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パトリシア・C. リーデ
東京創元社 ¥ 2,100 (2008-06)
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615283位
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リンダーウォール王国の末の姫シモリーンは、お姫さまらしくするのが大嫌い。
剣術、ラテン語、経済学に魔法にお料理と、夢中になるのはお姫さまにあるまじきことばかり。
隣国のめちゃくちゃハンサムな(だけの)王子と、あやうく婚約させられそうになり、城出を決行。
ところが、飛び込んださきは…なんとドラゴンでいっぱいの洞窟だった。
押しかけ“囚われの姫”になってしまった型破りなお姫さまが、ドラゴンやうさんくさい魔法使いを相手に大活躍!可愛くて元気なファンタジー(紹介文より)
〜感想〜
リンダーウォール王国のお姫さま、シモリーンは小さい頃からお姫さまらしいことには興味がなく、剣術を習ったり、魔法や政治を学んだり、とちょっと型破りなところがあったのだけど、そのことを危惧した王様とお后様は”結婚させてしまおう” とハンサムだけがとりえ(笑)の王子様との婚約を勝手に決めようとします。
そのことを事前に知ったシモリーンは、たまたま出会った蛙 からの助言で今の境遇から抜け出す手助けをしてくれそうな相手のいる場所へと向うことに。
そうして、たどり着いた場所は……なんとドラゴンたちの棲んでいる洞窟
驚くシモリーン姫の前で、彼女をどうするかドラゴンたちは話し合うのだけど、中には食べようというドラゴンもいて……
そんなドラゴンたちの様子を見て、食べられてはたまらない、とシモリーン姫は自ら ”囚われの姫” になることを申し出て、家事、掃除等々をなんでもやると自分を売り込みます(笑)
すると、雌ドラゴンのカズールがシモリーン姫を気にいったらしく、めでたく()カズールの”囚われの姫” としてドラゴンの洞窟で暮らすことになるのだけど……。
本シリーズの物語全体に漂う雰囲気というか世界観が、思わずくすっ と笑っちゃうようなほのぼの感で、素直に楽しかったです
例えば……
ドラゴンに浚われたお姫様を王子様、あるいは勇者がドラゴンを倒して助け出しその後は結婚してめでたしめでたし
っていう話が世間の常識になっていて、「囚われのお姫様」 や 「王子様」 「勇者」 が何人もいたりします
他にも蛙にされた王子様が何匹もいたり(笑)、お姫様は巨人に浚われるときの悲鳴のあげ方を学ばなきゃいけなかったり、と色々な御伽噺が一つになった世界という感じで、読んでいて思わずにやり、とさせられるエピソードも織り込まれていて最初から最後まで楽しむことができました
ヒロインのシモリーン姫は、そんな御伽噺の中の典型的なお姫さまとはちょっと違っていて、自分で考えて行動する活動的なお姫様。
そんなお姫様なので、顔がいいだけ(笑)の王子様との婚約を嫌って飛び出して、自らドラゴンの囚われの姫になったりしちゃいます。
しかも、剣術も魔法もお料理もしっかりできるやり手なので、あっという間にドラゴンのカズールにも気にいられて、”囚われ” というよりも、住み込みの助手のような感じに
窮屈だった王宮暮らしよりもよっぽど快適だと、シモリーン姫もすっかり ”囚われ生活” が気にいってしまいます。
とはいっても、シモリーン姫の国ではそんなこととは思いもよらず、次から次へと ”囚われの姫” を救おうと王子様やら勇者やらが来るわ来るわ(笑)
いい迷惑のシモリーン姫は、彼らをあの手この手で追い返すのだけど中には諦めの悪い相手もいて 少しでも煩わしさをなくすために、救出お断りの看板をたてようとドラゴンの洞窟を出るのだけど、そこで魔法使いの会長と偶然出会います。
なんとなく胡散臭い印象の会長に不信感を抱くのだけど、案の定、ドラゴンたちに対してよからぬ企みをしていることがわかります。
シモリーン姫はわざと頭の軽いお姫様を演じてどんな企みをしているのかを探るのだけど、そうこうするうちにドラゴンの”キング”が殺されてしまい……。
”囚われの姫” 仲間(笑)のお姫様と石にされた王子様、魔女と協力して魔法使いの悪だくらみを阻止しようと活躍するシモリーン姫がカッコよくてステキでした
魔法使いたちの思いがけない弱点には笑っちゃいましたが、ほのぼのした結末で温かい気持ちで読み終えることができました
シモリーン姫が次はどんな活躍を見せてくれるのか。
ワクワクします
次の 『消えちゃったドラゴン<魔法の森2>』 に続きます。
昨年は仕事の関係で生活環境が変わったこともあり、なかなか記事の更新をすることができませんでした
でも、本を読むことと映画を観ることはやめていなかったので、書きたいことがたくさんたまっています
今は大分慣れてきたので、今年はもう少し短い間隔で記事を載せていきたいと思っていますので
今年もどうぞよろしくお願い致します