自分の不甲斐無さにたいして。
そんな七花に、とがめはいつまでも落ち込んでないで次の再戦でどうやれば七実に勝つことができるのか、”奇策” があると言って……。
七花が勝つための策を考えるのは自分の役目だと、なんとも頼もしいことを言ってくれます。

とがめに愛想をつかされていないことがわかった七花はたちまち元気を取り戻します。(……単純ですね そうして、”奇策士” とがめの本領発揮
七実を倒すのは絶対に不可能と思えたのに、とがめは見事に七実の強さを封じ込める策を成功させて、七花は勝つことができます。

でも、それは七花が七実を殺すことでもありました
今では ”ただの刀” ではなくなった七花が悲しむことは当然で……もっとも、虚弱体質でずっと辛い思いをしていた七実は、最初から七花に殺されたかったようで、最期は満足して息を引き取ることになります。

今回は、七花ととがめのお互いに対する信頼と絆をよりいっそう深めることになりましたが、七花にとってはなんとも切ない結末の話でした

今回の経験でまた少し成長した七花と、”奇策士” としての本領を発揮し始めたとがめの次の戦いがどんな感じになるのか……ちょっと怖い気もしますが、ドキドキしながら次の 『刀語 第八話<微刀・釵(かんざし)』 へ。


| ふぁんたじぃー | 18:37 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark


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