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三匹のおっさん/有川 浩
有川 浩
文藝春秋
¥ 1,600
(2009-03-13)
Amazonランキング: 39577位

JUGEMテーマ:読書

★★★☆(3.5/5)

あらすじ

「三匹のおっさん」とは…定年退職後、近所のゲーセンに再就職した剣道の達人キヨ。
柔道家で居酒屋「酔いどれ鯨」の元亭主シゲ。
機械をいじらせたら無敵の頭脳派、工場経営者ノリ。
孫と娘の高校生コンビも手伝って、詐欺に痴漢に動物虐待…身近な悪を成敗。
還暦ぐらいでジジイの箱に蹴り込まれてたまるか!
腕に覚えありの武闘派2名、機械をいじらせたら無敵の頭脳派1名。かつての悪ガキが結成した自警団が、今日もご町内の悪を斬る! (紹介文より)

〜感想〜


作者の有川浩さんの作品というと、ベタ甘(笑)なラブストーリーを思い浮かべますが、本作はちょっと一味違っていて定年退職後の三人の “おっさん”(笑) たちの活躍が描かれています。
中心となるのは還暦をむかえて、近所のアミューズメントパークに再就職した剣術の達人のキヨ。
親の代から続く剣道道場も開いていたものの、定年退職の時期に生徒たちもいなくなり道場も閉めることになるのだけど、還暦のお祝いに来た息子夫婦たちは早速、道場を自分たちが利用したいと言い出して……。
まだまだ隠居には早いと思っていたキヨにしてみれば、そんな息子夫婦の心根が情けないやら悔しいやら

そのまま、親友のシゲが営んでいる居酒屋へ行って愚痴を聞いてもらうことに。
残された息子夫婦はキヨには孫になる高校生の息子から 「じーちゃん、可哀相に」 と責められて……。 そんなふうに、キヨの還暦祝いは終わってしまったのだけど、シゲとノリのさり気ない慰めのおかげで気を取り直すことができます。
そうして、再就職先での仕事が始まるのだけど、そこでは高校生の孫もバイトとして働いていてビックリ 小さい頃は剣道も習っていて、懐いていたものの今ではいまどきの若者らしくじーさん呼ばわりでそっけない態度。
でも、再就職先でトラブルが発生して孫も巻き込まれてしまいます。
孫の身が危険にさらされかけた時、キヨ、シゲ、ノリが颯爽と現われて……

キヨは剣術の達人、シゲは柔術家、ノリは機械の扱いのプロ、と三人ともヒトクセもフタクセもある人物。
息のあったやりとりで、鮮やかに孫を助け出します。
おっさんをなめるな(笑) とばかりにはりきる姿が可愛いカッコよかったです

この事件がきっかけで、孫のキヨに対する見方が変わります。
キヨ、シゲ、ノリたちは、この事件をきっかけに3人で“自警団”のようなことを始めることになります。
そうして、3人のおっさんと孫は、町内で起こる事件のあれこれを解決していくことになるのだけど……。

少しずつ、変わっていく孫がキヨと心を通わせる様子にほのぼのしたり、おっさんたちの胸のすくような活躍ぶりにワクワクしたり、と楽しく読める作品でした




| どらま | 21:51 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
刀語 第十二話<炎刀・銃>(完)/西尾 維新
JUGEMテーマ:読書

★★★★ (4/5)

あらすじ

虚刀流・鑢七花と奇策士・とがめによる伝説の完成形変体刀蒐集の旅は、否定姫の腹心・左右田右衛門左衛門の所有する最後の一本―炎刀『銃』を前に、最期にして最悪の試練を迎えていた―。
容赦なく、迷いのない“弾丸”に貫かれたとがめを、七花は果たして救うことができるのか―!?
西尾維新と竹が描く、時代活劇絵巻。
とある歴史の物語―これにて終幕。
刀語、第十二話の対戦相手は、否定姫腹心にして元忍者、左右田右衛門左衛門(紹介文より)

〜感想〜

『刀語 第十一話<毒刀・鍍>』 に続く12作目、『刀語 第十二話<炎刀・銃>』 最終巻です。

前作で、”否定姫” の右腕、左右田右衛門左衛門によって、完成形変体刀最後の1本 ”炎刀・銃” で撃たれたとがめでしたが、撃たれた場所は的確に急所にあたり致命傷を負ってしまいます。

ついさっきまで和やかに話していたとがめが気づけば血まみれで地面に横たわっている……七花は現実を受け入れることができずしばらく呆然として動けなくなってしまいます。
そんな七花に何の感情も見せず、淡々と言葉をかける左右田右衛門左衛門。
とりみだしたまま、左右田右衛門左衛門に向っていく七花だったのだけど、あっさり退けられてしまいます。 そして、「奇策士に別れを告げるだけの時間は残っている」 と言い、その場から立ち去っていきます。

左右田右衛門左衛門に復讐したいという気持ちを抱きながらも、七花はとがめの側へ行くのだけど近くに行くと傷の深さがはっきりとわかり、本当にとがめは助からないということを思い知らされて……。 子供のように泣き崩れる七花だったのだけど、死に掛けている張本人のとがめは逆に不思議な落ち着きを見せます。

そうして、とがめは七花に衝撃の事実を打ち明けます。

はじめからとがめの父親を処刑した七花の父親の六枝(むつえ)を許すつもりはなかったと
すべてが終わったら二人で旅を続けるというのも、七花に対して抱いている暖かい感情もすべては復讐という目的を遂げるための ”策” にすぎず、最後には七花を殺すつもりだったのだと

とがめが自分を置いて死んでしまうということにただでさえ、ショックを受けているのにそのとがめからさらに追い討ちを掛けられた七花はすっかり打ちひしがれてしまいます
そもそも七花にとって、とがめは絶対の存在で彼女の命令ならばそれがどんな内容でも従うつもりです。 たとえ、それが 「死ね」 という命令だとしても……。

それだけに、どうしても七花は ”何故 ” という気持ちが押さえ切れません。 
子供のように泣きながら問いかける七花に、とがめはそもそもの旅の始めからの想いを淡々と語り始めます。でも、そんなふうに七花を突き放すように話し、”策” だ ”道具” だと口にしながらも、七花に対して抱いた感情も、語りかけた言葉も ”本物”だったのだと打ち明けてくれます
ただ、どうしても復讐を諦めることができなかっただけで……。

……もう、なんでそんなふうにしかできないんだろう、と悲しいやら切ないやら
しかも七花が子供のように泣き叫ぶものだから、なおさら痛ましくて……。

実は、なんとかとがめが助かるんじゃないか、と多少の期待はあったのだけど、そんな甘い期待が叶えられる余地は全然なくて……。
七花ととがめの別れの場面は涙なしでは読めませんでした

一方、左右田右衛門左衛門にとがめを排除させた ”否定姫” は、12本の完成形変体刀を手に入れ、彼女自身の目的を叶えるために尾張幕府の中枢へと近づき行動を起こします。 ”否定姫”の最終的な目的は先祖の伝説の刀鍛冶士四季崎から続く願い、”歴史を変える” こと。
実際、ほとんど成功していて ”否定姫” が仕上げをする、というところまできていたのだけど、そこへ七花が単身乗り込んできて……。

果たして七花の目的は
左右田右衛門左衛門への復讐か、それともとがめの遺志を受け継いで叶えようとしているのか……。

すべての枷を解かれた七花のとんでもない ”強さ” に惚れ惚れ
12本の刀を手に入れるためのそれぞれの戦いで得た経験を生かして、最後に七花の前に立ちはだかる12人の敵を、次々に倒していく様子は圧巻でした。

長くて短かった七花ととがめの旅。
二人に関わってきた”真庭忍軍” ”否定姫” ”左右田右衛門左衛門” ”完成形変体刀の持ち主たち”  等々、様々な出会いを重ねて、七花ととがめが得たものとは

切ないながらも、少しの救いと希望のある結末でした


| ふぁんたじぃー | 13:52 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark
刀語 第十一話<毒刀・鍍(めっき)>/西尾 維新
JUGEMテーマ:読書



★★★★ (4/5)

あらすじ

伝説の刀蒐集完了まで残りあと二本!!毒刀『』を手にした真庭鳳凰は触れるもの全てを斬殺する殺意の化身と化し、真庭忍軍の本拠地“新・真庭の里”に向かう。
虚刀流・鑢七花と奇策士・とがめも、鳳凰と刀を追い、伊賀の山中へ!血塗れた里にひとり佇む鳳凰から告げられる、“乱世”を貫く壮大な秘密とは―!?
悲劇の“終局”まで待ったなし!刀語、第十一話の対戦相手は、真庭忍軍十二頭領がひとり、真庭鳳凰!。(紹介文より)

〜感想〜

『刀語 第十話<誠刀・栓>』 に続く11作目です。

前作の最後のほうで ”誠刀・栓” を手に入れた七花ととがめの前に、突然重傷を負った真庭忍軍の生き残りの真庭人鳥(ぺんぎん)が姿を現し「鳳凰さまを助けて」 と言ってそのまま倒れてしまいます。とがめはとりあえず旅館に運び手当てをして事情を聞きだすことに。

どうやら、”毒刀・鍍” は鳳凰が先に手に入れたものの、その独特の特徴から刀に実際に触れることができず布に包んで持っていたのだけど、そこへ左右田右衛門左衛門が現われて鳳凰との戦いが始まってしまい、鳳凰が不利と見た人鳥(ぺんぎん)がとっさに毒刀を手渡してしまうのだけど、それが逆に命取り

”毒刀・鍍” の毒に侵されてたちまち鳳凰は正気をなくし、左右田右衛門左衛門を倒したもの仲間の人鳥にまで襲い掛かってきます。そうして、重傷を負った人鳥はそのまま討ち捨てられ、鳳凰は真庭忍軍の本拠地へ姿を消して……。

そこへ通りがかったのが七花ととがめだった、ということになるのだけど、そんないきさつを聞きながら、いったいどこまでが真実なのか 本当に鳳凰を助けてほしいのか、それとも罠なのか 
とがめと七花は十中八九は罠だと思いながらも、とにかく ”毒刀・鍍” を手に入れなければならないことに変わりはありません。
とりあえずは、人鳥の情報を元に真庭鳳凰が戻ったという真庭忍軍の本拠地へと向います。
そうして、着いた先で待っていたのは……

”毒” に侵されてすっかり人格の代わってしまった鳳凰。
”毒刀・鍍” の ”毒” の正体は、12本の完成形変体刀を作り上げた ”四季崎” の記憶そのもの 完全に四季崎の人格に乗っ取られてしまい、鳳凰を助けることは不可能な状態に。

そうして、七花ととがめは四季崎からそもそも何故こんな刀を作ったのか?
何が目的だったのか?
そして、七花自身の本当の姿とは?

といった、もろもろの謎について語っていきます。
そうして、すべてを語った後に ”虚刀流” を受け継ぎ ”完了形変体刀” としての七花との戦いを繰り広げ……。

流石はクライマックス直前というだけあって、圧倒される展開になっています。
色々謎だったことが明らかにされたことで、かなりスッキリしました。
旅の終わりが目前に迫ったことで、そのあとどうするのか、をはぐらかし続けていたとがめが七花とともに、旅を続けよう、と口にもし始めて……。

ああ、よかった
とホッとしてたのだけど、でも、最後の最後でそんな甘い期待はしっかり裏切られてしまいました

四季崎を倒し”毒刀・鍍”を手に入れて、旅の終わりに二人で別の旅を続けよう、なんて話をして和んでいたとがめと七花の前に、”否定姫”の命を受けた左右田右衛門左衛門が現われて、無造作にとがめに ”炎刀・銃” を向けて銃弾を打ち込みます。
血を流して地に横たわるとがめの姿に、七花は身動きすることもできずただただ呆然とするばかり……

……今までの話の流れから、すっかりハッピーエンドになると思い込んで油断していただけに、この展開は結構ショックでした
果たして、このままとがめは命を落としてしまうのか、それとも助かるのか
次の最終話 『刀語 第十二話<炎刀・銃>』 に続きます。


| ふぁんたじぃー | 20:24 | comments(0) | trackbacks(0)|- pookmark


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